鎮静とは?緩和ケアの「持続的な深い鎮静」との違い・限界をわかりやすく解説【間接的安楽死】

更新日:5 日前
最終更新日:2026年9月10日(随時更新)
※更新履歴:説明文の補足|間接的安楽死の補足説明|図表の追加
👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
この記事の結論
・緩和ケアの鎮静は、原則として苦痛を軽減することを目的とする医療行為です。
・持続的な深い鎮静と安楽死は、医学的には区別されますが、その境界について倫理的・法的な議論があります。
・本記事では、鎮静を安楽死と単純に同一視するのではなく、患者の意思、適応、生命予後、人工的水分・栄養、制度上の安全性という観点から問題を検討します。
・安楽死:死を目的とする医療行為
・持続鎮静:苦痛を和らげる医療(結果的に寿命が短くなる可能性あり)
目的が「死」か、「苦痛緩和」か、が最大の違い
多くの人が「安楽死」と「緩和ケアの鎮静」を混同しています。
しかしこの2つは、目的・意味・倫理的な位置づけが大きく異なる医療行為です。
本記事では、安楽死の基本的な定義から、緩和ケアにおける「鎮静(持続的深い鎮静)」との違い、そしてなぜそれが「間接的安楽死」と呼ばれるのかを、初心者にも分かりやすく整理します。
👉 安楽死と関係が深い「緩和ケアと安楽死の違い」は、こちらで整理しています↓
🎧音声による動画解説
要約図(自由使用可)(鎮静 持続的な深い鎮静 間接的安楽死)

※「鎮静と安楽死は同じではない」という慎重論
日本緩和医療学会やEAPCなどでは、鎮静と安楽死を、目的・意図・適応・比例性などの観点から区別しています。また、鎮静は適切に行われる限り、苦痛緩和を目的とする医療行為として位置づけられています。
一方で、研究者の中には、持続的深い鎮静と安楽死の境界が実践上必ずしも明確ではないと指摘する立場もあります。
本記事では、両方の見解を紹介したうえで、日本の終末期医療における選択肢のあり方を考えます。
👉 消極的安楽死(延命治療中止)については、こちらで詳しく解説しています
👉 混同されやすい、安楽死と尊厳死の違いをを知りたい方は、こちら(延命治療との関係も整理)↓
間接的安楽死(Indirect Euthanasia)
(緩和ケアにおける鎮静)

緩和ケアとは何か
まず緩和ケアとは、
・致死的な病気で苦しんでいる人々の『痛みや不快感』を
・『鎮痛剤&鎮静剤』で出来るだけ和らげながら
・『人生の最終段階』を出来るだけ『快適』に過ごしてもらう医学的対応
一言でいえば『痛みを和らげる対応』であり、
緩和ケア医は、『痛みを和らげてくれる業種』のことを指します。
※👉緩和ケアの全般的な説明は(WHOの定義や現状と実態など)は、こちらから↓
緩和ケアにおける鎮静とは|持続的深い鎮静の実際
次に間接的安楽死とは、
緩和ケアにおける対応法の一つの手段。正式名称は『持続的な深い鎮静』。
単純に『鎮静』、または持続鎮静やセデーションと呼ばれます。簡単に説明します。
まず『手術の場面』を思い浮かべてください。

執刀医がメスを持って皮膚を裂き、内臓に手を入れています(開腹手術)。
もちろん頭部にメスを入れるケースもあり“脳味噌”や血管を動かしたりします。
しかし、麻酔がかかっているので、一般論で
痛みで眼を覚ますことはありません
つまり
人為的に強力な”眠り薬”を身体に注入すれば
痛みを感じないまま『深い眠り』の状態を維持できる
それが現代の医療技術では可能です。
そして『深い眠り』=『痛みを感じない状態』を持続して、かつ
水分も栄養も何も与えず
見守り続けたら、深い眠りの中で痛みを感じることなく、最終的に安らかに亡くなります(いわゆる餓死または脱水)。
これが『鎮静』こと『持続的な深い鎮静』です。
このように医療者側が、どんなに手を尽くしても、どんな痛みの緩和薬を使用しても
耐え難い苦痛に
対応できなくなった場合には
(患者が「殺してくれ」と叫ぶぐらいの苦痛状態になって、やっと…)
“強い眠り薬”を持続的に投与して深い睡眠を維持し、かつ水分も栄養も補給せず、
静かに亡くなっていく手段を取ります。
(壮絶な苦痛が一定期間、続くようになって初めて、医療者が話し合い最終的に決定)

私の親はがんで亡くなりました。
がんで肉親を失った方はわかると思いますが、最後は壮絶です。
決してテレビドラマの様な感動的な死に方ではありません。
私の場合ですが、担当医から突然電話があり「患者が、激痛に暴れている、寿命を大幅に縮めることになるが強い麻酔注射をすることに同意するか?」というものでした。
私は泣きながら「先生、すぐにお願いします」と答えました。
意識を失ってから数日後、亡くなりました。
日本の制度ではこう言う方法が限界なのです。
これで良いのかどうか皆様も考えて頂きたいです。
⇩
「鎮静」は、痛みを我慢させ、激しい激痛に襲われて始めて実施される処置です。
とてもじゃないですが「穏やかな死」を決して保証していません。

※👉この問題がなぜ安楽死議論につながるのかは、賛成・反対の論点で詳しく解説しています

文章の簡略化バージョン
⇩

この『鎮静』という行為は、通常の医療行為として日本で認可されています。
“がん”で身内を亡くされた方には、それと知らず、鎮静処置を受けた方もいるでしょう。
間接的安楽死(持続鎮静)とは|死ぬことを前提とする
ですが、ここで考えてみてください。
鎮静は、鎮静剤を投与することで
強制的に眠った「状態を」維持して、
食事も水分も与えず、いわば放棄
した状態です。
しかも、積極的安楽死のように、条件が緩いどころかザル状態で、厳しい審査もありません。
そして医療者側の胸先三寸で判断され、決定されます。
患者があまりの激痛に「もう殺してくれ」と幾ら叫んでも、家族がその悲鳴を耳にしても、
決定は緩和ケア医(医療者側)に決定権があり、患者側は
『死のタイミング』を決められず、
『意思の決定』は認められません。
(医師会と緩和ケア業界に奪われています)。
多くの末期患者は、意識が朦朧・混濁している状態…つまり鎮静は、一歩間違えれば
殺人行為
または患者ご本人や家族に了解を得て行うケースでは…
自殺幇助
と捉える事が出来ます。最初から
『死ぬことを前提』
とした対応手段だからです。
だからこそ、厳密にいうと、学術的には安楽死の一分類、つまり
間接的(な)安楽死
と定義づけられています。
別称として
『ソフト(soft)な安楽死』
『スロー(slow)な安楽死』
と呼ばれるのは、そのような理由があります。
もっと掘り下げると、結局のところ、冒頭で紹介した緩和ケアの説明文…
『痛みや不快感』を~和らげながら『人生の最終段階』を
出来るだけ『快適』に過ごしてもらう
という定義からは逸脱しており、ざっくり言えば、その今までのケア対応が
“お手上げ状態”
になった末の…緩和ケアを放棄した後の…最後に残った「残り作業」となります。
これが安楽死のひとつの分類、間接的安楽死の説明となります。
ご存知の方も多いと思いますが、残念ながら、この間接的安楽死(持続的な深い鎮静)、そしてまた、緩和ケア業界そのものが、近年様々な
脆弱性を抱えていることが発覚
しています。
👉 実際に緩和ケアで苦痛が残るケースについては、こちらで詳しく解説しています↓
なぜ鎮静は「間接的安楽死」と呼ばれるのか
緩和ケア業界は『鎮静を(間接的な)安楽死』と定義されることを
極度に嫌悪します。
「私達は安楽死はしていない。患者さんの痛みに対処しただけ」と主張し、
あから様に間接的安楽死という用語を社会から封殺しようと画策もしています。
気持ちは分かります。
殺人だの自殺ほう助だのと揶揄されがちな“安楽死”と一緒にされたくないからです。
自分たちは崇高な行為をしていると思い込みたい感情は理解できます。
しかし、それが故に、
『鎮静は出来ればやりたくない』
『あくまで痛みの緩和のみが仕事』
として、鎮静という手段を採用しない(痛みの緩和のみに終始する)緩和ケア医が、
日本には沢山いるのが現状であり、また日本緩和ケア業界の現状となっています。
👉緩和ケアおよび鎮静の脆弱性について整理した記事はこちら
👉 安楽死と自殺の違い・関係を整理したい方は、こちらをご覧ください↓
持続鎮静つまり間接的安楽死にも強制リスクがあり
むしろ、現状の方がリスクが遥かに高い
緩和ケア業界の盲点
安楽死を反対する方々に、このような懸念をされる方が一定数いらっしゃいます。

日本で安楽死なんか認めたら、失敗した社員や有名人に対して「責任の取り方…分かってる?」と迫って望まぬ死に誘導したり、病気や事故にあった人に対して「周りに負担をかけぬのが日本人」みたいな宣伝で望まぬ死に誘導するハラスメントが横行するから反対。

私も父をすい臓がんで亡くしました。
安楽死自体には絶対贊成です。でもこの日本国ではまだ認めてはダメ。
理由は、こんな同調圧力が強い国民性の国で安楽死を認めたら、間違いなく、
「あなたはまだ安楽死をしないの?もう空気読めよ。」なんて動きが始まってしまうと思うからです。そんな状況だけは避けないと、がん患者の問題を超えて、悲惨なことになると思います。
本当に情けないけど、この件に関しては、あまりにも日本人はまだ幼いと思いま、どうかこの記事が、変に安直な動きのきっかけにならないでほしいです。
ですが、ここまで説明を振り返ってみれば分かる通り、終末期における
『強制リスク』
は、現時点の方が遥かに高いです。
オランダの医療者へのアンケート調査では、積極的安楽死の方が「ルールが明確で安心だ」という回答結果があるくらいです。「強制される」という懸念はナンセンスで的外れです。
※👉 安楽死制度における「強制リスク」については、こちらで詳しく解説しています↓
現状においても、セーフガードがザル状態の終末期医療下では、
鎮静(間接的安楽死)によっても
何かしらの違法行為を発生するのは容易
なことです。繰り返しますが、実行までが短期間で、積極的安楽死のように
厳重な審査が存在しない
からです。
なにか犯罪のような事が発生するとしたら、安楽死制度がない『今』であり、
間接的安楽死(鎮静)によって既に起こっているはずです。
何か良くない事件が発生するとしたら、その確率は
積極的安楽死のルール < 間接的安楽死(持鎮静)のルール
と想定するのが合理的です。
しかも、“オ・イ・シャ様”信仰が崩れている現代では、尚のこと厳格なルール(選択肢としての積極的安楽死など)が必要と考えるのが合理的でしょう。
『鎮静は安楽死の一分類』
ということを忘れないで頂き、それを当会は強調したいと思います。
その点、むしろ積極的安楽死は(間接的より)、皆さんが考えている以上にルールと審査が厳格ですし、何より重要なのは、
患者本人の
『意思決定』
『自己決定権』
が重視されます。
つまり、海外で進展している安楽死は、日本の終末期医療に、いつまでも蔓延っている
父権主義『パターナリズム』を
完全に排除した制度設計
となっているのです。
「鎮静の強制リスク」についての解説動画↓
👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓
緩和ケアと持続鎮静の仕組みに幻滅して呆れ果て
やむなくスイスへ向かった女性

【私のママが決めたこと~命と向き合った家族の記録~】
(女性のXアカウントはこちら ⇒ @mahomelc)
『マユミ』さんのXアカウント名は『めいしー』です。
最近(2025年11月2日)に続編も放送された、
安楽死に関するドキュメンタリー(初出は2024年6月11日)。
大変多くの方が視聴され、Tverでの配信は記録的な回数にのぼりました。
ですが、女性マユミさんは、なぜ?
日本で亡くならず
わざわざ
スイスへ向かったのか?
ご存知でしょうか?
彼女は、X(旧ツイッター)に沢山の投稿文…
いえ、皆さんに向けて重要なメッセージを綴っています。当会のメンバーも複数が彼女とDMで交流していました。
当会を立ち上げるキッカケとなった女性でもあります。
『緩和ケアと鎮静』…その現況を理解して頂いた上、
彼女が残した言葉をお聴きになってくださり…安楽死制度の有意性を考えて頂けたらと…
そのように当会リップデー(RiP:D)はお願いしたいです。







※“むふむふチャンネル”様の提供動画
👉上記の動画の詳しい説明は、こちらをご覧ください↓
👉緩和ケアの限界とは何か|痛みが消えない終末期医療の実態と国内外の証言
安楽死とは 3つの分類と世界の現状に続きます。
⇩
👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、こちらで解説しています↓
👉 各国の安楽死制度や最新動向については、世界の安楽死動向をまとめたこちらの記事もご覧ください↓
👉 世界の安楽死制度の成立経緯を年代順で知りたい方は、こちら↓
「緩和ケア・鎮静・延命治療中止・安楽死」
項目 | 緩和ケア | 持続的深い鎮静 | 延命治療の差し控え・中止 | 積極的安楽死 |
主目的 | 苦痛の軽減・QOL | 治療抵抗性の苦痛の軽減 | 本人の意思等に基づき治療を行わない/中止 | 死をもたらすこと |
意識 | 通常維持 | 低下させる場合がある | 行為自体では決まらない | 通常、意識を低下させること自体が目的ではない |
死を直接意図 | しない | しない | しない | する |
医師による薬剤投与 | あり | あり | 必ずしもない | 制度により医師等が実施 |
患者の意思 | 重要 | 重要 | 重要 | 中心的要件 |
法的位置づけ | 医療 | 医療 | 医療上の意思決定 | 日本では制度化されていない |
主な論点 | アクセス・質 | 適応・比例性・意思決定 | 本人意思・代理判断 | 自己決定・濫用防止・安全性 |
「鎮静の意思決定フロー」
耐えがたい苦痛
↓
通常の緩和ケア
↓
症状の再評価
↓
治療可能な原因が残っていないか
↓
治療抵抗性か
↓
患者本人の意思・価値観を確認
↓
鎮静の利益と負担を検討
↓
チームで検討
↓
必要な場合に鎮静
↓
継続的に再評価
FAQ(よくある質問)|緩和ケアの鎮静と安楽死について
Q. 緩和ケアにおける鎮静とは何ですか?
A. 緩和ケアにおける鎮静とは、生命を脅かす病気の患者に生じた、通常の治療では十分に緩和できない苦痛を軽減するため、薬剤によって意識の程度を低下させる医療行為です。目的は死亡させることではなく、苦痛を軽減することにあります。
Q. 鎮静は安楽死と同じですか?
A. 医学的には、通常、同じものとは扱われません。鎮静は苦痛の軽減を目的とし、安楽死は患者を死亡させることを意図する点に基本的な違いがあります。ただし、持続的な深い鎮静と安楽死の境界については、倫理学・法学上の議論があります。
Q. 「間接的安楽死」とは何ですか?
A. 「間接的安楽死」という表現は、鎮静などの医療行為によって生命予後が短縮する可能性がある場合を、安楽死との関係から論じる際に用いられることがあります。ただし、これは鎮静そのものを医学的に一般的な意味で「安楽死」と定義することを意味しません。日本緩和医療学会などでは、鎮静を独立した医療行為として扱い、その適応や意図、比例性、患者の意思などを検討しています。
Q. なぜ鎮静と安楽死が混同されるのですか?
A. 鎮静では意識を低下させた状態が続き、そのまま患者が死亡する場合があるため、外見上は安楽死と似て見えることがあります。しかし、医療倫理上は「何を目的として行ったのか」という意図が重要な区別になります。
Q. 持続的な深い鎮静とは何ですか?
A. 患者の耐えがたい苦痛を緩和するため、意識を深く低下させた状態を持続させる鎮静を指します。適応については、治療抵抗性の苦痛であるか、鎮静の深さや継続が相応しいか、患者本人の意思などを慎重に検討する必要があります。
Q. 鎮静はどのような場合に行われますか?
A. 一般に、通常の緩和ケアやその他の治療を検討・実施しても、なお耐えがたい治療抵抗性の苦痛が残る場合に検討されます。適応や手順はガイドラインや医療機関によって定められています。
Q. 鎮静によって寿命は短くなりますか?
A. 鎮静が生命予後を短縮するかについては研究が行われています。複数の研究では、適切に実施された緩和的鎮静が生存期間を明らかに短縮するとは示されていません。一方で、研究方法や対象患者には限界があり、すべての状況について単純に結論づけることはできません。
Q. 鎮静と水分・栄養の中止は同じですか?
A. 同じではありません。鎮静は意識を低下させて苦痛を緩和する医療行為であり、人工的な水分・栄養補給を行うかどうかは別の医療上の判断です。両者を自動的に一体のものとして扱うべきではありません。
Q. 患者本人の同意は必要ですか?
A. 患者本人の意思を確認することが重要です。意思表示が困難な場合には、本人がこれまで示してきた意思や価値観などを踏まえて、家族や医療・ケアチームが慎重に検討します。
Q. 緩和ケアを否定しているのですか?
A. いいえ。本記事は緩和ケアそのものを否定するものではありません。WHOも緩和ケアを、身体的苦痛だけでなく心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を含めて支える重要な医療・ケアとして位置づけています。そのうえで、緩和ケアによっても解決できない苦痛や、鎮静をめぐる意思決定・倫理的問題について検討しています。
Q. 緩和ケアですべての苦痛を取り除くことはできますか?
A. すべての苦痛を必ず完全に取り除けるとは限りません。身体的症状だけでなく、心理的・社会的・実存的な苦痛も存在するためです。そのため、治療抵抗性の苦痛に対する鎮静が検討される場合があります。
Q. 鎮静には倫理的な問題がありますか?
A. あります。鎮静そのものが適切な医療行為として認められている一方で、適応の判断、患者本人の意思、鎮静の深さ、生命予後、人工的な水分・栄養との関係、家族との意思疎通などについて倫理的議論があります。
Q. 安楽死に反対する専門家や研究もありますか?
A. あります。緩和ケアと安楽死を明確に区別し、安楽死や医師幇助自殺に慎重な立場を示す研究・専門家も存在します。一方で、両者を必ずしも相互排他的とは考えない研究もあります。本サイトでは、賛成・反対の双方の議論を確認したうえで、日本における制度のあり方を検討することを重視しています。
Q. RiP:Dは緩和ケアより安楽死を優先すべきだと考えているのですか?
A. RiPは、緩和ケアを否定する立場ではありません。緩和ケア、延命治療の差し控え・中止、鎮静、そして本人が明確な意思に基づいて希望する場合の安楽死・医師幇助死について、それぞれの目的、限界、リスクを区別して検討することが重要だと考えています。そのうえで、日本において終末期の選択肢が制度上どこまで認められるべきかを議論する必要があると考えています。
嘆願書送付アクション
本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。
書類 一覧
・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』
・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白
・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル
・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策
・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
・カバーレター:ご挨拶(1ページ)
・要約文(2ページ)
参考文献・出典
公的・専門機関
1.World Health Organization(WHO)Palliative Care. 2020.緩和ケアを、生命を脅かす疾患に直面する患者と家族のQOLを改善し、身体的・心理社会的・スピリチュアルな苦痛を予防・軽減する包括的アプローチとして定義しています。WHO「Palliative Care」
2.厚生労働省『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』人生の最終段階における医療・ケアについて、本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームとの十分な話し合いを重視しています。また、生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死は本ガイドラインの対象外とされています。
3.日本緩和医療学会『がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き 2023年版』鎮静の定義、適応、相応性、医療者の意図、患者の意思確認、チーム医療、倫理的・法的検討などを整理した、日本における重要な専門的資料です。
査読付き学術論文
4.Morita T, Tsunoda J, Inoue S, Chihara S. Effects of high dose opioids and sedatives on survival in terminally ill cancer patients. Journal of Pain and Symptom Management. 2001;21(4):282–289.DOI: 10.1016/S0885-3924(01)00258-5. PMID: 11312042.
終末期がん患者に使用されたオピオイド・鎮静薬と生存期間の関係を検討した日本の研究です。
5.Morita T, et al. Efficacy and safety of palliative sedation therapy: a multicenter, prospective, observational study conducted on specialized palliative care units in Japan. Journal of Pain and Symptom Management. 2005;30(4):320–328.DOI: 10.1016/j.jpainsymman.2005.03.017. PMID: 16256896.
日本の21の専門緩和ケアユニットを対象に、緩和的鎮静の有効性と安全性を検討した前向き観察研究です。PubMed(PMID: 16256896)
6.Claessens P, Menten J, Schotsmans P, Broeckaert B. Palliative sedation: a review of the research literature. Journal of Pain and Symptom Management. 2008;36(3):310–333.DOI: 10.1016/j.jpainsymman.2007.10.004.
PMID: 18657380.鎮静の適応、頻度、生存、薬剤、意思決定、家族経験、安全性などについて研究文献を包括的にレビューしています。PubMed(PMID: 18657380)
7.Cherny NI, Radbruch L; Board of the European Association for Palliative Care. European Association for Palliative Care recommended framework for the use of sedation in palliative care. Palliative Medicine. 2009;23(7):581–593.DOI: 10.1177/0269216309107024. PMID: 19858355.
治療抵抗性の苦痛に対する緩和的鎮静について、国際的な臨床・倫理的枠組みを提示しています。PubMed(PMID: 19858355)
8.Materstvedt LJ.Intention, procedure, outcome and personhood in palliative sedation and euthanasia. BMJ Supportive & Palliative Care. 2012;2(1):9–11.DOI: 10.1136/bmjspcare-2011-000040. PMID: 24653491.
鎮静と安楽死を、意図・手続・結果などの違いから区別する倫理的分析です。
9.ten Have H, Welie JVM. Palliative sedation versus euthanasia: an ethical assessment. Journal of Pain and Symptom Management. 2014;47(1):123–136.DOI: 10.1016/j.jpainsymman.2013.03.008. PMID: 23742736.
鎮静と安楽死の道徳的区別を検討しつつ、実際の医療現場における境界や「意図」の問題を批判的に論じています。PubMed(PMID: 23742736)
10.Surges SM, Brunsch H, Jaspers B, et al. Revised European Association for Palliative Care (EAPC) recommended framework on palliative sedation: an international Delphi study. Palliative Medicine. 2024;38(2):213–228.DOI: 10.1177/02692163231220225.
EAPCの鎮静に関する国際的な改訂フレームワークであり、患者の意思、適応、比例性など現在の国際的論点を整理しています。PubMed(DOI: 10.1177/02692163231220225)
11.Tomczyk M, Jaques C, Jox RJ. Palliative sedation: ethics in clinical practice guidelines – systematic review. BMJ Supportive & Palliative Care. 2024;13(e3)–e663.DOI: 10.1136/spcare-2023-004266. PMID: 37567756.
14か国・4大陸の36の臨床ガイドラインを検討し、鎮静に関する倫理的論点の扱いに大きな違いがあることを示した系統的レビューです。PubMed(PMID: 37567756)
補足:緩和ケアと安楽死をめぐる議論
12.Hurst SA, Mauron A. The ethics of palliative care and euthanasia: exploring common values. Palliative Medicine. 2006;20(2):107–112.DOI: 10.1191/0269216306pm1109oa. PMID: 16613406.
緩和ケアと安楽死を単純な対立関係として捉えるのではなく、両者が共有する価値と相違点を検討しています。PubMed(PMID: 16613406)
本記事の調査方法・編集方針
本記事では、緩和ケアにおける鎮静と安楽死の関係について、医学的・倫理的・法的な観点から整理しています。
情報の確認にあたっては、世界保健機関(WHO)、厚生労働省、日本緩和医療学会、European Association for Palliative Care(EAPC)などの公的・専門機関の資料に加え、PubMedに収載された査読付き学術論文を参照しました。
また、鎮静と安楽死を明確に区別する研究だけでなく、両者の境界や「slow euthanasia」などの倫理的問題を論じる研究も確認しています。
本記事では、医学界で一般的に用いられている定義と、RiPとしての問題提起・見解を可能な限り区別して記載しています。
なお、本記事は特定の医療行為を推奨するものではなく、日本における終末期の選択肢と制度設計について考えるための情報提供を目的としています。



















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