top of page

日本の安楽死制度導入に関する提言書【補足資料①】日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白

執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
リップディー(RiP:D)
8月5日
読了時間: 21分

更新日:8月16日

※最終更新日:2026年8月5日(随時更新)


👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓


👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓



日本にも安楽死制度の導入を要望する嘆願書|【補足資料①】日本における制度上の空白と現状


日本の安楽死制度の法的現状と制度的空白をまとめた青基調の解説図。左に現状、右に安楽死・尊厳死・延命治療の比較表。

医療・安楽死制度の課題と必要性を示す日本語の情報図。青基調で、患者・医師・制度の問題、国際比較、法整備の必要性を図表で説明。


当会 Rest in Peace with Dignity(RiP:D) が作成し、国会議員ならびに関係各所へ提出するために取りまとめた嘆願書(提言書)を公開しました。




本ページでは、嘆願書の

「補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白」 を掲載します。


本嘆願書は、日本における終末期医療の現状や制度上の課題を整理するとともに、海外制度の実例や公的統計、緩和ケアの限界、安全性を担保する制度設計など、多角的な観点から法制度化の必要性を提言するものです。


提出用の資料一式は、以下の構成となっています。



・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』

・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白

・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル

・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策

・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題

・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態

・カバーレター:ご挨拶(1ページ)

・要約文(2ページ)



なお、本ページでは安楽死制度について初めて知る方にも理解しやすいよう、関連する解説記事へのリンクを随所に掲載しています。制度の背景や各論点について詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。


また、実際に国会議員および関係機関へ提出する正式版については、ページ下部に掲載している PDF版 をご参照ください。



🎧音声による動画解説

 


要約図(自由使用可)


日本の安楽死制度の空白を訴える日本語インフォグラフィック。法的空白、患者の苦痛、統計、法制化提言を図解しています。



嘆願書|補足資料 ① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白




Ⅰ. 日本における法的・制度的現状


・安楽死の法的地位

日本において、医師が患者の明確な意思に基づき、薬物等を用いて生命を終結させる、いわゆる「積極的安楽死」については、これを明示的に認める法律は存在しておらず、現行の刑法体系においては違法と解されている。


医師または第三者による生命の積極的な終結行為は、刑法上、嘱託殺人罪または自殺幇助罪に該当する可能性がある。

過去には、1995年3月28日の東海大学安楽死事件に関する横浜地方裁判所判決において、安楽死が成立し得る場合の「一定の要件」が示唆されたものの、これらは個別事案における判断にとどまり、一般的な法的拘束力を有する制度として確立されたものではない。そのため、医師は現在においても、同様の行為を行った場合に刑事責任を問われるリスクを免れない状況にある。


また、厚生労働省により「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」が示されているが、同ガイドラインは法令ではなく、行政上の通知・指針に位置付けられるものであり、法的権利義務を直接に規定するものではない。




 

・「消極的安楽死(延命治療の中止/差し控え)」との区別

日本では、治療を中止・差し控える「消極的安楽死」(あるいは「尊厳死」も含めて議論されることがある)は一定の形で認められている、またはその検討が行われてきた。

ただし、この「延命治療の中止等に関する判断」は、ガイドラインレベルにとどまり、法制度として明確に保障されたものではない。

つまり、尊厳死を選択肢とする際にも、医師や医療機関は法的リスクや倫理的な曖昧さを抱える可能性がある。


 

 

緑背景の日本語解説図。左に消極的安楽死(passive euthanasia)、右に治療の差し控えと中止を大きく表示し、末期がんや延命治療の説明文が並ぶ。


 

・制度としての「安楽死法」「尊厳死法」の不在

 日本国内では、安楽死および尊厳死を包括的に規定する法律は整備されておらず、長年にわたって法制度の空白が続いている。

このため、医療現場における判断基準や法的根拠、手続き、責任の所在などが明確でなく、患者・家族・医療者の間で不安・混乱が生じやすい構造にある。

 



・社会の変化と法制度整備の遅れ

一方で、国際的には安楽死を制度化する国が増えており、世界の潮流とのギャップが拡大している。

また、日本国内においては、終末期医療および緩和ケアの分野において一定の進展が見られるものの、すべての患者が自ら望む形で十分な緩和ケアを受けられる体制が一様に確保されているとは言い難い状況にある。

 

加えて、国際的な緩和ケアの分野においては、終末期医療において、緩和ケアには一定の限界が存在するとの認識が共有されつつあり(詳細は補足資料④を参照)、緩和ケアの重要性が強調される一方で、その限界については、これまで公的な議論の場において十分に整理・共有されてきたとは言えない。

 

その結果、医療提供体制の地域差、患者の病状、家族の支援状況等の要因により、苦痛の軽減や尊厳の保持が十分に達成されない事例が依然として存在している。さらに、今後の人口構造の変化や社会環境の推移を踏まえると、こうした事例は増加していく可能性があると考えられる。

また、公的統計では、身体疾患や身体障害による苦痛を背景とした自殺が毎年数千人規模で継続して確認されており、この点については補足資料⑤で整理する。



 



緑背景の説明スライドで、左に「間接的安楽死(indirect euthanasia)」、右に「緩和ケアにおける『持続的な深い鎮静』のこと」と大きな日本語本文が並ぶ。

 

 👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓






Ⅱ. 問題点とその帰結


・患者 家族の苦悩と選択の制限

積極的安楽死が違法である現行法のもとでは、「苦痛からの解放」「尊厳ある最期」を望む患者や家族に対し、法的選択肢が存在しない。

これは、個人の尊厳と自己決定の権利を制度として保障できていないことを意味する。




・医療現場の倫理的 法的ジレンマ

医療者側も、延命治療の中止や差し控え、緩和ケアといった選択を迫られるなかで、法的責任、倫理的葛藤、家族対応など複雑な判断を強いられる。法的根拠が曖昧であることにより、医療現場の実践が不安定になりがちである。



・制度の透明性 一貫性の欠如

治療中止の判断が「ガイドライン任せ」「医療機関・担当医任せ」では、基準が一定せず、地域や病院、医療者によって対応に差が生じやすい。

また、現行制度では実施状況や判断過程が公的に記録・報告される仕組みがなく、社会的な透明性が確保されていない。



・国際水準とのギャップ

安楽死を合法化・制度化した国々と比べ、日本の法制度は大きく遅れており、医療・福祉の選択肢の幅という点で遅れをとっている。これにより、海外に移行を考える患者や家族が出るなど、「制度の外への流出」が懸念されている。


海外渡航には多額の費用・語学・情報の格差により、実質的に「富裕層のみの選択肢」を引き起こすという不平等が生じる可能性がある。国内での制度不在が「人権の国外流出を招いている」状況である。



 

緑背景の講義スライド。見出しは「現在の世界視点での安楽死」。安楽死、自己ほう助、延命処置の差し控え・中止、持続的鎮静などの説明文が並ぶ。

 

 


 

 


Ⅲ. 制度整備の必要性


私達は、自らを「安楽死の合法化をめざす会」と定め、ウェブサイト上で「安楽死の合法化は世界の潮流」であり「複数の国・地域で制度化が進み、各国で制度拡大・見直しをめぐる議論が続いている」ことを示し、日本における制度的整備の必要性を訴えている。


私達の主張は、日本には安楽死を希望する声、苦痛からの解放を求める当事者の存在があり、制度的選択肢が全くない現状は、人道・倫理・人権の観点から問題であるという事という点にある。


このような現実を受けて、法的枠組みおよび制度設計の検討を、国会および関係省庁で行うことが喫緊の課題であると考える。


 





Ⅳ. 結び


現行の法制度は、積極的安楽死に関して明確な制度を持たず、延命治療の中止・差し控えも法的保証が乏しい。結果として、患者・家族・医療者が尊厳ある最期を迎えるための選択肢は、極めて限定されている。


ガイドラインは法的拘束力を持たず、判断の最終責任が個々の医師に帰属するため、終末期医療における根本的な不安定性を解消することはできない。

一方、国際的には安楽死を制度化・合法化する国が増え、世界とのギャップが広がっている。

日本も、倫理・人権・医療の現実を直視し、法制度として整備する検討を開始すべきである。


本補足資料①は、その法的・制度的空白と現状を整理したものである。


制度的空白が患者・家族・医療現場に及ぼす影響については、補足資料②~⑤において、国際的制度、安全性、緩和ケアの限界、公的統計の各側面から整理している。



 

嘆願書(提言書)

【補足資料①】日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白



 




FAQ|よくある質問|日本の安楽死制度と法制化について


Q1.安楽死と尊厳死は同じものですか?

A. いいえ、一般には同じ意味ではありません。

安楽死は、医療者などが患者の生命を意図的に終結させる行為を指す場合が多い一方、尊厳死は、人生の最終段階において本人の意思を尊重し、生命維持治療の差し控え・中止などを行うことと関連して議論されます。

両者は法的・医学的に異なる問題であるため、本ページでも区別して扱っています。


Q2.日本では安楽死は合法ですか?

A. 日本には、医師による積極的安楽死を一般的な医療行為として認める法律は現在ありません。

過去の裁判では、安楽死が許容され得る条件について判断が示された例がありますが、これは個別事件における司法判断であり、現在の日本に安楽死制度が存在することを意味するものではありません。


Q3.東海大学安楽死事件とは何ですか?

A. 1995年3月28日に横浜地方裁判所が判決を示した刑事事件です。

末期患者に対する治療行為の中止と、医師による生命終結行為が問題となり、裁判所は積極的安楽死について一定の要件を論じました。

ただし、事件の医師は有罪判決を受けており、この判決によって安楽死制度が合法化されたわけではありません。


Q4.安楽死を認めると、自殺が増えるのではありませんか?

A. この問題については、研究者の間でも見解が一致しているわけではありません。

制度化された地域について、自殺幇助・安楽死と一般的な自殺との関係を検討した研究がありますが、制度や対象集団、統計方法によって結果は異なります。

そのため、「安楽死制度が自殺を増やす」「絶対に増やさない」と単純化するのではなく、制度別・地域別の研究を確認する必要があります。


Q5.安楽死制度を導入すると、障害者や高齢者が圧力を受ける危険はありませんか?

A. 重要な論点の一つです。

安楽死制度に対しては、障害者、高齢者、社会的に孤立した人などが「周囲に迷惑をかけたくない」という心理や社会的圧力によって死を選択する可能性を懸念する意見があります。

一方で、制度化された地域のデータから脆弱な立場の人々への影響を検討し、明確な過剰リスクを確認できなかった研究もあります。

したがって、本提言ではこの問題を無視するのではなく、意思決定能力の確認、複数の医師による評価、独立審査、第三者による監督、社会的支援へのアクセスなどを制度設計上の重要課題として扱っています。


Q6.精神疾患の患者にも安楽死を認めるべきですか?

A. 非常に慎重な検討が必要な論点です。

オランダなどでは精神疾患を理由とする安楽死・医師幇助死の事例が報告されており、意思決定能力、治療可能性、苦痛の不可逆性、代替治療の有無などについて議論が続いています。

本提言では、精神疾患を理由とするケースを当然に対象とするのではなく、制度設計上の独立した検討課題として扱うことを重視しています。


Q7.安楽死を認めることは、緩和ケアを否定することになりませんか?

A. 本提言は緩和ケアを否定するものではありません。

むしろ、緩和ケアを終末期医療の基本として充実させたうえで、それでもなお苦痛が十分に軽減できないケースについて、別の制度的選択肢を検討すべきではないかという立場です。

緩和ケアの有効性と限界については、補足資料④で医学的研究をもとに整理しています。


Q8.海外の安楽死制度は本当に安全なのですか?

A. 「完全に安全」と断定することはできません。

各国には適格性要件、複数医師による確認、報告制度、審査機関などの安全策がありますが、それらが十分に機能しているかについては研究者の間でも議論があります。

ベルギーなどについては、安全策や監督制度の実効性に問題がある可能性を指摘する研究も存在します。

そのため、本提言では海外制度をそのまま導入するのではなく、各国の制度と問題点を比較したうえで、日本に適した安全策を検討することを提案しています。


Q9.安楽死制度に反対する研究や意見も検討していますか?

A. はい。

本サイトでは、制度を支持する研究だけでなく、濫用、脆弱な立場にある人への影響、精神疾患への適用、医療者の倫理的負担、いわゆる滑り坂論などに関する反対・慎重論も確認しています。

本提言の目的は反対意見を排除することではなく、賛成・反対双方の論点を確認したうえで、日本で制度を検討する場合に必要となる安全策を明確にすることです。


Q10.RiPはどのような資料を根拠にしていますか?

A. 法律・制度については、厚生労働省、e-Gov、裁判資料、国会資料、各国政府・公的機関などを優先して参照しています。

医学・生命倫理については、PubMedで確認できる査読付き論文やレビュー論文、国際的な医学・緩和ケア関連機関の資料などを参照しています。

また、重要な論点については、できる限り一次資料と学術研究を併記し、事実とRiPとしての政策的評価を区別するよう努めています。




安楽死を知るための9記事


⓪ 👉安楽死とは

「安楽死とは何か?日本では違法なのか?」

そんな疑問を、初心者でもわかるように整理して解説します。

この記事を読めば、安楽死の全体像が5分で理解できます。



① 👉種類

安楽死にはどんな種類があるのか知っていますか?

積極的・消極的・間接的の違いを具体例つきでわかりやすく解説します。

混同しやすいポイントも整理しています。



② 👉日本の法律

日本で安楽死は認められているのか?

判例や条件をもとに、どこまで許されるのかをわかりやすく解説します。

医師の責任についても理解できます。



③ 👉尊厳死

安楽死と尊厳死は何が違うのか?

混同されやすい2つの違いを、法律と医療の観点から整理して解説します。

日本での扱いもわかりやすく説明しています。



④ 👉世界

安楽死が認められている国はどこなのか?

各国の制度や条件の違いを整理し、わかりやすく一覧で解説します。

日本との違いも一目で理解できます。



⑤ 👉緩和ケア

安楽死と緩和ケアは何が違うのか?

苦痛の軽減という観点から、それぞれの考え方と役割をわかりやすく解説します。

選択の違いも理解できます。



⑥ 👉賛否

安楽死は本当に許されるべきなのか?

賛成・反対それぞれの理由を整理し、海外の議論も含めて比較します。

考え方の違いがクリアになります。



⑦ 👉自殺

安楽死と自殺は同じものなのか?

法律・倫理・医療の観点から、その違いをわかりやすく解説します。

誤解されやすいポイントも整理しています。



⑧ 👉歴史

日本の安楽死の歴史・事件にはどのようなものがあるのか?

安楽死はどのように変化してきたのか?

ナチス時代から現代までの流れを時系列で整理して解説します。






出典・参考資料


日本と制度化国の比較

項目

日本

オランダ

ベルギー

カナダ

積極的安楽死

法制度なし

制度化

制度化

MAID制度

医師関与

法的制度なし

あり

あり

あり

法的要件

一般制度なし

法定要件

法定要件

法定要件

複数医師による確認

制度なし

条件により必要

条件により必要

必要

報告・審査

制度なし

あり

あり

あり

精神疾患

制度なし

議論・制度あり

制度あり

法制度上の扱いを継続的に議論

第三者審査

制度なし

事後審査

事後審査

各種監督制度

年次報告

なし

あり

あり

あり



安楽死・尊厳死・緩和ケアの違い

安楽死・尊厳死・緩和ケアの違いを比較する日本語の表。赤・青・緑の3列で、定義や目的、法的位置づけなどを説明している。


具体的な制度設計 → 補足資料③


患者本人の意思

↓

医学的診断

↓

苦痛・代替治療の評価

↓

意思決定能力の確認

↓

独立した医師による再評価

↓

第三者審査

↓

一定の熟慮期間

↓

最終意思確認

↓

実施

↓

事後報告・監査




① 日本の法制度・判例


厚生労働省

厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」平成30年3月改訂。

本資料では、人生の最終段階における本人の意思決定、医療・ケアチームによる合意形成、治療の開始・不開始・変更・中止等について参照しています。


横浜地方裁判所

「東海大学安楽死事件」平成7年3月28日判決、平成4年(わ)第1172号、判例時報1530号28頁。

積極的安楽死および治療行為の中止について、裁判所が一定の要件を論じた代表的判例として参照しています。



② オランダ


van der Heide A, Onwuteaka-Philipsen BD, Rurup ML, et al.

End-of-life practices in the Netherlands under the Euthanasia Act.New England Journal of Medicine. 2007;356(19):1957-1965.doi:10.1056/NEJMsa071143.PMID:17494928.

オランダの安楽死法施行後の終末期医療・安楽死・医師幇助自殺等の実態を検討した研究として参照しています。


Battin MP, van der Heide A, Ganzini L, van der Wal G, Onwuteaka-Philipsen BD.

Legal physician-assisted dying in Oregon and the Netherlands: evidence concerning the impact on patients in "vulnerable" groups.Journal of Medical Ethics. 2007;33(10):591-597.doi:10.1136/jme.2007.022335.PMID:17906058.

高齢者、障害者、低所得者、精神疾患患者等の脆弱な立場にある人々への影響を検討した研究として参照しています。


Finlay IG, George R.

Legal physician-assisted suicide in Oregon and The Netherlands: evidence concerning the impact on patients in vulnerable groups—another perspective on Oregon's data.Journal of Medical Ethics. 2011;37(3):171-174.doi:10.1136/jme.2010.037044.PMID:21071568.

上記研究の方法・結論について批判的検討を行った研究として、反対・慎重論の資料に用いています。



② ベルギー


Saad TC.

Euthanasia in Belgium: legal, historical and political review.Issues in Law & Medicine. 2017;32(2):183-204.PMID:29108142.

ベルギーにおける安楽死法制の成立、政治的経緯、法改正、制度上の問題を検討したレビューとして参照しています。


Cohen J, Van Wesemael Y, Smets T, et al.

Euthanasia in Belgium: Shortcomings of the Law and Its Application and of the Monitoring of Practice.Journal of Medicine and Philosophy. 2021.doi:10.1093/jmp/jhaa031.PMID:33491735.

ベルギーにおける適格性基準、複数医師による確認、報告・監督制度などの安全策について、その実効性を批判的に検討した研究として参照しています。



④ カナダ MAiD


Duong D, Vogel L.

What's the status of medical assistance in dying in Canada?CMAJ. 2023;195(13).doi:10.1503/cmaj.1096045.PMID:37011930.PMCID.

カナダのMAiD制度の概要を確認する資料として参照しています。


Close E, Gupta M, Downie J, White BP.

Medical assistance in dying in Canada: A review of regulatory practice standards and guidance documents for physicians.Palliative Care and Social Practice. 2025.doi:10.1177/26323524251338859.PMID:40568215.PMCID.

カナダ各州・準州の医師向けMAiD実務基準・ガイダンスを比較し、法制度と医療実務の関係を検討した研究として参照しています。


Frolic AN, Oliphant A.

Introducing Medical Assistance in Dying in Canada: Lessons on Pragmatic Ethics and the Implementation of a Morally Contested Practice.HEC Forum. 2022;34(4):307-319.doi:10.1007/s10730-022-09495-7.PMID:36053402.PMCID.

MAiD導入時の倫理的・実務的課題を検討した研究として参照しています。


Winters JP, Jaye C, Pickering NJ, Walker S.

Providing medically assisted dying in Canada: a qualitative study of emotional and moral impact.Journal of Medical Ethics. 2025;51(6):400-410.doi:10.1136/jme-2024-110137.PMID:39209379.

MAiDを実施する医療者の感情的・倫理的負担を検討した研究として参照しています。


Frolic AN, Holland T.

An Ethics Framework for Medical Assistance in Dying: Supporting Ethical Decision-Making in the Practice of MAiD.Bioethics. 2026;40(3):299-311.doi:10.1111/bioe.70037.PMID:41123095.PMCID.

MAiDに関する臨床上の倫理的意思決定を支援する枠組みを提示した最新研究として参照しています。



⑤ 精神疾患


Kim SYH, De Vries RG, Peteet JR.

Euthanasia and assisted suicide of patients with psychiatric disorders in the Netherlands 2011 to 2014.JAMA Psychiatry. 2016;73(4):362-368.PMID:26864709.

精神疾患を理由とするオランダの安楽死・医師幇助自殺事例について、患者背景、診療・コンサルテーション、適格性判断等を検討した研究として参照しています。



⑥ 障害者・脆弱な立場にある人々


Colburn B.

Disability-based arguments against assisted dying laws.Bioethics. 2022;36?doi:10.1111/bioe.13036.PMID:35389513.

障害者をめぐる安楽死反対論を検討し、制度上の安全策と自律性について論じた研究として参照しています。


Reflections on the debate on disability and aid in dying.

PMID:21122768.

障害と安楽死をめぐる政策・倫理的議論を振り返った資料として参照しています。



⑦ 緩和ケア・難治性苦痛


Cherny NI, ESMO Guidelines Working Group.

ESMO Clinical Practice Guidelines for the management of refractory symptoms at the end of life and the use of palliative sedation.Annals of Oncology. 2014;25(Suppl 3).doi:10.1093/annonc/mdu238.PMID:25210083.

終末期における難治性症状と緩和的鎮静の管理について参照しています。


Afsharimani B, Kindl K, Good P, Hardy J.

Pharmacological options for the management of refractory cancer pain—what is the evidence?Supportive Care in Cancer. 2015;23(5):1473-1481.doi:10.1007/s00520-015-2678-9.PMID:25749509.

標準的治療に反応しない難治性がん疼痛について参照しています。


Systematic Review of Common Refractory Symptoms in the End-Of-Life Situation and Its Relation With Euthanasia.

PMID:35441562.doi:10.1177/00302228221089123.

終末期の難治性症状と安楽死との関係を検討したシステマティックレビューとして参照しています。



⑧ 制度上の反対・慎重論


安楽死制度については、自己決定・苦痛緩和・制度的選択肢の必要性を論じる研究だけでなく、制度の拡大、脆弱者保護、精神疾患への適用、監督制度の実効性、医療者の倫理的負担等を問題とする研究も参照しています。

本ページでは、これらの相反する見解を区別したうえで、最終的な制度設計上の課題を検討しています。



⑨ 情報源について


法令・行政資料については、厚生労働省、e-Gov、裁判所、国会、各国政府・公的機関等の一次資料を優先しています。

医学・生命倫理については、PubMed収載論文、査読付き医学・生命倫理研究、システマティックレビュー等を優先しています。

各資料は、制度改正・新しい研究の公表等に応じて更新します。




学術論文の「主張→根拠」対応表

ページの主張

根拠

種類

日本に積極的安楽死の制度法はない

e-Gov・判例

一次資料

東海大学事件で要件が論じられた

横浜地裁1995

判例

厚労省ガイドラインは積極的安楽死を対象としない

厚労省

一次資料

オランダでは安楽死法に基づき実施されている

オランダ政府

一次資料

オランダの実施実態

van der Heide et al.

NEJM

脆弱者への影響について肯定的評価

Battin et al.

JME

上記結論への批判

Finlay & George

JME

ベルギー制度上の問題

Cohen et al.

J Med Philosophy

カナダMAiDの制度概要

Duong & Vogel

CMAJ

カナダの規制・医師向け基準

Close et al.

Palliative Care

医療者の倫理的負担

Winters et al.

JME

MAiDの倫理的意思決定

Frolic & Holland

Bioethics

精神疾患への適用

Kim et al.

JAMA Psychiatry

難治性がん疼痛

Afsharimani et al.

Support Care Cancer

緩和的鎮静

Cherny et al.

Annals of Oncology



反対論 一覧

懸念

具体的論点

本提言での対応

社会的圧力

「迷惑をかけたくない」

意思確認・独立審査

障害者への影響

生きる価値の否定につながる懸念

脆弱者保護

高齢者

家族・経済的圧力

第三者評価

精神疾患

判断能力・不可逆性

精神科評価

滑り坂

適用対象拡大

法律で範囲固定

医師

倫理的負担

倫理委員会・相談体制

誤診

医学的判断の誤り

複数医師

監督

医療機関だけでは不十分

外部監査



日本の安楽死制度は現在どうなっている?


積極的安楽死

↓

一般的合法制度なし

↓

刑法上の問題

↓

過去の判例

↓

厚労省ガイドライン

↓

法制度上の空白



安楽死制度を検討する際の安全策


本人の意思

↓

医学的評価

↓

代替治療確認

↓

意思能力

↓

複数医師

↓

第三者審査

↓

最終意思確認

↓

実施

↓

事後監査




本ページの情報整理・調査方法について


本ページは、Rest in Peace with Dignity(RiP)が作成した政策提言資料です。


制度・法律・判例に関する記述については、可能な限り政府・公的機関の一次資料、法令、裁判資料を優先して確認しています。


医学・生命倫理・終末期医療に関する記述については、PubMed等で確認可能な査読付き学術論文、医学・生命倫理分野のレビュー論文、国際的な専門機関の資料を参照しています。


また、安楽死・医師幇助死の制度については、制度を支持する研究だけでなく、安全性、濫用、脆弱な立場にある人々への影響、精神疾患、医療者の倫理的負担などを論じる反対・慎重論も確認し、可能な限り両側の論点を掲載するよう努めています。


本ページにおける「事実・制度上の記述」と「RiPとしての評価・政策提言」は区別して記載することを基本としています。


なお、本ページは医療・法律上の個別相談を目的とするものではなく、日本における終末期医療および安楽死制度をめぐる法制度・医学・倫理上の論点を整理することを目的としています。


最終確認・更新日:2026年8月5日

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加

Rest in Peace with Dignity
 (RiP:D リップディー)
~安楽死の合法化をめざす会~

連絡先

・X公式アカウント
 

鶴 折り紙アイコン

・YouTube 公式チャンネル

リップディーのYouTubeチャンネルの紹介画像

国内外の安楽死制度・法律・社会的議論について
最新情報を毎日発信しています。

安楽死制度・法制度の理解に役立つ、

国内外の解説動画や関連コンテンツを
YouTubeで紹介しています。

リップディー(RiP:D)~安楽死の合法化をめざす会~| 安楽死制度の成立

bottom of page