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日本の安楽死制度導入・法制化に向けた【基本方針】|条件・安全策・制度設計を解説

執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
リップディー(RiP:D)
2025年9月18日
読了時間: 19分

更新日:13 時間前

最終更新日:2026年9月23日

※更新履歴:ページ全体の見直し|制度の基本的な考え方、海外制度、法的論点、参考資料などを整理・追記|情報源の明確化と読者の理解しやすさにも配慮して内容を更新


※本ページは「安楽死制度の必要性」をRiP:Dの立場から提言する政策ページであり、安楽死制度の存在そのものを示す公的説明ページではありません。現行法・海外制度・医学的知見については、本文中、本サイト内に一次資料・学術資料を示しています。


👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓


👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓


👉 混同されやすい、安楽死と尊厳死の違いをを知りたい方は、こちら(延命治療との関係も整理)↓



日本では現在、安楽死を明確に認める法制度は存在せず、

終末期医療の判断は医療現場や個々のケースに委ねられているのが現状です。


その中で、回復の見込みがない苦痛や、耐えがたい身体的・精神的苦悩に直面する人々に対し、どのような選択肢を社会として用意すべきかが問われています。


こうした背景のもと、リップディー(RiP:D)は、安楽死制度の導入に向けた

「基本方針」を提示し、自己決定権と尊厳ある最期の実現を軸とした制度設計の必要性を提唱しています。



本記事では、この基本方針の内容をもとに、安楽死制度の理念、適格基準、導入に向けた考え方を整理し、日本における制度化の可能性と課題についてわかりやすく解説します。




👉 世界の安楽死制度の成立経緯を年代順で知りたい方は、こちら↓


👉 世界各国の安楽死制度を知りたい方は、はこちらで解説しています↓



🎧音声による動画解説



要約図(自由使用可)


日本の安楽死法制化の基本方針を図解したポスター。個人の尊厳と痛みへの対応を示す。青と緑のパステルのイラストとテキスト。


日本で安楽死制度を導入する場合、何が必要なのか?

日本には現在、積極的安楽死を一般的な医療制度として認める明確な法制度はありません。一方、厚生労働省は人生の最終段階における医療・ケアについて、本人の意思決定を基本とし、医療・ケアチームとの十分な話し合いを重視するガイドラインを示しています。なお、生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は同ガイドラインの対象外です。

※参考↓


RiP:Dは、この「制度としての選択肢が存在しない」という状況について、本人の自己決定と尊厳の観点から制度化を検討すべきだと考えています。


本サイトでは、RiP:Dが提案する制度案について、①本人の自由意思、②意思能力、③耐えがたい苦痛、④緩和ケア等の代替手段、⑤複数の専門家による確認、⑥第三者審査、⑦事後監査・透明性という観点から整理しています。


また、安楽死制度には、社会的圧力、障害者・高齢者への影響、精神疾患への適用、制度の適用範囲が拡大する可能性など、反対・慎重論も存在します。

本ページではこれらの論点も含め、海外の公的資料や査読付き研究を参照しながら、日本で制度を検討する場合に必要となる論点を整理しています。




リップディー(RiP:D)

~安楽死の合法化をめざす会~ の基本方針



1.基本方針


当会は、人生の終末に深い苦悩を抱える人々に対し、尊厳ある選択肢としての安楽死制度を日本に導入する必要性を訴えています。

医療者の価値観やパターナリズム、また特定の政治思想・宗教教義に左右されることなく、



「個人の苦悩に対する社会的な応答」



を最優先に考えます。


人が人生の最終段階において、自らの意思で、平穏で安らかな最期を選ぶ権利は、普遍的に保障されるべきです。




2.日本の安楽死法制化に関する基本理念


基本理念



・当会が目指す安楽死制度とは、安易な死の容認ではなく、


極限まで追い詰められた人々の苦痛に寄り添い、


・自己決定の尊厳を守るための制度です。



世の中には、不運にも「重い障害」を背負い、標準治療や緩和ケアでも痛みが和らがず、



「耐えがたい苦痛」

「壮絶な不快感」



を抱え、時に「精神の限界を突破せんばかり」

苦悩に満ちた人生を生きる方々が少なからず存在します。



※👉 緩和ケアでは対応できない苦痛の問題については、こちらの記事でも詳しく解説。


※緩和ケアを否定しているのではなく、

緩和ケアを最大限提供したうえでも残る苦痛を制度論としてどう扱うかの課題です。




人生の状況を示す図で、黒背景に円が3つ重なり、中心に「壮絶な苦痛状態にある人々」、右に「障害があるが通常生活」、最右に「健常者」とテキスト。左側に病気リストと解説がある。世の中には不運にも『重い障害』を背負ってしまい 『耐えがたい苦痛』を我慢し『壮絶な不快感』を抱え 最期には 『精神の限界を突破せんばかりの』人々が 少なからず存在します、そのイメージ図

世の中には不運にも『重い障害』を背負ってしまい​
耐えがたい苦痛』を我慢し『壮絶な不快感』を抱え
最期には​
精神の限界を突破せんばかりの』人々が
少なからず存在します。

※👉 安楽死と自殺の違いや関係性については、こちらの記事で詳しく解説しています。



例として、以下のような方々です。



・末期のがん

・ALSなどの神経変性疾患

・難病

・治療抵抗性の重症疼痛(繊維筋痛症等)

・事故による四肢麻痺


また


現代医療の限界を超えてしまう

実存的な苦痛



も確実に存在します。

現代の医療・緩和ケアによっても十分に軽減できない苦痛が存在することは、

終末期医療において重要な課題となっています。


その苦悩に対し、社会は「生かすための技術」だけでなく、



「尊厳ある終末を選ぶ自由

 (人道的終末選択安楽死)」



という選択肢を用意すべきであると当会は考えます。








3.当会が考える「安楽死の適用基準」


当会はその理念を実現するにあたり、オランダの安楽死モデルを参考にし、複数の医師による判定、第三者機関の審査、手続きの明文化など、制度の透明性と安全性を徹底する立場をとります。


これは、安楽死の運用を社会的に信頼できる仕組みとし、患者が不利益を被ることなく適切に意思を行使できるようにするためです。



※オランダ制度を参考にしていますが、そのまま日本へ移植するのではなく、オランダで実際に生じている運用上の課題も踏まえて制度設計していきます。




👉 オランダの安楽死法、また安楽死の申請から実施までの全プロセスは、こちらからご覧ください↓


👉 各国の安楽死制度や運用の違いについては、こちらをご覧ください。

世界の安楽死法│法律の紹介↓





安楽死制度が必要な理由:その核心


当会が重視する核心は、



・回復の見込みがなく、


・医療や福祉によっても改善されない重大な苦痛が、


・いつの時代にも存在し、またその現象は

今後も未来永劫つづいていくという事実



ということです。

医療技術が進歩した現在においても、未来においても、

医学的・社会的支援によって完全には解消できない苦痛は存在し続けていきます。


判断においては、余命の要件や、特定の病態だけではなく、

患者が抱える身体的・精神的苦痛、日常生活の破綻、自立性の喪失といった複合的な要素を総合的に評価していくべきです。


さらに、安楽死は医師や家族によって決められるものではなく、

あくまでも



本人の自発的かつ

熟慮された意思



によってのみ成立します。


意思能力が確認され、時間をかけた熟慮と複数回の意思表示がなされたうえで、

複数の専門医が医学的妥当性を確認し、独立した審査機関が最終判断を行います。


こうした過程こそが、患者、家族、社会全体にとって

「安全性と透明性を可能な限り高める制度」を支えることになるでしょう。





私たちが考える安楽死の適格の基準

寛容型のオランダ安楽死モデルに準拠)



・日本市民または永住者であること。

 または、申請時点で少なくとも12ヶ月以上の国内在住歴があること。


・判断能力が保持されていること。


・申請が本人の自由意思にもとづき、外部からの強制・誘導を受けていないこと。


・苦痛が医学的・心理学的に確認され、緩和ケアや

 その他の治療を尽くしても改善が見込めないこと


・十分な情報提供と説明を受けたうえで、自由意思にもとづいて判断していること


・非末期疾患(認知症、四肢麻痺など重傷由来の実存的な苦痛、精神疾患)も含む。




👉 制度の厳しさ(厳格型・寛容型)の違いについては、こちらで整理しています↓


👉 安楽死をめぐる賛成・反対の主な論点については、こちらで整理しています。




4.制度導入に向けた現実的アプローチ


当会は、身体的な痛みに限らず、



実存的な苦悩や

重度の精神疾患による深い苦痛



を抱える方々の現実に、社会が真摯に向き合う必要があると考えております。


そのうえで、安楽死制度を安全かつ確実に定着させるためには、

導入初期の段階から慎重な運用が求められます。


当初は末期疾患を中心に制度を開始いたしますが、

これは他の苦悩を軽視するという意味ではありません。


非末期であっても、



・重症疼痛

・難治性の身体障害

・治療抵抗性の精神疾患など



深刻な苦痛に直面する方々が存在することを、

制度の初期段階から十分に認識し、考慮していくべきでしょう。


そのうえで、制度の安全性・透明性を確保しながら、適格範囲の在り方については

丁寧な議論と検証を重ね、慎重に判断していく姿勢が大事となってきます。



当会は、拙速な制度拡大を目的とするのではなく



個々の苦痛の深さ



に誠実に応えるため、初期段階から幅広い苦悩に目を向けつつも、段階的で丁寧な制度形成を基本的な方針としています。


例:導入開始の最初期

疾患により、最長6ヶ月以内、

また神経変性疾患の場合は最長12ヶ月以内に死に至ると予想されるなど。

※神経変性疾患:ALS、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症、ハンチントン病など。


日本版・安楽死(人道的終末選択制度)の多重チェック構造を示す図。申請、診断、意思確認、審査、実施、事後報告・監査を6段階で説明。

「多重チェックの全体像」と題した青基調の図。本人申請、医師診断、意思確認、審査、実施、事後報告の流れを示し、信頼と透明性を強調。



👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓


👉 日本の安楽死の歴史・事件を知りたい方は、こちらをご覧ください↓




5.結び


当会は、安楽死制度を「命の軽視」ではなく、

苦痛に満ちた状況に置かれた人々に対する「社会の責任」であると捉えています。


医療者の伝統信条やパターナリズムに囚われず、また一つの思想や宗教的立場に依存することなく、多様な価値観を尊重しながらも、その中心には常に



個人の苦悩と尊厳



を置いています。


平穏で安らかな最期を選ぶ権利を制度として認め、誰もが苦痛から解放される可能性を持てる社会の実現を目指し、当会は今後も誠実に議論と制度提案を続けていきます。




👉 地図で確認する安楽死が合法の国 一覧と各国制度は、こちらで詳しく解説しています↓


👉 世界各国の申請プロセスをまとめて確認する場合はこちら(ハイライト)↓




日本の現状とRiP:D提案の違い

項目

現在の日本

RiP:Dの提案

積極的安楽死

明確な制度なし

法制化を検討

本人意思

終末期医療で重視

制度利用の必須条件

判断能力

個別医療判断

明確な評価基準

医師

医療判断

複数専門家

第三者審査

安楽死制度としてなし

独立審査機関

監査

安楽死制度としてなし

実施後監査

報告

原則公開・統計化

緩和ケア

重要

原則として代替選択肢として確認

社会的圧力

明示的な確認項目



RiP:D案とオランダ制度を混同しないための比較

項目

オランダ

RiP:D案

根拠

オランダ法

日本向け提案

審査

RTE

独立第三者機関を提案

医師

due care criteria

複数専門家を想定

精神疾患

条件付きで対象

将来の議論対象

非末期疾患

対象になり得る

導入段階では慎重に検討

日本在住要件

オランダ制度の要件とは別問題

12ヶ月案

余命

一律ではない

初期制度案で一定期間を設定


👉【最新版】オランダ安楽死2025年『年次報告書』完全解説|過去最多10,341件・制度運用・年齢・疾患・審査体制を徹底解説↓



フローチャート

本人からの申請

意思能力の確認

自由意思・外部圧力の確認

病状・予後・苦痛の医学的評価

治療・緩和ケア等の選択肢を説明

本人が熟慮して再確認

複数の専門家による確認

独立第三者機関による審査

実施

事後報告・監査

統計公開・制度評価




FAQ(よくある質問)


Q1.RiP:Dが提案する「安楽死制度」とは何ですか?

A.本人が十分な情報提供を受けたうえで、自由意思に基づいて熟慮した意思決定を行い、一定の厳格な条件を満たした場合に、医療的な死の選択を制度として認めることを想定しています。具体的な適格基準、意思確認、第三者審査、監査制度などについては、本ページおよび関連資料で提案しています。


Q2.日本では現在、安楽死は合法なのですか?

A.日本には、積極的安楽死を一般的な医療制度として明確に認める法律は現在存在しません。人生の最終段階における医療・ケアについては厚生労働省のガイドラインがありますが、生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は同ガイドラインの対象外とされています。


Q3.安楽死と尊厳死は同じものですか?

A.同じではありません。一般的な用法では、安楽死は医療者が薬剤等を用いて患者の死を意図的に早める行為を指すのに対し、尊厳死は延命治療の開始・不開始・中止など、死期を不必要に延長しないという文脈で用いられることが多い言葉です。ただし、両者の用語法には幅があるため、議論では具体的な行為を明確にする必要があります。


Q4.RiP:Dは緩和ケアを否定しているのですか?

A.いいえ。RiPは緩和ケアを重要な医療・ケアとして位置づけています。問題は、緩和ケアを最大限提供しても、すべての患者の身体的・心理的・実存的苦痛を完全に解消できるとは限らないことです。そのような場合を制度としてどのように扱うかを、安楽死制度の議論として検討しています。


Q5.安楽死制度は「誰でも死を選べる制度」になるのですか?

A.RiP:Dは、そのような制度を提案していません。本人の意思能力、自由意思、十分な情報提供、医学的・心理的な評価、代替的な治療・ケアの検討、複数の専門家による確認、第三者による監査など、複数の安全策を組み合わせることを想定しています。


Q6.本人が本当に自由意思で選んだかどうかを、どう確認するのですか?

A.単独の医師の判断だけに委ねるのではなく、複数回の意思確認、十分な説明、意思能力の評価、家族・介護者等からの圧力の有無の確認、必要に応じた第三者による審査などを組み合わせる必要があります。具体的な確認方法については、今後さらに制度設計として検討されるべき課題です。


Q7.障害者や高齢者が「迷惑をかけるくらいなら死んだ方がいい」と考えることを防げますか?

A.これは安楽死制度を検討するうえで重要な論点です。制度そのものだけでなく、介護、障害福祉、医療、経済的支援、家族支援などが十分に提供されているかを確認する必要があります。本人が社会的孤立や経済的困窮を理由に死を選ばざるを得ない状況を作らないことは、制度設計上の重要な安全策です。


Q8.精神疾患も安楽死制度の対象にするのですか?

A.RiP:Dは、精神疾患を含む非末期疾患についても将来的な議論の対象から排除しない立場ですが、導入初期から広く認めることを当然としているわけではありません。精神疾患では意思能力、治療可能性、回復可能性、苦痛の不可逆性などの判断が特に難しいため、慎重な制度設計と継続的な検証が必要です。


Q9.オランダの制度をそのまま日本に導入するのですか?

A.いいえ。オランダの制度は重要な参考事例ですが、日本の法制度、医療制度、社会保障制度、文化的背景が異なるため、そのまま移植することは適切ではありません。オランダの制度がどのように機能しているかだけでなく、実際に生じている問題や批判的研究も確認したうえで、日本独自の制度設計を検討する必要があります。


Q10.安楽死制度には反対意見や慎重論もありますか?

A.あります。本人の自由意思を確認できるのか、社会的圧力をどう排除するのか、障害者や高齢者が不利益を受けないか、制度の適用範囲が拡大しないか、第三者審査が十分に機能するかなど、さまざまな論点があります。RiPはこれらを重要な検討課題として扱っています。


Q11.安楽死と自殺は同じものですか?

A.同一ではありません。両者には「死に至る」という共通点がありますが、安楽死制度では、本人の意思確認、医学的評価、適格基準、医療者の関与、第三者審査など、法制度上の手続が問題となります。一方、自殺は現在の日本法上、安楽死制度とは異なる文脈で扱われます。


Q12.RiP:Dの基本方針は法律そのものですか?

A.いいえ。本ページはRiPが作成した政策提言・制度案です。日本の現行法や政府の公式見解を示すものではありません。現行制度については、法令、裁判例、厚生労働省等の公的資料を確認し、RiP:D独自の提案とは区別して記載することを基本としています。




嘆願書送付アクション


本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。


※世界の制度を比較したうえで、日本で制度設計を考える際には、適格要件、第三者審査、記録・報告、医療従事者の良心的拒否、障害者・高齢者等への配慮、緩和ケアとの関係などを個別に検討する必要があります。



書類 一覧


嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』

補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白

補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル

補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策

補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題

補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態

カバーレター:ご挨拶(1ページ)

要約文(2ページ)



👉 日本に安楽死制度を導入するための5つのポイント|制度化への課題・世界の動向・実現への道筋↓






参考文献・学術資料


本ページでは、安楽死制度の実態、緩和ケア、制度上の安全策、脆弱な立場にある人への影響などについて、賛成・慎重双方の研究を参照しています。以下では、特に本ページの主張と関係の深い研究を掲載します。



1.安楽死・医師幇助自殺の国際比較

Emanuel EJ, Onwuteaka-Philipsen BD, Urwin JW, Cohen J.“Attitudes and Practices of Euthanasia and Physician-Assisted Suicide in the United States, Canada, and Europe.”JAMA. 2016;316(1):79-90.doi: 10.1001/jama.2016.8499. PMID: 27380345.

米国、カナダ、欧州における安楽死・医師幇助自殺の法制度、実施状況、患者特性等を広くレビューした研究です。 PubMed



2.オランダの法制化前後の実態

Onwuteaka-Philipsen BD, Brinkman-Stoppelenburg A, Penning C, de Jong-Krul GJF, van Delden JJM, van der Heide A.“Trends in end-of-life practices before and after the enactment of the euthanasia law in the Netherlands from 1990 to 2010: a repeated cross-sectional survey.”Lancet. 2012;380(9845):908-915.doi: 10.1016/S0140-6736(12)61034-4. PMID: 22789501.

1990年から2010年までのオランダの全国調査を比較し、安楽死法施行前後の終末期医療・安楽死等の変化を検討した研究です。 PubMed



3.オランダにおける25年間の終末期意思決定

van der Heide A, van Delden JJM, Onwuteaka-Philipsen BD.“End-of-Life Decisions in the Netherlands over 25 Years.”N Engl J Med. 2017;377(5):492-494.doi: 10.1056/NEJMc1705630. PMID: 28767342.

オランダにおける終末期意思決定の長期的な推移を扱った資料です。 PubMed



4.緩和ケアで問題となる難治性症状

Lucena A, Yuguero O.“Systematic Review of Common Refractory Symptoms in the End-Of-Life Situation and Its Relation With Euthanasia.”Omega (Westport). 2024;89(3):1113-1127.doi: 10.1177/00302228221089123. PMID: 35441562.

終末期の難治性症状について22研究をレビューし、呼吸困難、せん妄、実存的苦痛などを検討しています。 PubMed



5.緩和的鎮静と安楽死の違い

Materstvedt LJ.“Intention, procedure, outcome and personhood in palliative sedation and euthanasia.”BMJ Support Palliat Care. 2012;2(1):9-11.doi: 10.1136/bmjspcare-2011-000040. PMID: 24653491.

緩和的鎮静と安楽死について、目的・手続・結果などの観点から両者の違いを論じています。 PubMed



6.脆弱な立場にある人への影響

Battin MP, van der Heide A, Ganzini L, van der Wal G, Onwuteaka-Philipsen BD.“Legal physician-assisted dying in Oregon and the Netherlands: evidence concerning the impact on patients in ‘vulnerable’ groups.”J Med Ethics. 2007;33(10):591-597.doi: 10.1136/jme.2007.022335. PMID: 17906058.

高齢者、障害者、慢性疾患患者、精神疾患患者などへの影響について、オレゴン州とオランダのデータを検討した研究です。 PubMed



7.制度上の安全策に対する批判的研究

Pereira J.“Legalizing euthanasia or assisted suicide: the illusion of safeguards and controls.”Curr Oncol. 2011;18(2).doi: 10.3747/co.v18i2.883. PMID: 21505588.

安楽死・医師幇助自殺の合法化について、同意確認、報告制度、第二医師による確認などの安全策が実際にどこまで機能するかを批判的に検討した論文です。 PubMed



8.オランダのdue care基準をめぐる問題

“Euthanasia and physician-assisted suicide not meeting due care criteria in the Netherlands: a qualitative review of review committee judgements.”2017.PMID: 29074515.

オランダの安楽死審査委員会による判断事例を分析し、制度上のdue care基準が実際の事例でどのように適用されているか、またその限界について検討した研究です。 PubMed



9.精神疾患を理由とする安楽死

Bosma F, Mink KR, van Delden JJM, van der Heide A, van de Vathorst S, van Thiel GJM.“The Dutch practice of euthanasia and assisted suicide in patients suffering from psychiatric disorders: a qualitative case review study.”Front Psychiatry. 2024;15:1452835.doi: 10.3389/fpsyt.2024.1452835. PMID: 39529899.

2017~2022年に公表された精神疾患を理由とする安楽死・自殺幇助事例を分析した研究です。意思能力や治療可能性など、制度設計上重要な論点を扱っています。 PubMed



10.障害・社会的不平等と安楽死

Braun E.“Assisted dying, disability and voluntariness under social injustice.”J Med Ethics. 2026.doi: 10.1136/jme-2026-111860. PMID: 42595457.

障害のある人の安楽死選択と、貧困、住宅、介護等の社会的条件との関係を論じた2026年の研究です。 PubMed




本ページの調査方法・情報源について

本ページは、Rest in Peace with Dignity(RiP)が、日本における安楽死制度・終末期医療・自己決定・制度設計について調査・整理したうえで公開している提言資料です。RiP:Dは匿名で運営しているため、運営者個人の氏名・勤務先・資格等は公開していません。


その一方で、個人の肩書きではなく、以下の情報源を確認・照合することによって、できる限り検証可能な情報提供を行うことを基本方針としています。


・日本の法令、裁判例、厚生労働省等の公的資料

・海外政府・公的機関が公開する法令・制度資料・統計

・PubMed等で確認できる査読付き学術論文

・論文のDOI、巻号、ページ、PubMed ID等の書誌情報

・緩和ケア・終末期医療に関する学会・専門機関の資料

・安楽死制度に対する賛成論だけでなく、反対論・慎重論を扱った研究


なお、本ページ中の「RiP:Dの提案・評価」と「公的資料・学術研究等から確認できる事実」は、可能な限り区別して記載しています。

海外制度については、制度を導入している国の政府・審査機関等の一次資料を優先し、学術論文については、可能な限りPubMed等で書誌情報を確認しています。


本ページは医学的・法律的な個別判断を提供するものではなく、日本における制度設計をめぐる政策・倫理上の議論に資することを目的としています。



安楽死制度に対する反対・慎重論について

安楽死制度の法制化には、本人の自己決定を尊重するという考え方がある一方、さまざまな懸念も指摘されています。

主な論点としては、


・本人の意思が本当に自由なものかを確認できるのか

・家族、介護者、医療者、経済状況などによる間接的な圧力をどう防ぐのか

・障害や慢性疾患を持つ人が「社会に迷惑をかけている」と感じて死を選ぶことをどう防ぐのか

・精神疾患における「回復不能性」をどのように判断するのか

・制度導入後に適用対象が拡大する可能性をどのように監視するのか

・医師による判断や第三者審査が適切に機能しているかを誰が検証するのか

・緩和ケア、介護、障害福祉等が十分に提供されていない状況での選択を「自由意思」と評価できるのか


といった問題があります。

実際、安楽死制度の安全策や審査体制について批判的に検討した研究も存在します。また、オランダの事例を分析した研究では、due care基準の適用や審査のあり方について課題が指摘されています。


RiP:Dは、これらの懸念を制度反対論として退けるのではなく、日本で制度を検討するのであれば、むしろ制度設計の中心に置くべき論点だと考えています。

したがって、本提言は「安楽死なら何でも認める制度」を求めるものではありません。

本人の自由意思、判断能力、十分な情報提供、代替的な医療・ケアの検討、外部からの圧力の排除、複数の専門家による確認、第三者機関による監査、実施状況の公開と検証などを組み合わせることで、制度上のリスクをどこまで抑えられるかを議論することを求めるものです。

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