海外の安楽死世論調査【2026年最新】各国の支持率・反対率を比較
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- 2025年10月17日
- 読了時間: 24分
更新日:4 日前
最終更新日:2026年9月2日(随時更新)
※更新履歴:米国Gallup最新値を追加|カナダAngus Reid 2026調査を追加|PubMed論文を追加|質問文・調査方法の比較欄を追加
👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
安楽死制度は、政治や法律だけで決まるものではありません。
その背景には、常に「国民の意識=世論」が存在しています。
実際、海外では多くの国で過半数が安楽死を支持しており、
その世論が制度化の大きな原動力となってきました。
安楽死は「制度が先にできた」のではなく、
「世論が先に形成された」ことで広がった政策です。
※👉 日本における世論や支持率の現状は、こちらをご覧ください↓
👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、はこちらで解説しています↓
🎧音声による動画解説
要約図(自由使用可)

海外の安楽死に関する世論調査
2026年7月現在、世界各国における、海外の安楽死制度に対する世論調査の結果を、以下に概観していきます。
この記事では、まず代表的な国をいくつか抜粋して紹介しておきます。
こうした世論調査を俯瞰することで、安楽死制度、ひいては終末期医療に対して、各国の国民がどのような感覚や価値観を抱いているのかを、比較的客観的に把握することができると考えられます。
10ヶ国を選択しましたが、こちらは今後も加筆やアップデートをしていきます。
※各国名をクリックすると、
それぞれの国における安楽死制度の詳細ページをご覧いただけます。
海外における安楽死の世論調査結果一覧
【アメリカ】アメリ安楽死 世論調査と支持率(71%)

ギャラップは、「ほとんどのアメリカ人は合法的な安楽死を支持している」というタイトルの新しい世論調査を発表したばかりです。
(アメリカ国民の)71%は、医師が「患者とその家族が要求した場合、何らかの痛みのない手段で患者の命を終わらせることが法律で認められている」と考えています。

ギャラップとは、アメリカ老舗の世論研究所になります。
(※追記 2026年9月2日)
Gallupの最新の歴年データでは2026年の「euthanasia should be legal」の回答は
68%となっています。
👉『ほとんどのアメリカ人は合法的な安楽死を支持している』↓
出典(2024年版):
👉 この国の制度や合法化の条件についてはこちら
【イギリス】 イギリス安楽死 世論調査と支持率(73%)

現代に遡り、YouGovは一般市民が安楽死を支持または反対できる幅広い表現や条件、状況を検証しました。
法案で提案されている現行政策は、イギリス人の73%の支持を得ており、13%が反対しています。
出典:
調査会社によって幅があり、中には80%を超えるデータもありますが、少なく見積もっても70%を超えているのは確かと考えます。
(※追記 2026年9月2日)
2026年3月のIpsos調査では、assisted dying法案への支持が65%、反対15%でした。
さらに英国のBritish Social Attitudes 2024では、終末期患者への医師による生命終結について79%が「definitely/probably allowed」と回答しています。
👉 イギリスの制度や合法化の条件についてはこちら
【イタリア】イタリア安楽死 世論調査と支持率(84%)

ルカ·コショーニ協会がSWGに委託した最近の世論調査では、イタリア人の84%が我が国の安楽死を法制化するのに賛成していることが示されました。
SWGとは、1981年にトリエステで設立された企業で、世論調査、市場調査、セクター調査、観測の分野でイタリアをリードする企業です。
出典:
【カナダ】 カナダ安楽死 世論調査と支持率(83%)


カナダ全土の83%の人々が、能力を低下させ、重篤で回復不能な病状と診断され、最終的には自分で決定を下す能力を失う人に対するMAIDの事前申請を支持しています。
ここでも、ケベック州では88%と支持率が高くなっています。X世代からの支持率は86%、団塊の世代からの支持率は88%です。
出典:
カナダでは2023年の少し前から…
遅れて日本では2024年1月から…
>障害者や経済的弱者が強制的に安楽死を選択させられている
>カナダでは生活保護より安楽死の申請のほうが簡単らしい
>「障害者が安楽死で間引きされている、カナダがナチス化してる」
>カナダ政府は社会保障費を抑制するために安楽死制度を進めている
このような陰謀論アプローチによる『デマ』が世界中に拡散しました。日本でも、いわゆる“左巻き”界隈のジャーナリストや大学教授や有識者、オールドメディアが、(ほぼ意図的に)に乗っかって、更に不安を煽るネタにはもってこいなので巷のインフルエンサーにより炎上させられました。
しかし、結果は御覧のとおりです。カナダの安楽死協会たちが、イプソスに調査を依頼してみたところ、カナダ全土で83%の国民が安楽死を支持しています。
このデマ恐慌を誰が引き起こしたかについては、いずれ別記事で紹介したいと思います。
👉2022~2023年に世界で流行したカナダ安楽死デマ拡散については、こちら


この、いかにもそれらしいドキュメンタリー番組も嘘であると判明しています。
カナダの2023年はデマの猛威との戦いでした。

令和版「吉田清二」証言といったところでしょうか…。
👉 カナダの制度や合法化の条件についてはこちら
【スペイン】 スペイン安楽死 世論調査と支持率(86%)

さまざまな世論調査によると、スペイン国民の大多数が安楽死の非犯罪化と末期患者の合法化を支持しており(2018年は86%)、非末期患者(2018年には62%)が支持しています。
出典:
※CISは、スペインの公共調査機関です。
それ以外にも、世界の安楽死界隈の御用達、イプソスも調査に呼ばれていた記憶があります。
とりあえずスペインの安楽死制度の支持率は、かなり高いです。それには有名な歴史的事件があるのですが、それについてはこちらから。
👉「スペイン安楽死制度の成立経緯と現状」ついて↓
👉 この国の制度や合法化の条件についてはこちら
【チリ】 チリ安楽死 世論調査と支持率(60%)

最近の調査によると、人口の60%が「特別な場合」に安楽死を支持しています。ガブリエル·ボリッチ大統領は、緊急性を示し、法案を推進することを保証しています。
【フィンランド】 フィンランド安楽死
世論調査と支持率(80%)

フィンランドの市民たちは、フィンランドで安楽死(自死帮助)を認める法律を政府に整備するよう求めている。国営放送エールによる調査では、フィンランド人の80%が安楽死について肯定的であることが示された。
出典は↓
北欧はプロテスタントが主流ですから…国民が賛成でも上級国民が抑え込みます。
【フランス】フランス安楽死 世論調査と支持率(84%)

@IfopOpinionによると、
世論調査:84%のフランス人が、病気の患者の支援と人生の終わりに関する法律案の審議再開に賛成していると表明
左派の有権者:88%
旧 大統領与党の有権者:88%
右派の有権者:75%
極右の有権者:85%
※右左の有権者どちらとも圧倒的に賛成なのだから早く成立してほしいです。

・フランス国民の84%が終末期法案の審査継続を支持。
・フランス人の60%が、幇助死をプログラムに含めるよう候補者に求めています。
※IFOPとは、フランス世論研究所(Institut français d'opinion publique)の略称で、世論調査や市場調査を行う国際的な企業です。1938年12月1日に設立され、企業や政党向けに調査結果を提供しています。
2024年7月と少々古いデータですが、おそらく現在は90%近いのではないでしょうか。
👉 フランスの制度や合法化の条件についてはこちら
👉フランスは2026年7月15日に議会で可決、8月19日に官報掲載・公布済み
フランス安楽死制度が成立|2026年7月15日「死への援助」法が歴史的可決【最新解説】
【韓国】 韓国 安楽死 世論調査と支持率(82%)

全国の19歳以上の成人男女2015人を対象に「Well-Dyingの認識と政策に関する調査を実施したところ、10人中7人が「安楽死」(自殺幇助)に賛成していることがわかった。
強く反対したのは10人に1人だけで、90%は実際には幇助死に反対していなかった。

ハンコックリサーチが、昨年7月に成人1000人を対象に実施した世論調査では、
回答者の82%が安楽死に賛成と答えた。
【台湾】台湾 安楽死 世論調査と支持率(86%)


86.2%の台湾人が合法化を望んでいる。
👉 台湾は本格的に制度成立へ向けて動き出しています↓
台湾の安楽死法制化が新段階へ|立法院で始まった制度設計議論と超党派協議の現状
👉台湾の安楽死の申請から実施までの全プロセスはこちら↓
10ヶ国の世論調査(安楽死の支持率)
【アメリカ】 71% ⇒ 68%
【イギリス】 74%
【イタリア】 84%
【カナダ】 83%
【スペイン】 86%
【チリ】 60%
【フィンランド】 80%
【フランス】 84%
【韓国】 82%
【台湾】 86%
👉 地図で確認する安楽死が合法の国 一覧と各国制度は、こちらで詳しく解説しています↓
制度化された国と世論の関係性
とりあえず10ヵ国の安楽死制度への支持率を並べてみましたが、日本と同じく、
7~8割は安楽死を支持
していると判断してよいでしょう。
※海外では安楽死への支持が高い国が少なくありません。
しかし、支持率は国・調査年・質問文・対象となる制度・終末期か非終末期か
などによって大きく異なります。
世論の存在は制度化を後押しする一因になり得るが、
世論だけで法制化が決まるわけではないことは御注意してください。
※👉 安楽死がどのように世界に広がったのかはこちら↓
欧州の主要国における安楽死 世論調査比較
欧州では、宗教的背景や医療制度の違いはあるものの、総じて安楽死または医師幇助死に対する支持率は高水準で推移しています。
特にフランスやスペインのように、近年立法・制度改正を巡る議論が活発化している国では、世論が政治的議論を後押しする構図が顕著に見られます。
※👉 安楽死が受け入れられてきた背景は歴史から理解できます
北米における安楽死 世論調査比較
アメリカでは州ごとに制度の有無が異なるため、賛成率は高いものの、連邦レベルでの統一的な議論には至っていません。
一方、カナダではすでに安楽死(MAiD)が制度化されており、制度開始後も国民の支持が維持、あるいは拡大している点が特徴的です。
アジア圏における安楽死 世論調査の現状
アジアにおいても、安楽死や尊厳死に関する議論は確実に進展しています。
特に韓国や台湾では、高齢化社会の進行、延命医療への疑問、家族負担の問題などを背景として、国民の意識が大きく変化してきました。
制度の内容や法的整理は国ごとに異なりますが、少なくとも「議論そのものを拒否する空気」は弱まりつつあると推測できます。
世論と制度成立の間にある乖離
余談ですが、世界各国の安楽死を継続的にリサーチしていて、常々感じることがあります。
それは、
どの国においても、国民の多数が安楽死に賛成また支持しているにもかかわらず、
制度化や法制化は極めて困難である
という点です。素朴な疑問とも言えます。
この事実は、一見すると直感に反するようにも映ります。民主主義国家において、これほど明確な多数意見が存在するにもかかわらず、なぜ制度成立までに長い年月を要するのでしょうか。
本稿では詳細な解説は行いませんが、あえて示唆的に述べるならば、そこには
・政治制度上の構造的要因
・宗教団体・医師会・倫理委員会などの強い影響力
・「誤用・濫用リスク」への過度な懸念が固定化されやすい議論構造
・世論と立法判断の間に存在するタイムラグ
といった、複数の要素が複雑に絡み合っていると推測します。
これらの点については、今後あらためて国別事例や具体的な政治過程を示しながら、別記事で詳述する予定です。
👉 安楽死をめぐる倫理的な論点はこちらで体系的に整理しています
海外の安楽死・医師幇助死に関する世論調査
国 | 調査機関 | 調査年 | 対象 | 主な質問・条件 | 支持 | 反対 |
アメリカ | Gallup | 2026 | 米国成人 | 安楽死の合法化 | 68% | 28% |
カナダ | Angus Reid Institute | 2026 | カナダ成人 | 2016年MAID制度 | 77% | ― |
カナダ | Angus Reid Institute | 2026 | カナダ成人 | 2021年制度拡大 | 53% | ― |
カナダ | Angus Reid Institute | 2026 | カナダ成人 | 精神疾患のみ | 43% | 39% |
イギリス | Ipsos / ITV News | 2026 | 英国成人 | assisted dying法案 | 65% | 15% |
イギリス | British Social Attitudes | 2024 | 英国成人 | 終末期患者への医師による生命終結 | 79% | 17% |
フランス | Ipsos等 | ― | フランス成人 | 終末期・終末期医療等 | ― | ― |
オランダ | ― | 2026 | オランダ成人 | euthanasia / PAD | ― | ― |
ベルギー | ― | ― | ベルギー成人 | euthanasia | ― | ― |
スペイン | Ipsos等 | ― | スペイン成人 | euthanasia合法化 | ― | ― |
※各調査は質問内容・対象条件・調査方法が異なるため、支持率を単純に順位付けすることはできません。
国 | 世論 | 調査年 | 質問条件 | 制度 |
🇺🇸 米国 | 68% | 2026 | 安楽死合法化 | 州レベルで医師幇助自殺 |
🇨🇦 カナダ | 77% | 2026 | 2016 MAID | MAID |
🇨🇦 カナダ | 43% | 2026 | 精神疾患のみ | 現時点では対象外 |
🇬🇧 英国 | 65% | 2026 | 法案 | 法制化過程 |
🇳🇱 オランダ | 68% | 2026 | PAD/Euthanasia | 合法 |
🇧🇪 ベルギー | ― | ― | ― | 合法 |
FAQ
Q1.安楽死と尊厳死は同じですか?
A. いいえ、一般には区別されます。
安楽死は、本人の要請などに基づき、医療者などが死をもたらす行為を指す場合があります。一方、尊厳死は、回復が見込めない終末期などにおいて、延命治療の差し控え・中止などによって自然な経過で死を迎えることを指して使われることが多い言葉です。
ただし、これらの用語は国や法律、医学・生命倫理の分野によって定義が異なるため、海外の世論調査を読む際には、調査で使用されている用語を確認する必要があります。
👉 混同されやすい、安楽死と尊厳死の違いをを知りたい方は、こちら(延命治療との関係も整理)↓
Q2.海外の「安楽死支持率」は単純に比較できますか?
A. できません。
「euthanasia」「physician-assisted suicide」「assisted dying」「MAID」など、調査ごとに質問内容や制度上の意味が異なります。
また、「終末期患者に限定する場合」「耐え難い苦痛がある場合」「非終末期の場合」「精神疾患のみの場合」など、条件によって支持率は大きく変化します。
そのため、本記事では可能な限り調査年、対象者数、質問内容、制度上の条件を併記しています。
👉 安楽死と自殺の違い・関係を整理したい方は、こちらをご覧ください↓
Q3.このページは緩和ケアを否定しているのですか?
A. いいえ。
緩和ケアは終末期医療において重要な役割を持っており、安楽死制度の議論とは別に、その充実が必要です。
WHOも、緩和ケアを生命を脅かす疾患に直面する患者と家族の生活の質を改善し、身体的・心理社会的・精神的な苦痛を予防・緩和するアプローチとして位置づけています。
本サイトでは、緩和ケアを充実させることと、緩和ケアだけでは対応できない苦痛に対してどのような選択肢を社会が用意するべきかという問題を、別々の論点として検討しています。
※👉 安楽死と関係が深い「緩和ケアと安楽死の違い」は、こちらで整理しています↓
Q4.安楽死に反対する意見や慎重論も調査していますか?
A. はい。
安楽死・医師幇助死については、医療従事者、障害者団体、生命倫理研究者などからさまざまな慎重論が示されています。
例えば、本人の意思決定能力、社会的孤立や貧困、障害者への社会的圧力、精神疾患の場合の意思の安定性、制度の対象範囲が将来拡大する可能性などが論点となっています。
本サイトでは、安楽死制度を支持する研究だけでなく、反対・慎重論を扱った査読付き研究も可能な限り確認し、両方の論点を紹介することを基本方針としています。
Q5.世論で安楽死への支持が高ければ、法制化すべきですか?
A. 世論の高さだけで法制化の是非を決めることはできません。
法制化には、本人の自己決定、医療倫理、刑法、憲法、人権、障害者政策、緩和ケア、社会保障、安全性・濫用防止など、多くの論点があります。
そのため、世論調査は「国民がどのように考えているか」を知るための重要な資料の一つですが、それだけで制度の正当性や具体的な制度設計が決まるわけではありません。
👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓
Q6.医師は一般市民より安楽死に慎重なのですか?
A. 多くの研究では、一般市民と医療従事者の間に態度の差が確認されています。
2025年の国際systematic reviewでは、安楽死・医師幇助死に対する平均支持率は、一般市民より医師の方が低い結果となっています。
ただし、国、制度の有無、対象となる患者の条件、医師の専門領域などによって結果は異なります。
Q7.精神疾患だけを理由とする安楽死への支持率も高いのですか?
A. 必ずしもそうではありません。
例えば2026年のカナダAngus Reid Institute調査では、2016年のMAID制度への支持が77%だったのに対し、精神疾患のみを理由とするMAIDについては43%が支持、39%が反対、19%が「わからない」と回答しています。
このように、「安楽死制度そのものへの支持」と「対象範囲をどこまで広げるか」への支持は分けて考える必要があります。
Q8.障害者への影響は議論されていますか?
A. はい。
障害者団体や研究者の間でも、安楽死・医師幇助死をめぐる意見は一様ではありません。
自己決定権を重視して制度を支持する立場がある一方、障害者が十分な医療、介護、所得保障、住宅、社会参加の機会を得られない状況では、「死を選ぶ自由」が社会的圧力による選択にならないかという懸念も示されています。
そのため、制度設計を検討する際には、医療だけでなく社会保障や障害福祉の状況も含めて検討する必要があります。
👉 安楽死とは何かを整理したい方は、こちらで全体像を確認できます↓
👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、こちらで解説しています↓
嘆願書送付アクション
本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。
書類 一覧
・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』
・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白
・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル
・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策
・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
・カバーレター:ご挨拶(1ページ)
・要約文(2ページ)
参考文献・主要資料
本記事では、各国の世論調査、政府・公的機関の資料、査読付き学術論文などを参照しています。
安楽死・医師幇助死(physician-assisted dying / physician-assisted suicide / MAID)は、国や制度によって定義が異なり、世論調査も質問文・対象となる患者・制度条件によって結果が大きく変わります。
そのため、本記事では「支持率の数字」だけを比較するのではなく、可能な限り、調査主体・調査年・質問内容・対象となる制度を確認したうえで紹介しています。
1.海外の世論調査・調査機関資料
・Gallup(アメリカ)
Gallup. Most Americans Favor Legal Euthanasia. 2024.
米国における「合法的な安楽死」および「医師幇助自殺」に対する世論を継続的に調査しているGallupの資料です。2024年調査では、一定の条件下で医師が患者の生命を終えることを法律で認めることについて71%が支持しました。
・YouGov(イギリス)
YouGov. Three quarters support assisted dying law. 2024.
英国におけるassisted dying法制化への世論を調査した資料です。原則的な合法化への支持と、具体的な制度設計に対する支持が必ずしも一致しないことを確認するうえでも重要な資料です。
・YouGov(イギリス)
YouGov. Support for assisted dying unmoved by the debate. 2025.
英国におけるassisted dyingへの支持について、法案をめぐる政治的議論が進む中での世論を調査した資料です。
・National Centre for Social Research(イギリス)/British Social Attitudes
National Centre for Social Research. Public support for assisted dying remains high and stable. 2025.
British Social Attitudes 2024の結果を紹介した資料です。終末期・治療不能・苦痛のある患者について、生命を終えることを認めることへの国民の態度を調査しています。YouGovなどとは質問形式が異なるため、英国世論を複数の調査から検討する際に有用です。
・Ipsos/Dying With Dignity Canada(カナダ)
Ipsos / Dying With Dignity Canada. 2025 Poll: Support for Medical Assistance in Dying and Advance Requests. 2025.
カナダにおけるMAIDおよび事前申請(advance requests)に関する世論調査です。なお、この調査はDying With Dignity Canadaの委託によるものであるため、調査結果を紹介する際には調査主体・委託関係を明記しています。
2.査読付き学術論文・系統的レビュー
・Emanuel EJ, Onwuteaka-Philipsen BD, Urwin JW, Cohen J.
Attitudes and Practices of Euthanasia and Physician-Assisted Suicide in the United States, Canada, and Europe.
JAMA. 2016;316(1):79-90.DOI: 10.1001/jama.2016.8499PMID: 27380345
米国・カナダ・欧州における安楽死および医師幇助自殺について、法制度、世論、医療者の態度、実施状況などを包括的にレビューした重要な論文です。各国の制度と世論を考える際の基礎資料として参照できます。
・Grove GL, Lovell MR, Hughes I, Maehler E, Best M.
Voluntary-assisted dying, euthanasia and physician-assisted suicide: global perspectives—systematic review.
BMJ Supportive & Palliative Care. 2025;15(4):423-435.DOI: 10.1136/spcare-2024-005116PMID: 40175060
1936年から2023年までに実施された521研究、約194万件の回答を対象とした大規模な系統的レビューです。安楽死・医師幇助死への支持は、患者が終末期かどうか、苦痛があるかどうかなど、質問条件によって大きく変化することを示しています。
本記事で「各国の支持率を単純に横並びにすることには注意が必要」としている根拠の一つです。
・Cohen J, Van Landeghem P, Carpentier N, Deliens L.
Public acceptance of euthanasia in Europe: a survey study in 47 countries.
International Journal of Public Health. 2014;59(1):143-156.DOI: 10.1007/s00038-013-0461-6PMID: 23558505
European Values Studyの47か国・67,786人のデータを分析した研究です。西欧の一部では安楽死への受容度が高い一方、欧州全体で一様に高いわけではなく、地域による大きな差があることを示しています。
「世界各国で一律に高い支持がある」と単純化しないためにも重要な研究です。
・Bernal-Carcelén I.
Euthanasia: trends and opinions in Spain.
Revista Española de Sanidad Penitenciaria. 2020;22(3):112-115.DOI: 10.18176/resp.00020PMID: 33300934PMCID: PMC7754540
スペインにおける1995~2019年の世論および医療者の態度を整理したレビューです。世論の変化と、政治・法制度上の議論との関係を考える際に参考となります。
・Chen DR, Kuo CT, Wu KCC.
Cross-sectional survey on public attitudes and factors related to physician-assisted dying in Taiwan.
BMJ Open. 2025;15(1).DOI: 10.1136/bmjopen-2024-089388PMID: 39819930PMCID: PMC11751988
2022年に台湾の成人3,922人を対象として実施された調査です。終末期疾患、非終末期の耐え難い身体的苦痛、重度の認知障害という異なる条件について、PAD(physician-assisted dying)への支持を調査しています。
「台湾86.2%」という数字は、単純な「安楽死一般への支持率」ではなく、終末期疾患を想定したPADについての支持率として理解する必要があります。
3.反対・慎重論を含む研究
・Hendry M, Pasterfield D, Lewis R, Carter B, Hodgson D, Wilkinson C.
Why do we want the right to die? A systematic review of the international literature on the views of patients, carers and the public on assisted dying.
Palliative Medicine. 2013;27(1):13-26.DOI: 10.1177/0269216312463623PMID: 23128904
16件の質的研究と94件の世論調査を対象とした系統的レビューです。自己決定や生活の質だけでなく、耐え難い苦痛、社会的・心理的要因、そしてassisted dyingが悪用される可能性への懸念など、多様な意見を整理しています。
賛成意見だけではなく、慎重論を含めて市民の意識を理解するための重要な資料です。
・Song YX, Tsai DF-C.
Worldwide physicians' attitudes toward euthanasia and physician-assisted death: A systematic literature review.
Journal of the Formosan Medical Association. 2026.DOI: 10.1016/j.jfma.2026.04.053PMID: 42049566
世界5つのデータベースを検索し、40研究を対象とした系統的レビューです。終末期患者について、医師による安楽死への支持は7.1~90.4%、医師幇助死への支持は5~77%と大きな幅が確認されています。
一般国民の世論調査と医療者の態度は同一ではなく、国・制度・患者の状態などによって大きく異なることを示す研究です。
4.本記事を読む際の注意
本記事で紹介している「支持率」は、各国民が「安楽死」という概念全般を無条件に支持している割合を意味するものではありません。
調査によって、
「euthanasia(安楽死)」
「physician-assisted suicide(医師幇助自殺)」
「physician-assisted dying(医師幇助死)」
「assisted dying」
「MAID(Medical Assistance in Dying)」
など、使用される用語が異なります。
また、対象となる患者についても、
終末期疾患
回復不能な疾患
耐え難い身体的苦痛
非終末期疾患
精神疾患
認知機能が低下した状態
など、条件が異なります。
したがって、異なる国・異なる調査機関の数字を単純に順位付けしたり、「○○国民の○%が安楽死そのものを支持している」と一般化したりすることには注意が必要です。
本記事では、各調査の質問内容・対象・制度条件を可能な限り確認しながら紹介しています。
また、安楽死制度の是非については、自己決定や苦痛からの解放を重視する意見だけでなく、障害者・高齢者・社会的弱者への圧力、医療者の倫理、制度の濫用・誤用、本人の意思確認、緩和ケアとの関係など、さまざまな慎重論があります。
本記事では、こうした論点についても、今後の制度設計を考えるうえで重要な論点として扱っていきます。
世論調査を比較するときの注意点
海外の安楽死・医師幇助死に関する世論調査では、「安楽死」「医師幇助自殺」「assisted dying」「MAID」など、調査ごとに用語や質問内容が異なります。
また、「終末期の患者に限定した場合」「耐え難い苦痛がある場合」「非終末期の場合」「精神疾患のみの場合」など、条件を変えると支持率も大きく変化します。
そのため、本記事では単純に各国の「賛成率」を横並びにするのではなく、可能な限り、
・調査機関、調査年、対象者数、質問文または質問の概要、対象となる制度、条件・支持/反対/不明の割合を併記します。
したがって、ここで示す数字は「その国の国民が安楽死を一律に何%支持している」という意味ではありません。あくまで、各調査で設定された特定の条件・質問に対する回答結果です。
特に、異なる調査機関による数字を単純に順位付けすることには注意が必要です。
調査方法・情報源について
本記事は、海外における安楽死・医師幇助死・assisted dyingに関する世論調査を比較するため、各国の世論調査機関、公的機関、議会・政府資料、制度監督機関、およびPubMed等で確認可能な査読付き学術論文を調査して作成しています。
世論調査については、可能な限り調査機関が公表している原資料を確認し、調査年、対象者数、質問内容、回答選択肢、対象となる制度や条件を確認しています。
また、安楽死(euthanasia)、医師幇助自殺(physician-assisted suicide)、medical assistance in dying(MAID)、assisted dyingなどは国によって定義や法制度上の意味が異なるため、本記事では可能な限り各国の制度上の用語を確認したうえで整理しています。
医学・生命倫理・社会的影響に関する論点については、PubMed収載論文、査読付き論文、系統的レビューを優先して参照しています。
なお、本記事は安楽死制度の法制化をめぐる議論に必要な情報を整理することを目的としており、個別の医療・法律上の助言を行うものではありません。
「世論が制度化を後押しする一因になる」
海外の事例を見ると、安楽死・医師幇助死に対する一定の国民的支持が存在する国が少なくありません。
ただし、世論の存在だけで制度が成立したと考えることはできません。実際の法制化には、司法判断、議会での立法、政党間の議論、医療・倫理上の検討、市民運動、国民投票など、複数の要因が関係しています。
また、同じ国でも「終末期の患者に「世論が制度化を後押しする一因になる」
海外の事例を見ると、安楽死・医師幇助死に対する一定の国民的支持が存在する国が少なくありません。
ただし、世論の存在だけで制度が成立したと考えることはできません。実際の法制化には、司法判断、議会での立法、政党間の議論、医療・倫理上の検討、市民運動、国民投票など、複数の要因が関係しています。
また、同じ国でも「終末期の患者に限定する場合」と「非終末期の患者まで対象を広げる場合」では支持率が大きく異なることがあります。
したがって、本記事では「海外では安楽死に何%が賛成しているか」という単純な数字だけではなく、「どのような条件の制度を国民が支持しているのか」に注目して比較します。限定する場合」と「非終末期の患者まで対象を広げる場合」では支持率が大きく異なることがあります。
したがって、本記事では「海外では安楽死に何%が賛成しているか」という単純な数字だけではなく、「どのような条件の制度を国民が支持しているのか」に注目して比較します。
世論調査だけでは分からない「反対・慎重論」
安楽死・医師幇助死については、国民世論が比較的肯定的な国でも、医療従事者や障害者団体、生命倫理の研究者などから慎重論が示されています。
主な論点には、
・医師が死をもたらす行為に関与することの倫理的問題
・本人の意思決定能力をどのように評価するか
・社会的孤立、貧困、介護負担などが「死を選ぶ理由」に影響しないか
・障害者や高齢者が「周囲に迷惑をかけたくない」という圧力を感じないか
・精神疾患や認知症の場合に、本人の意思が安定した自発的意思なのかをどう判断するか
・対象範囲が将来的に拡大する可能性をどう評価するか
・医療機関や医療従事者の良心的拒否をどのように扱うか
などがあります。
これらは制度化そのものを否定する論拠としてだけではなく、制度を設計する際に検討すべき安全性・濫用防止策としても重要です。
本記事では、安楽死制度を支持する世論だけを紹介するのではなく、こうした反対・慎重論についても、可能な限り査読付き研究や公的資料に基づいて紹介します。






























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