ドイツの安楽死協会DGHSとは?設立の歴史・活動実績・2020年判決を解説

更新日:3 日前
最終更新日:2025年10月10日
※更新履歴:法制度・判例の解説を修正・補強|公的資料・学術論文の参考文献を追加|制度比較表・FAQを改善|内部リンク・回遊性を強化|情報の正確性・信頼性を向上
👉 安楽死の全体像については、まずこちらで整理しています
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
👉 混同されやすい、安楽死と尊厳死の違いをを知りたい方は、こちら(延命治療との関係も整理)↓
ドイツの安楽死議論を理解する上で、「ドイツ安楽死協会(DGHS)」の存在は欠かせません。DGHSは、自己決定権に基づく死の選択を支援する団体として長年活動しており、ドイツにおける自殺幇助や法制度の議論に大きな影響を与えてきました。
まず結論から整理します。
・DGHSは「安楽死の実施団体」ではない ← 自殺幇助の支援と権利擁護が中心
・ドイツでは積極的安楽死は違法 ← DGHSも直接的な死の実行は行わない
・活動の核心は自己決定権の擁護 ← 「自ら死を選ぶ自由」を社会に提起
・2020年憲法裁判決と深く関係 ← 自殺幇助の権利をめぐる議論に影響・制度は
未整備で流動的 ← DGHSの活動は現在も議論の中心にある
このようにDGHSは、「安楽死を実行する組織」ではなく、死の自己決定権を社会的・法的に確立しようとする思想的・実践的団体として位置づけるのが正確です。
本記事では、DGHSの設立背景から活動内容、そしてドイツの判例との関係までを体系的に整理し、その役割と影響力をわかりやすく解説します。
👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、こちらで解説しています↓
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要約図(自由使用可)

ドイツの安楽死協会(DGHS)について
2025年11月19日、ドイツから安楽死に関するニュースが入りました。

(出典↓)
概要:ケスラー姉妹とドイツ安楽死協会DGHS|象徴的支援者としての役割
・1950〜60年代に欧州で人気を博した「ケスラー姉妹」の Alice ケスラー さんと Ellen ケスラー さんが、89歳で亡くなった。自殺幇助(安楽死)によるもの。
・ふたりは以前から「同じ日に一緒に死にたい」と望んでおり、約1年前に支援団体 Deutsche Gesellschaft für Humanes Sterben(DGHS) に連絡、会員となっていた。
・DGHS が今回、この姉妹の自殺幇助(安楽死)が実現したことを明らかにした。
姉妹の願い通り、ふたり一緒に人生を終えた。
>ふたり一緒に人生を終えた。
→ そう記述されているので、いわゆる…
カップル安楽死
(Duo Euthanasia:同伴・二重安楽死)
が実施されたということになります。
👉同伴安楽死については、オランダの記事も参照して下さい↓

ケスラー姉妹は、日本での知名度は低いですが、
欧米では1950年代から一世を風靡したスターのような存在だったようです。
著名人の安楽死ということで話題になったので、このニュースは「安楽死や自殺幇助が合法、かつ本人の強い意思に基づいて行われる国もある」ということを示す具体例になったことでしょう。
👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓
DGHSの設立背景と1980年代のドイツ社会
ところでドイツの安楽死協会の存在は、日本では、ある理由から(後述)知名度が低いのですが、スイスと同様に、ほぼ同じ時期、形で昔から存在しています。
👉こちらのドイツの現状をまとめた記事も参照してください↓
ここでは記事で言及された、
ドイツの安楽死界を率いるDGHSについて簡単に紹介しておきます。
DGHSとは|基本情報・成立
・DGHS は 、1980年11月7日にドイツで設立された団体で、
「人が人生の終わりを自ら決める権利(自己決定権)」
「人道的な最期」を支持・保障する市民権/患者保護の市民団体。
・団体形態は、登記された協会/団体で、
営利目的ではなく、公益性のある「非営利団体」として運営されている。
・団体の主な目的は、
✅「重病あるいは終末期にある人々が、
自分の意志・価値観に基づき生き方と死に方を選べるようにすること」
✅「人道的、尊厳ある死」
を社会・法制度として保障すること。
👉※DGHSのホームページはこちら↓
目的・理念
・自身の判断能力(意思能力)がある人に限り、自分で「いつ」「どのように」「もし必要なら誰の助けで」人生を終えるかを決める権利を保障する。
・痛みや苦しみ、将来的な耐え難い状態(病気、苦痛、多臓器不全、重い障害、終末期など)から、自己の尊厳や人格の統一性を損なうことなく生き終える選択の機会を提供する。
・生前の意思表示(例えば「延命しない」「どこで・どのように最期を迎えたいか」)を明文化する「患者の意思表示」や「医療・介護・延命拒否の意思」を含む「事前指示(リビングウィル)」を支援・普及。
・医療・介護・緩和ケアの普及および改善。
苦痛の緩和/尊厳ある終末期ケアの拡充も重要な柱。
DGHS は政治や宗教、政党には依存せず、あくまで
「人道主義(ヒューマニズム)」
「個人の権利・自己決定」
を軸に据えており、中立性を明示している。
DGHSは1980年に設立された団体です。
ただし、団体の設立年、初めて自殺幇助を支援したとされる時期、ドイツでの法的な位置づけが変化した時期は、それぞれ区別して整理する必要があります。
ドイツでは、2020年の連邦憲法裁判所判決により、自殺幇助をめぐる法的状況が大きく変化しました。したがって、DGHSの活動史と、ドイツにおける自殺幇助の法制度史を分けて説明することが重要です。
※👉 緩和ケアと安楽死の違いについては、こちらで整理しています
👉 緩和ケアの限界とは?│難治性疼痛・緩和的鎮静と安楽死を考える↓
👉 持続的深い鎮静の限界とは?│緩和ケアにおける目的・適応・安楽死との違いと限界
最近の動向と現状
・2015年に事業の停止命令を受けるが、
2020年2月、ドイツ連邦憲法裁判所が、自殺幇助禁止法を無効と判決したことにより、合法的に援助を受けた自殺が可能になった。
これを受け、DGHSは今までより公にサービスを提供可能になる。
※初めて安楽死(自殺幇助)を行なったのは
1984年の末期がん患者で、古くから細々と運営。
スイスは1943年にあった法律を独自に解釈して1982年にExitがサービス開始。
・しかしドイツでは、DGHSが、
市民団体が医師や弁護士、地域行政と協力して、
人道的主張をもとに、法律がないまま(悪く言えば“勝手に”、“独自の解釈で”)開始した。
・DGHSは2025年9月時点で、約50,000人 の会員を有する。
・最近の報告では、
2024年には DGHS が623件 の医師を通じた自殺幇助を仲介したとのこと。
・DGHSは、2024年11月に改定された基本原則文書で、自己決定できる成人であれば、
理由の内容に関係なく「自らの意志で死を選ぶ権利」を認めると明記している。
👉 安楽死をめぐる賛成・反対の論点は、こちらで詳しく整理しています
備考:DGHSとドイツ連邦憲法裁判所判決の関係
記事に「警察が出動した」というのは、
安楽死協会の規定されたプロセスであり事件性はありません。
スイスも、同じく国家としては安楽死を『法制度化していない』ので、
安楽死の実施後は、数十分〜数時間かけて警察の事情聴取が入ります。
それに加えて行政、弁護士、司法、警察、医師などに事前に連携した上で安楽死を実施しています(余談ですが…故に“費用が莫大”…オランダなど法制化した国は、ほぼ無料)。
市民団体、つまり完全に民間のサービス形態なので、審査のための費用は高く、また時間も掛かります。そのため、スイスで安楽死する外国籍の人々は、ドイツが一番多いです。
👉 ディグニタス|ホームページ

ドイツとスイスの制度比較
項目 | ドイツ | スイス |
法制度 | 明確な制度なし(判例ベース) | 条件付き合法 |
主体 | 市民団体(DGHS) | 民間団体(Dignitas等) |
法的根拠 | 2020年憲法裁判所判決 | 刑法の解釈 |
特徴 | 判例主導 | 制度的に安定 |
外国人利用 | 多い | 非常に多い |
※👉 スイスの安楽死については、こちらで詳しく解説しています↓
2020年にドイツ最高裁が、下記の判決を下すまで、1980設立以降、
法的根拠は一つありませんでした。
あくまでドイツ安楽死協会DGHSが、
地域行政や担当してくれる医師、司法、裁判所、弁護士…
諸々の分野と連携を組んで『人道的理念』だけを根拠に1980年代からサービスを展開していった形です。(DGHSが先導して周囲を巻き込み、定められた監視のもと“独自に”活動して、その実績が暗黙の了解で行われていた)。
故に、初めて裁判判例による法的根拠を得た、この判決は画期的、歴史的でした。

(出典:2020年2月26日 ガーディアンの報道↓)
※追記(2026年10月10日)
2015年の法改正と2020年の連邦憲法裁判所判決
2015年、ドイツでは刑法217条が制定され、業務的に自殺援助の機会を提供・仲介する行為が処罰対象となりました。この規定は、自殺援助が社会的な慣行として広がることなどへの懸念を背景に導入されたものです。
しかし、2020年2月26日、ドイツ連邦憲法裁判所は、同条の規定が自己決定による死を選ぶ自由を過度に制限すると判断し、違憲・無効としました。
この判決は、ドイツにおける自殺幇助をめぐる法的状況を大きく変えました。ただし、判決が積極的安楽死を一般的に合法化したわけではなく、また、自殺幇助に関する具体的な規制や保護措置を立法府が検討する余地も残されています。
👉 日本の安楽死の歴史・事件を知りたい方は、こちらをご覧ください↓
👉 緩和ケアの限界とは何か|痛みが消えない終末期医療の実態と国内外の証言
日本の安楽死反対論では語られにくいドイツDGHSの実像
日本で安楽死を反対する人々(ほとんど“左”巻き界隈)が国民を扇動するために、
しばしば用いる言葉とフレーズ…
例.
「優生思想、ナチズム、T4作戦、ヒトラー、レイシズム」
「安楽死をいったん認めると“滑り坂”が起こり日本はナチス化する」
『ドイツでは(裁判判例により)安楽死が合法化している』という事実は、
彼ら彼女らにとって不都合な事実です。
上記の言葉とフレーズを無効化してしまう…
故に、ドイツの安楽死事情については徹底的に言及しません。
オールドメディアもドイツの安楽死だけは、決して報道してきませんでした。
例.
>障害者や経済的弱者が強制的に安楽死を選択させられている
>カナダでは生活保護より安楽死の申請のほうが簡単らしい
このような懸念を煽るための手段(デマまたは陰謀論)…
その威力が半減してしまうからです。

👉 児玉真美の詳細については、こちら↓
『安楽死が合法の国で起こっていること』を読む前に|児玉真美と“命の選別”思想の背景

※日本の安楽死議論から見たDGHSの意義と検討課題
日本の安楽死をめぐる議論では、優生思想の歴史、障害のある人や社会的に弱い立場にある人への圧力、制度が拡大するリスクなどが重要な論点となっています。
一方、ドイツでは自己決定権を重視する立場から、自殺幇助を求める自由とその法的な位置づけが司法の場で争われ、2020年に連邦憲法裁判所の判断が示されました。
DGHSは、この自己決定権を重視する立場から活動している団体の一つです。
その活動を理解するためには、団体の理念や実績だけでなく、ドイツの法律、判例、議会での制度整備の議論もあわせて確認する必要があります。
また、制度を支持する立場から検討する場合であっても、自由意思の確認、第三者からの圧力の防止、自殺予防、社会的支援の充実といった慎重論を検討することは欠かせません。
本記事では、こうした論点を区別し、DGHSの活動とドイツの法制度が日本の制度議論に示す意味を考察しています。
👉 安楽死に反対する障害者団体一覧|DPI・JCIL・障害者運動の立場と論点
👉 安楽死反対は誰を守っているのか?|障害者団体・福祉NPOの主張と論理構造を検証
👉 障害者運動の歴史|2000年代以降のALS・尊厳生・生命倫理を解説
まとめ
ドイツの安楽死支援団体「DGHS」は、自己決定権に基づく終末期の選択を支える市民組織として、1980年代から活動を続けてきました。
2020年の憲法裁判所判決により、自殺幇助の全面禁止は否定され、
個人の「死を選ぶ自由」が一定程度認められる方向へと転換しています。
制度としては未整備ながらも、ドイツでは判例と市民団体が主導する形で安楽死をめぐる枠組みが形成されつつある点が大きな特徴です。
👉 安楽死の全体像を体系的に理解したい方はこちら
👉 世界の安楽死制度の成立経緯を年代順で知りたい方は、こちら↓
👉 各国の安楽死制度や最新動向については、世界の安楽死動向をまとめたこちらの記事もご覧ください↓
ドイツ・スイス・オランダの比較表
比較項目 | ドイツ | スイス | オランダ |
主に比較する行為 | 自殺幇助 | 自殺幇助 | 医師による積極的安楽死・自殺幇助 |
主な法的根拠 | 2020年連邦憲法裁判所判決など | 刑法第115条など | 安楽死審査法 |
第三者が直接生命を絶つ行為 | 自殺幇助とは区別される | 自殺幇助とは区別される | 法定要件の下で認められる |
民間団体の役割 | DGHSなどが支援活動を行う | 自殺幇助団体が活動する | 医療制度内の医師による実施が中心 |
制度上の主要論点 | 自由意思の確認、保護措置、法整備 | 利己的動機の有無、刑法と運用 | 法定要件、医師の慎重義務、事後審査 |
👉 安楽死と自殺の違いについては、こちらで詳しく解説しています
👉 身体疾患と自殺の関係|警察庁・厚労省統計から見る年間約4,000人規模の実態
2020年判決から2023年法案否決までの年表
1980
DGHS設立
団体の歴史の起点。設立年と実際の支援実績の開始時期は区別して記載する。
2015
刑法217条の制定
業務的な自殺援助の促進に関する規定が導入される。
2020
連邦憲法裁判所判決
刑法217条の規定が違憲・無効とされ、
自己決定による死と第三者の援助を求める自由が認められる。
2023
新たな法案の否決
自殺幇助の具体的な規制をめぐる
複数の法案が連邦議会で否決され、制度設計の議論が続く。
👉 出典
DGHS公式資料:Pressemappe_14.01.2025.pdf
ドイツ連邦憲法裁判所:連邦連邦法執行裁判所 - 決定調査 - 2020年2月26日判決
ドイツ連邦議会:連邦議会が安楽死改革法案を否決 - ドイツ連邦議会
👉 世界各国の申請プロセスをまとめて確認する場合はこちら(ハイライト)↓
👉 世界の安楽死法│法律の紹介↓
FAQ(よくある質問)
Q1. DGHSとは何ですか?
A. DGHS(Deutsche Gesellschaft für Humanes Sterben e. V.)は、ドイツで人生の終わりに関する自己決定権を重視し、自殺幇助に関する支援や啓発活動を行っている市民団体です。1980年に設立され、会員への支援や制度をめぐる活動を行っています。
Q2. DGHSは安楽死を直接実施する団体ですか?
A. DGHSの主な活動は、自殺幇助に関する相談・支援や、医師による自殺幇助の仲介などです。本人が自ら行為を実行する自殺幇助と、第三者が直接生命を絶つ積極的安楽死は、法律上区別して理解する必要があります。
Q3. ドイツでは安楽死は合法ですか?
A. ドイツでは、自殺幇助と第三者が直接生命を絶つ行為は区別されています。2020年2月26日、連邦憲法裁判所は刑法217条の規定を違憲・無効と判断し、自己決定による死を選ぶ自由と、そのために第三者の援助を求める自由を認めました。ただし、この判決は積極的安楽死を一般的に合法化したものではありません。
Q4. 2020年の連邦憲法裁判所判決で、ドイツの制度上の問題はすべて解決したのですか?
A. いいえ。判決は自殺幇助を求める自由を基本権の観点から認めましたが、自由意思の確認や本人の保護など、具体的な制度設計の課題は残っています。2023年には自殺幇助に関する複数の法案が連邦議会で否決されており、法制度のあり方をめぐる議論は継続しています。
Q5. DGHSは政府機関ですか?
A. DGHSは政府機関ではなく、民間の団体です。団体自身が公表する活動実績や制度に関する見解は、政府の公的統計や裁判所の判断とは区別して確認する必要があります。
Q6. DGHSの自殺幇助支援件数は、ドイツ全体の件数ですか?
A. いいえ。DGHSが公表する件数は、同団体が仲介した支援の実績です。ドイツ全体の自殺幇助件数を示す数値として扱うことはできません。数値を引用する際は、対象年と集計主体を明記する必要があります。
Q7. 自殺幇助をめぐる反対意見や慎重論には、どのようなものがありますか?
A. 主な論点には、本人の自由意思をどのように確認するか、精神疾患や心理社会的危機が判断に影響する可能性、家族や第三者からの圧力、障害・介護・経済状況による選択肢の格差、自殺予防との関係などがあります。制度を支持する立場から検討する場合でも、これらの懸念と、それに対応する保護措置を検討することが重要です。
Q8. DGHSの活動から、日本の制度議論は何を学べますか?
A. DGHSの活動とドイツの判例は、自己決定権をめぐる法的議論、民間団体による支援、自由意思の確認や保護措置の必要性を検討する事例となります。ただし、ドイツの制度をそのまま日本に当てはめることはできません。日本の法制度、医療体制、社会的条件を踏まえ、制度設計と安全対策を個別に検討する必要があります。
嘆願書送付アクション
本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。
書類 一覧
・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』
・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白
・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル
・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策
・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
・カバーレター:ご挨拶(1ページ)
・要約文(2ページ)
👉 日本に安楽死制度を導入するための5つのポイント|制度化への課題・世界の動向・実現への道筋↓
参考文献・一次資料
本記事では、ドイツの法制度と司法判断については公的機関の一次資料を優先し、倫理的・医学的論点については査読付き学術論文を参照しています。DGHSの活動実績については、同団体が公表する資料を使用しています。
1.法律・判例・公的資料
1. ドイツ連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht)
Judgment of 26 February 2020, 2 BvR 2347/15 and joined cases.
2020年2月26日の判決原文。ドイツ基本法に基づく自己決定による死の権利と、自殺幇助を第三者に求める自由について判断した重要な一次資料です。刑法217条の規定が違憲・無効とされた経緯を確認できます。
2. ドイツ連邦議会(Deutscher Bundestag)
Suizidhilfe: Gesetzentwürfe zur Neuregelung abgelehnt, 6 July 2023.
2023年7月6日に自殺幇助の新たな規制をめぐる複数の法案が否決されたことを示す公的資料です。2020年判決後の法制度整備が、単純に完了したわけではないことを説明する際に使用します。
3. ドイツ刑法(Strafgesetzbuch)第216条
Tötung auf Verlangen.
嘱託による殺人に関する刑法の規定です。自殺幇助と第三者が直接生命を絶つ行為を区別するための法的根拠として参照します。
4. ドイツ刑法(Strafgesetzbuch)第217条
Geschäftsmäßige Förderung der Selbsttötung.
2015年に導入された、反復的・業務的な自殺援助の促進に関する規定です。同条は2020年の連邦憲法裁判所判決で違憲・無効とされたため、現行法の一般的な禁止規定として説明しないよう注意が必要です。
2.DGHSの公式資料
5. Deutsche Gesellschaft für Humanes Sterben (DGHS) e. V.
Zahlen & Fakten/2024年の自殺幇助支援実績に関する公表資料。
2024年の支援実績について、DGHSは623件と公表しています。これはDGHS自身の活動実績であり、ドイツ全体の件数を示す公的統計とは区別して記載します。
3.査読付き学術論文
6. Henking T.
Suicide and assisted suicide from a legal and ethical perspective. Bundesgesundheitsblatt – Gesundheitsforschung – Gesundheitsschutz. 2022.
ドイツの自殺幇助をめぐる法的・倫理的な論点を解説した論文です。2020年判決と、その後の制度設計の議論を説明する際に参照します。
7. Lewitzka U.
Suizidprävention im Kontext des assistierten Suizids [Suicide prevention in the context of assisted suicide]. Der Nervenarzt. 2022;93(11):1112–1124.
自殺幇助と自殺予防の関係を検討したレビュー論文です。自由意思の確認、心理社会的ストレス、精神疾患、第三者からの影響、保護措置の必要性を説明する際に参照します。
8. Marckmann G, Pollmächer T.
Assisted suicide in persons with mental disorders: a review of clinical-ethical arguments and recommendations. Annals of Palliative Medicine. 2024;13(3):708–718.
精神疾患のある人から自殺幇助の希望が示された場合の臨床的・倫理的課題を検討したレビュー論文です。意思決定能力、苦痛の評価、治療抵抗性、意思の安定性をめぐる論点を整理しています。
9. Gerber M.
Critical Medical Ethics as an Approach to the Debate About Assisted Suicide by the Example of Germany. Bioethics. 2026;40(3):324–332.
PubMed Central:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12918501/
自律性を重視する自殺幇助制度を、社会的条件や実際の選択可能性という観点から批判的に検討した論文です。自己決定権の尊重と、脆弱な立場にある人への保護をどう両立させるかを考える際に参照します。
※論文はそれぞれ異なる問題を扱っています。論文の結論を紹介する際は、対象集団、研究方法、著者の主張の範囲を確認し、論文が直接検証していない事柄の根拠として引用しないようにします。
本記事の調査方法・情報源について
本記事は、ドイツの安楽死協会DGHS(Deutsche Gesellschaft für Humanes Sterben e. V.)の設立背景、活動内容、ドイツの自殺幇助制度および関連する司法判断について、公開資料に基づいて調査・整理したものです。
法制度については、ドイツ連邦憲法裁判所の2020年2月26日判決、ドイツ刑法の条文、ドイツ連邦議会の議決記録を優先して参照しています。DGHSの会員数や活動件数については、同団体が公表した資料を出典として使用し、ドイツ全体の公的統計とは区別して記載します。
学術的な論点については、PubMed収載論文や査読付き学術誌の研究を参照し、自己決定権を重視する議論だけでなく、自由意思の確認、自殺予防、脆弱な立場にある人々の保護などに関する慎重論も検討します。
なお、本記事では、一次資料で確認できる事実、DGHS自身が公表・主張している内容、RiP:Dによる分析・評価を可能な限り区別します。法令・判例・制度運用は変更される可能性があるため、最新の法的状況については原資料もあわせてご確認ください。
本記事は公開資料に基づく情報提供を目的とした解説であり、個別の法律問題についての法的助言や、個別の医療判断を代替するものではありません。





























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