安楽死が合法の国一覧【2026年最新版】年代順+制度の違いもチェック

更新日:9月9日
最終更新日:2026年8月26日(随時更新)
※更新履歴:図表の挿入|各国の補足追加|FAQ改訂|嘆願書項目
👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓

【※留意事項】
本ページでは便宜上「安楽死法」という用語で一括りしていますが、
実際の制度には複数の定義や方法論があることは覚えておきましょう。
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
分類 | 医師が致死薬を投与 | 本人が服用 | 代表例 |
積極的安楽死 | ○ | ― | オランダ、ベルギー、スペイン等 |
医師幇助自殺 | ― | ○ | スイス、米国の多くの州等 |
両方を認める制度 | ○ | ○ | カナダ、オーストラリア等 |
判例・司法判断による限定的容認 | 制度による | 制度による | ドイツ、イタリア等 |
個別判決・特例 | 制度化されていない | 制度化されていない | ペルー等 |

👉安楽死の方法とは|医師投与・自己投与・両方型の3つを世界の制度と比較解説
【年代順】安楽死が合法化された国・地域一覧
安楽死制度は、ある日突然広がったものではありません。
数十年にわたる議論と制度設計の積み重ねによって、段階的に世界へ広がってきました。
このページでは、その流れを「年代順」で整理し、どの国がいつ、どのように制度を導入したのかを一目で理解できるようにまとめています。
2000年代以降、安楽死は“例外的な制度”から“国際的な政策テーマ”へと変化しています。
※各国名をクリックすると、
それぞれの国における安楽死制度の詳細ページをご覧いただけます。
【安楽死・医師幇助自殺・司法判断を区別した
世界制度データベース】
1980年
・ドイツ
安楽死協会DGHSが誕生。
※初の実施例は1984年。
1982年
・スイス
安楽死(民間)団体『Exit』が誕生。
事実上の合法化(not 法制度化)…厳密にいうと↓
スイスでは国家による積極的安楽死制度とは異なる形で、
自殺幇助が一定条件下で認められている状態
※1943年の法律は安楽死の是非とは関係なく『恋人の心中事件』絡みの法律
1995年
ノーザンテリトリー地域
世界で初めての安楽死法案
初めての安楽死を法制度した『地域』
※わずか1年間の実施で以後無効(この時『サルコ』のフィリップニチケが活躍)
1997年
・アメリカ
オレゴン州 アメリカで初めて安楽死制度が成立した州
※厳密にいうとオレゴン州で医師による自殺幇助を認める
Death with Dignity Actが成立
※現在は14州で合法化

2001年
・オランダ
世界で初めて安楽死制度が成立した国
(2002年に運用スタート)
2002年
・ベルギー 安楽死制度が成立
2009年
・ルクセンブルク 安楽死制度が成立
2015年
・カナダ 安楽死制度が成立
Medical Assistance in Dying(MAID)制度化
・コロンビア 同上
国会による包括的な安楽死法の成立ではなく、
憲法裁判所の判決(1997年C-239、2021年C-233)を通じて、
一定の条件下で安楽死を認める法的枠組みが形成
2019年
ビクトリア州 豪で初めて法制度化した州
※現在はノーザンテリトリーを除く全ての州で法制度化

・イタリア
憲法裁判所が「自殺ほう助は必ずしも犯罪に該当しない」と判決
※それを受けて2022年に支援団体『ルカ・コシオーニ協会』が
初めて(自前で)安楽死を実施=合法化(…厳密には↓)
自殺幇助について憲法裁判所が一定条件下で刑事罰の対象外となり得る判断
2020年
・ドイツ
最高裁判所「自殺ほう助の厳格な禁止は違憲」
司法により明確に合法化…厳密にいうと↓
司法判断により自殺幇助に関する刑事規制が大きく変更された国
2021年
・オーストリア 安楽死制度が成立
・ニュージーランド 同上
End of Life Choice Act 2019が施行。
独立した審査・登録・監視体制を含む制度として運用開始
2019年 法律成立
↓
2020年 国民投票
↓
2021年11月7日 施行
・スペイン 同上
Ley Orgánica 3/2021, de 24 de marzo, de regulación de la eutanasia
2021年3月24日 法律成立
↓
2021年6月25日 施行
2023年
・ポルトガル 安楽死制度が成立
・キューバ 同上
2024年
・エクアドル 安楽死の合法化
・ペルー
女性の難病患者が安楽死にて亡くなる(合法化が確定 not 法制度化)
※最高裁判所が2022年に特例で『安楽死』を許可
2025年
トスカーナ州で安楽死が正式に法制度化
※イタリアは2019年に裁判の判例では認められていたが、トスカーナ州では法制度へ(2月11日)
・マン島(イギリス王室の領地)
安楽死制度の成立(3月25日)
・デラウェア州 in アメリカ
安楽死制度の成立(5月21日)
・エストニア
司法が自殺幇助を合法化(5月)
・スロベニア
安楽死制度の成立(7月18日)
→その後11月の国民投票の結果、廃案
安楽死制度の成立(10月16日)
※南米で初めての法制度化した地域
2026年4月:施行規則公布
4月21日より施行、制度運用の開始
Ley N.º 20.431 – Ley de Muerte Digna; Eutanasia
・イリノイ州 in アメリカ
安楽死制度の成立(12月13日)
・ニューヨーク州 in アメリカ
安楽死制度の成立(12月27日)
2026年
・ジャージー島(英国王領地)
議会にて安楽死法案が可決(2月26日)
※正式には7月10日、国王の最終認可後に成立
・フランス
安楽死法案が可決(7月15日)
8月19日に官報掲載・公布済み
※注意
・安楽死の合法化=安楽死が認められている事 or 認められている状況
※国家システムとしての法律がないこともあり
(ex.スイス、ドイツ、イタリア、ペルーなど)
・安楽死の法制化=国会にて議論され国家システムとして成立したこと
・学術的な分類
① 法律による制度化
② 判例・司法判断による一定範囲の合法化/非犯罪化
③ 州・自治体レベルの制度化
④ 個別事案に対する司法上の許可
⑤ 法案成立・公布済みだが施行前
⑥ 法案審議中
世界の終末期における死の選択制度は、一つのモデルから発展してきたものではありません。積極的安楽死、医師幇助自殺、MAID、司法判断による限定的な非犯罪化など、国・地域によって制度の形態は大きく異なります。
そのため、「安楽死が合法化された国」という単純な一覧だけでは各国制度の違いを十分に把握できません。
本ページでは、制度の成立時期だけでなく、法的根拠、実施方法、対象者、審査・監視制度などを、できる限り区別して整理していきます。
👉詳しくは「安楽死制度はどう導入されるのか」を参照してください↓
・2000年以前に安楽死が合法化された国
スイス (ドイツ) アメリカ
・2000年代に安楽死が合法化された国
オランダ ベルギー ルクセンブルク
※👉 安楽死の制度化は、緩和ケアの発展とも密接に関係しています。
・2010年代に安楽死が合法化された国
カナダ コロンビア
オーストラリア イタリア
・2024年以前に安楽死が合法化された国
ドイツ オーストリア
ニュージーランド スペイン
ポルトガル キューバ
エクアドル ペルー
備考:大枠の潮流イメージ
・1970年代~2000年は
安楽死の『草創期』
・2000年~2015年前後は
『発展期』
※この時期、世界では残酷な延命治療という悪習は虐待と見なされ淘汰
(=消極的安楽死(日本でいう尊厳死法案)が世界中で成立していく)
・2015年前から『成長期』へ 。
※👉 安楽死制度の是非については、倫理・宗教・社会制度など多様な観点から議論されています。日本のケースは↓
👉 各国の安楽死制度や最新動向については、世界の安楽死動向(世界地図つき)をまとめたこちらの記事もご覧ください
比較表
国・地域 | 制度 | 法的根拠 | 開始・施行 | 医師投与 | 自己投与 | 主な対象 |
オランダ | Euthanasia / PAS | 法律 | 2002 | ○ | ○ | 一定の耐え難い苦痛等 |
ベルギー | Euthanasia | 法律 | 2002 | ○ | ― | 一定の要件 |
ルクセンブルク | Euthanasia | 法律 | 2009 | ○ | ― | 一定の要件 |
カナダ | MAID | 連邦法 | 2016 | ○ | ○ | 法定要件 |
スペイン | Euthanasia | 有機法 | 2021 | ○ | ○ | 法定要件 |
NZ | Assisted Dying | 法律 | 2021 | ○ | ○ | 法定要件 |
スイス | Assisted suicide | 刑法等 | ― | ― | ○ | 非利己的動機等 |
米国 | Medical aid in dying | 州法 | 1997~ | ― | ○ | 州ごとに異なる |
ドイツ | Assisted suicide | 司法判断等 | 2020~ | 原則× | △ | 制度構造が異なる |
イタリア | Assisted suicide | 憲法裁判所判例等 | 2019~ | 原則× | △ | 厳格な条件 |
👉 世界各国の申請プロセスをまとめて確認する場合はこちら(ハイライト)↓
日本
日本では現在、積極的安楽死を制度として認める法律はありません。
↓
👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓
FAQ(よくある質問)
Q. 安楽死と医師幇助自殺は同じですか?
A. 同じではありません。一般に、安楽死は医療者が致死薬を投与して患者の死を直接もたらす行為を指します。一方、医師幇助自殺では、医療者が必要な薬剤を提供し、本人が自ら服用・投与します。ただし、国によって法律上の定義や制度名称は異なります。
👉 安楽死と自殺の違い・関係を整理したい方は、こちらをご覧ください↓
Q. 安楽死と尊厳死は同じですか?
A. 同じではありません。一般に「尊厳死」は、延命治療の差し控え・中止などによって自然な死の経過を尊重する考え方を指すことが多く、「医療者が致死薬を投与して死をもたらす安楽死」とは区別されます。
👉 混同されやすい、安楽死と尊厳死の違いをを知りたい方は、こちら(延命治療との関係も整理)↓
Q. 「合法化」と「法制化」は違いますか?
A. 本ページでは区別しています。「法制化」は、法律として制度が整備された場合を指します。一方、「合法化」は、法律の制定だけでなく、司法判断によって一定の行為が犯罪として処罰されなくなる場合なども含むことがあります。そのため、各国について「法律による制度化」「司法判断」「個別判決」などを区別して表示しています。
Q. スイスでは安楽死が合法なのですか?
A. スイスは、オランダやスペインのように積極的安楽死を包括的な制度として法制化した国とは制度構造が異なります。一定の条件下で自殺幇助が刑事罰の対象とならないことを背景として、医療者や民間団体が関与する自殺幇助が行われています。そのため、本ページでは「安楽死制度を法律で導入した国」と同列に扱わないよう注意しています。
Q. カナダのMAIDは安楽死ですか?
A. カナダのMedical Assistance in Dying(MAID)は、医療者による薬剤投与と本人による自己投与の双方を含む制度です。そのため、日本語で単純に「安楽死」と表現すると制度の範囲を正確に表せない場合があります。本ページでは、原則として正式名称であるMAIDを併記します。
Q. 緩和ケアがあるのに、なぜ安楽死制度が議論されるのですか?
A. 緩和ケアは終末期の苦痛を軽減する重要な医療ですが、安楽死制度をめぐる議論では、緩和ケアによって十分に軽減できない苦痛や、患者本人が許容できる状態についての判断、自己決定権などが論点になります。一方で、緩和ケアへのアクセスを充実させることが制度設計の前提だという考え方もあります。
👉 安楽死と関係が深い「緩和ケアと安楽死の違い」は、こちらで整理しています↓
Q. 安楽死制度にはどのようなリスクがありますか?
A. 主な論点として、本人の意思確認、判断能力、家族や社会からの圧力、障害や高齢による脆弱性、医療・介護へのアクセス格差、精神疾患、対象範囲の拡大、医療者の倫理的負担、審査・監視制度の透明性などがあります。本ページでは、制度を支持する研究だけでなく、こうしたリスクを指摘する研究も紹介しています。
Q. 日本では現在、安楽死は合法ですか?
A. 日本には、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダなどのように、一定の要件を満たした患者に医療者が死をもたらす安楽死・MAID制度を一般的な医療制度として認める法律はありません。日本の終末期医療については、厚生労働省が人生の最終段階における医療・ケアの意思決定プロセスに関するガイドラインを示しています。
👉 安楽死問題の全体像を体系的に理解したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、こちらで解説しています↓
嘆願書送付アクション
本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。
書類 一覧
・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』
・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白
・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル
・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策
・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
・カバーレター:ご挨拶(1ページ)
・要約文(2ページ)
出典・参考文献
本ページでは、安楽死・医師幇助自殺等の制度について、法律上の位置づけ、制度成立・施行時期、制度運用の実態、医学的・倫理的論点を区別して整理しています。
各国の法制度を確認する際には、可能な限り各国政府、官報、議会、裁判所等の一次資料を優先しています。
また、制度の運用実態や医学的・倫理的論点については、PubMedに収載された査読付き学術論文、systematic review、政府による年次報告書等を参照しています。
さらに、安楽死制度を支持・推進する立場の資料だけでなく、制度上のリスク、脆弱性、障害者の権利、監視・審査体制、医療者の倫理的負担などを指摘する研究・公的資料も参照しています。
「合法化」「非犯罪化」「法律成立」「公布」「施行」「制度運用開始」は、
必ずしも同じ意味ではありません。
本ページでは、各国の法的経緯に応じて、可能な限りこれらを区別して記載しています。
① 国際機関・人権機関
世界保健機関(WHO)
World Health Organization (WHO)Palliative care
WHOは、緩和ケアを生命を脅かす疾患に伴う身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を軽減し、患者と家族のQOLを改善する包括的なアプローチとして位置づけています。安楽死と緩和ケアの関係を考える際の国際的な基礎資料として参照しています。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights (OHCHR)
生命、尊厳、自己決定、差別防止、障害者の権利など、終末期医療をめぐる人権上の論点を検討する際の国際的資料として参照しています。
欧州人権裁判所(ECHR)
European Court of Human Rights (ECHR)
安楽死・自殺幇助をめぐる生命権、私生活、自己決定等の問題について、欧州人権条約との関係から判断した判例を確認するために参照しています。
特に Pretty v. the United Kingdom などの判例は、安楽死・自殺幇助をめぐる人権法上の議論を理解するうえで重要です。
欧州評議会(Council of Europe)
Council of Europe
終末期医療、患者の権利、生命倫理、医療における自己決定などに関する欧州の制度的・人権的議論を確認するために参照しています。
② 各国政府・官報・裁判所・議会
各国の「いつ合法化されたか」「法律が成立したか」「いつ施行されたか」といった情報については、学術論文や報道だけではなく、可能な限り法律・官報・政府資料・裁判所判決そのものを確認しています。
オランダ
Government of the Netherlands
オランダの終末期医療・安楽死制度に関する政府資料。
Termination of Life on Request and Assisted Suicide (Review Procedures) Act
オランダの安楽死・医師幇助自殺に関する主要法令。
ベルギー
Belgian Federal Public Service Public Health
ベルギーの安楽死制度・公的情報を確認するための政府資料。
ルクセンブルク
Government of Luxembourg
安楽死・医師幇助自殺に関する法制度・政府資料。
スペイン
Boletín Oficial del Estado(BOE)
Ley Orgánica 3/2021, de regulación de la eutanasia
スペインの安楽死制度を定める法律そのものを確認するための一次資料です。
ポルトガル
Diário da República
ポルトガルの安楽死関連法令を確認するための官報・法令データベース。
オーストリア
Rechtsinformationssystem des Bundes(RIS)
オーストリア連邦の法令・判例等を確認するための公式法律情報システム。
ニュージーランド
Ministry of Health – Assisted Dying
End of Life Choice Act 2019に基づく制度・運用に関する政府資料。
カナダ
Government of Canada / Health Canada
Medical Assistance in Dying(MAID)の制度、適格要件、統計、年次報告等を確認するための主要な政府資料。
コロンビア
Corte Constitucional de Colombia(コロンビア憲法裁判所)
1997年判決C-239、2021年判決C-233など、コロンビアの安楽死制度形成に重要な役割を果たした憲法裁判所判決を確認するための一次資料。
コロンビアについては、国会による包括的な安楽死法の成立だけを基準とするのではなく、司法判断を通じて形成された法的枠組みにも注意して記載しています。
エクアドル
Corte Constitucional del Ecuador(エクアドル憲法裁判所)
エクアドルにおける安楽死をめぐる司法判断を確認するための一次資料。
ウルグアイ
IMPO – Centro de Información Oficial
Ley N.º 20.431 – Ley de Muerte Digna; Eutanasia
2025年に公布されたウルグアイの安楽死法を確認するための公式法令データベース。
Decreto N.º 76/026
Ley N.º 20.431を具体的に運用するための施行規則。
イギリス
UK Parliament – Bills
Assisted Dying Billなど、英国議会で審議されている法案の正式な進捗を確認するための一次資料。
フランス
Assemblée nationale
フランスにおける「aide à mourir(死への援助)」関連法案の審議状況を確認するための国会資料。
台湾
立法院(Legislative Yuan)
台湾における終末期医療・安楽死関連の法案・議論を確認するための議会資料。
③ 公的統計・年次報告
制度の「存在」だけではなく、実際にどの程度利用され、どのような人が対象となり、どのような審査・監視が行われているのかを確認するため、各国の公的統計・年次報告も参照しています。
カナダ
Health Canada – Medical Assistance in Dying: Annual Reports
カナダのMAIDについて、実施件数、申請・適格性、患者の特徴、Track 1・Track 2等の情報を政府が年次報告しています。
Health Canada – MAID Annual Reports
オランダ
Regional Euthanasia Review Committees(RTE)
オランダで報告された安楽死・医師幇助自殺について、法定の「due care criteria」に照らして審査する機関です。
年次報告書や審査事例は、制度の実際の運用を確認する重要な一次資料となります。
ベルギー
Federal Control and Evaluation Commission on Euthanasia
ベルギーで実施された安楽死について、届出・審査・統計等を行う公的機関。
ニュージーランド
Ministry of Health – Assisted Dying Service
ニュージーランドのEnd of Life Choice Actに基づく制度運用・統計を確認するための政府資料。
④ PubMed・査読付き学術論文
以下は、安楽死・医師幇助自殺制度について、制度成立前後の変化、制度運用、監視、脆弱性、制度対象の拡大、医師の態度などを検討するために参照している査読付き研究です。
オランダ:制度成立前後の変化
Onwuteaka-Philipsen BD, van der Heide A, Koper D, et al.“Euthanasia and other end-of-life decisions in the Netherlands in 1990, 1995, and 2001.”The Lancet. 2003;362(9381):395-399.DOI: 10.1016/S0140-6736(03)14029-9PMID: 12907015
1990、1995、2001年のオランダにおける安楽死等の終末期医療行為を比較した研究です。2002年の安楽死法施行以前からの変化を理解するための基礎資料となります。
オランダ:安楽死法施行後の実態
van der Heide A, Onwuteaka-Philipsen BD, Rurup ML, et al.“End-of-life practices in the Netherlands under the Euthanasia Act.”New England Journal of Medicine. 2007;356(19):1957-1965.DOI: 10.1056/NEJMsa071143PMID: 17494928
オランダ安楽死法の下で行われた終末期医療を調査した研究です。安楽死・医師幇助自殺だけでなく、緩和的鎮静などとの関係も扱っています。
制度の監視・審査
Riley S.“Watching the watchmen: changing tides in the oversight of medical assistance in dying.”Journal of Medical Ethics. 2023;49(7):453-457.DOI: 10.1136/jme-2022-108470PMID: 36150893
MAID・安楽死制度における監視・審査体制を検討し、事前審査、事後審査、データ収集、透明性などの問題を論じています。
カナダ:制度運用と安全策に対する批判的検討
Coelho R, Maher J, Gaind KS, Lemmens T.“The realities of Medical Assistance in Dying in Canada.”Palliative & Supportive Care. 2023;21(5):871-878.DOI: 10.1017/S1478951523001025PMID: 37462416
カナダMAIDの制度運用、安全策、監視等を批判的に検討するレビューです。制度導入後の実態や安全性を検討する際の慎重論側の資料として参照しています。
カナダ:「脆弱性」をめぐる議論
Lazin SJ, Chandler JA.“Two Views of Vulnerability in the Evolution of Canada's Medical Assistance in Dying Law.”Cambridge Quarterly of Healthcare Ethics. 2023;32(1):105-117.DOI: 10.1017/S0963180121000943PMID: 36503576
MAID制度における自己決定と、脆弱な立場にある人を保護する必要性との緊張関係を検討しています。
カナダ:Track 2
Wiebe E, Kelly M.“Medical assistance in dying when natural death is not reasonably foreseeable: Survey of providers' experiences with patients making track 2 requests.”Canadian Family Physician. 2023;69(12):853-858.DOI: 10.46747/cfp.6912853PMID: 38092447
自然死が合理的に予見できない患者を対象とするTrack 2について、医療提供者の経験を調査しています。制度対象の拡大を考える際の重要な資料です。
安楽死・PASに対する倫理的批判
Panayiotou P.“Beneficence cannot justify voluntary euthanasia and physician-assisted suicide.”Journal of Medical Ethics. 2024;50(6):384-387.DOI: 10.1136/jme-2023-109079PMID: 37414541
患者の自律や苦痛軽減を理由として、安楽死・医師幇助自殺を「患者の利益」として正当化できるかを倫理学的に検討した批判的研究です。
医師の態度:2026年systematic review
Song Y-X, Tsai DF-C.“Worldwide physicians' attitudes toward euthanasia and physician-assisted death: A systematic literature review.”Journal of the Formosan Medical Association. 2026.DOI: 10.1016/j.jfma.2026.04.053PMID: 42049566
世界の医師の安楽死・医師幇助死に対する態度を扱ったsystematic reviewです。2026年時点の最新研究の一つとして、医療者の態度を考える際の資料としています。
⑤ 反対・慎重論および制度上のリスク
安楽死制度については、自己決定権や苦痛からの解放を重視する議論がある一方、
脆弱な立場にある人への影響
障害者の権利
社会的圧力
医療アクセスとの関係
緩和ケアとの関係
医療者の倫理的葛藤
審査・監視制度
制度対象の拡大
などについて、慎重論・批判的研究も存在します。
本ページでは、制度の導入を検討する立場からも、これらの論点を無視せず、制度設計上検討すべき課題として併記しています。
特に以下の研究を参照しています。
Panayiotou 2024 ― 安楽死・PASの倫理的正当化に対する批判
Coelho et al. 2023 ― カナダMAIDの制度運用・安全策への批判的検討
Lazin & Chandler 2023 ― 脆弱性とMAID制度
Wiebe & Kelly 2023 ― Track 2の医療提供者経験
Riley 2023 ― 制度の監視・審査体制
これらは「安楽死制度が危険であること」を一律に証明する資料ではありません。
制度の利点・問題点の双方を検討するための研究として位置づけています。
⑥ 日本の終末期医療に関する公的資料
厚生労働省
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
日本における人生の最終段階の医療・ケアについて、本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームによる十分な話し合いを重視する考え方を示しています。
⑦ 本ページの情報確認について
本ページは、単に「安楽死が合法な国」を列挙することを目的としたものではありません。
各国について、
① 法律・判例上の位置づけ
↓
② 法律の成立・公布
↓
③ 施行時期
↓
④ 実際の制度運用
↓
⑤ 公的統計・年次報告
↓
⑥ 学術研究による検証
という複数の情報源を照合しながら整理しています。
そのため、同じ「安楽死が認められている国・地域」という表現でも、
国会による法律制定
裁判所による違憲判決・非犯罪化
行政による制度運用
州・自治体レベルの制度
特定の個人についての司法上の例外
医師幇助自殺のみを認める制度
など、法的性質が異なる場合があります。
特にコロンビア、スイス、ドイツ、イタリア、ペルー、エクアドル等については、「法律による制度化」と「司法判断・法解釈による合法化・非犯罪化」を区別する必要があります。
情報更新日
2026年8月27日
本ページは、
各国の法改正、裁判所判決、制度運用、政府統計等の更新に応じて随時見直しています。
調査・編集方針
本ページでは、安楽死・医師幇助自殺・終末期の医療的支援を区別し、各国政府・議会・裁判所・官報等の一次資料を優先して確認しています。
制度の存在だけでなく、「法律による制度化」「司法判断による一定範囲の合法化・非犯罪化」「州・地域レベルの制度」「個別事案に対する司法判断」「法案審議中」などを区別して整理しています。
また、制度の実態や安全性に関する記述については、PubMed収載の査読付き論文、医学・生命倫理学分野の研究、各国政府による年次報告書等を参照しています。
安楽死制度については賛成・推進側の研究だけでなく、制度上のリスク、脆弱性、医療者の倫理的負担、監視制度、対象範囲の拡大等を問題とする研究も併記し、特定の立場から一面的に評価しないよう努めています。
最終更新:2026年8月27日
※各国の法制度は変更される可能性があるため、重要な法的判断については各国の最新の公的資料も併せて確認してください。
本ページで使用している主な情報源
・各国政府・保健省
・各国議会・官報
・裁判所・憲法裁判所
・WHO等の国際機関
・PubMed収載論文
・査読付き医学・生命倫理学研究
・各国の年次統計・監視報告書
情報源は、可能な限り二次情報ではなく一次資料を優先しています。
RiP:Dでは2025年以降、各国の安楽死・医師幇助自殺制度について、法令、政府統計、裁判例、議会資料、医学・生命倫理学文献を継続的に調査しています。
制度変更があった国については随時更新しています。
















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