日本の安楽死制度導入に関する提言書【本文公開】|国会提出用嘆願書・補足資料付き
- リップディー(RiP:D)

- 3 日前
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※最終更新日:2026年8月4日(随時更新)
👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
日本にも安楽死制度の導入を要望する嘆願書|【本文】
当会 Rest in Peace with Dignity(RiP:D) が作成し、国会議員ならびに関係各所へ提出するために取りまとめた嘆願書(提言書)を公開いたします。
本ページでは、その中心となる 「人道的終末選択の法制化に関する要望書(本文)」 を掲載しています。
本嘆願書は、日本における終末期医療の現状や制度上の課題を整理するとともに、海外制度の実例や公的統計、緩和ケアの限界、安全性を担保する制度設計など、多角的な観点から法制度化の必要性を提言するものです。
提出用の資料一式は、以下の構成となっています。
カバーレター
要約文(2ページ)
嘆願書(提言書)本文『人道的終末選択の法制化に関する要望』
補足資料① 日本における制度上の空白と現状
補足資料② 海外制度の比較と日本への制度モデル
補足資料③ 制度設計・安全性・濫用防止策
補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
なお、本ページでは安楽死制度について初めて知る方にも理解しやすいよう、関連する解説記事へのリンクを随所に掲載しています。制度の背景や各論点について詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
また、実際に国会議員および関係機関へ提出する正式版については、ページ下部に掲載している PDF版 をご参照ください。
🎧音声による動画解説
要約図(自由使用可)

嘆願書(提言書) 「人道的終末選択(※いわゆる安楽死)の法制化に関する要望」
※安楽死制度について初めて学ぶ方にも分かりやすいよう、本ページでは関連する解説記事へのリンクを適宜掲載しています。
※実際に提出する正式な文書は、ページ下部に掲載しているPDF版をご覧ください。
表紙:

初めに
日本では、終末期における「耐え難い苦痛」や「尊厳の喪失」に苦しむ患者が、
自己決定に基づいて最期を選ぶ法的手段を持たない、という深刻な制度的空白が続いています。
現行制度では、延命治療の中止や緩和ケアに依存するしかなく、
患者の意思・家族の不安・医療者の法的責任 において、明確な判断基準が存在しません(補足資料①)。
欧州や北米では、厳格な適用条件と透明性の高い審査・監査制度を備えた
「人道的終末選択(いわゆる安楽死・医師幇助自殺)」 が制度化され、
適切に機能している実績が蓄積されています(補足資料② ③)。
(※本提言でいう「人道的終末選択」とは、本人の明確な意思と厳格な要件のもとで行われる医療関与型の終末期選択を指し、無制限な生命操作を認めるものではありません)。
さらに日本の状況に限らず、国際的にも、緩和ケアのみではすべての患者の苦痛を完全に除去することは困難であることが明らかになっています。
WHO 等による国際的調査では、がん末期患者の約10〜20%において「難治性苦痛(refractory suffering)」が残存すると報告されています。
さらに、がん以外の難病や重篤な疾患を含めた場合、全患者の約20〜30%が、十分に緩和されない苦痛を抱えたまま最期を迎えていることが示唆されています。
これらの国際的調査結果は、緩和ケアが極めて重要な医療である一方、それ単独ではすべての終末期患者の苦痛に対応しきれない限界が存在することを示しています。
また、緩和ケアを受けた上でもなお、一定割合の患者が人道的終末選択を選択していることは、国際的データにより確認されています(補足資料④)。
さらに、日本の公的統計では、身体疾患や身体障害による苦痛を背景とした自殺が毎年数千人規模で継続して確認されています。
これは自殺を肯定するものではありませんが、現行制度のみでは十分に救済されていない患者が存在する可能性を示唆する重要な社会的課題であり、制度的観点からも検討を要する問題です(補足資料⑤)。
この課題を踏まえ、私たちは
自己決定の尊重、医療の透明性、弱者保護の徹底を軸とした
「日本版・人道的終末選択制度(仮称)」の法制化に向け、
国会において早急かつ超党派での議論を開始していただくことを強く要望いたします。
本提言書では、補足資料①で制度上の空白、②で海外制度、③で制度設計上の安全性、④で緩和ケアの限界、⑤で身体疾患・身体障害による苦痛を背景とした自殺の実態を整理し、制度整備の必要性を多角的に検討しています。
第1 趣旨および目的
私たち Rest in Peace with Dignity(RiP:D) 安楽死の合法化をめざす会 は、終末期の患者や重篤な苦痛を抱える人々が、「自己決定」に基づき尊厳ある最期を選べる環境をつくるため、日本における人道的終末選択(いわゆる安楽死)の法制化を強く要望します。
現状、日本では明確な安楽死法が存在せず、患者が尊厳を保った選択をするための制度的枠組みが十分整っていません。こうした制度の欠如は、患者やその家族に不要な苦痛と不安を強いるばかりでなく、医療従事者にも倫理的・法的ジレンマを生じさせています。
私たちは、本制度の法的整備を通じて、 自己決定権の尊重、医療の透明性の確保、死をめぐる社会的議論の深化 を促進し、日本社会における「善き死(尊厳ある死)」の実現を目指します。
第2 現状と問題点
制度上の空白
o 日本では、積極的な安楽死(薬物等を用いた生命終結を医師が支援すること)を明示的に認める法律はなく、刑法の観点から禁止されていると解釈されています。
o 過去には医師が薬物投与などを行った事例があり、有罪判決も出ています。その際、裁判所は「耐え難い苦痛」「死期が迫っている」「患者本人の明確な意思」が要件である可能性を示しました。
o 指針や判例によるガイドラインの示唆はあるものの、法律による明確な制度化がないため、医療現場や患者・家族に不安が残ったままです(補足資料①)。
国際比較と教訓
o 欧米の多くの国では終末期の安楽死や自殺幇助が制度的に認められており、厳格な要件とチェック機能を備えた制度が機能しています。
o 制度として安楽死・自殺幇助を法制化している国々の実例を見ると、適用件数は全死者数のごく1~4%にとどまり、制度の濫用や社会的混乱は確認されていません(補足資料②)。
o こうした国々の制度を参考に、日本でも 安全性 と 倫理性 を両立させた法制度を構築することが可能です。
倫理的・社会的懸念
o もちろん、慎重な議論が必要です。安楽死の合法化による「死の自己決定権」と、「死ぬ義務化(プレッシャー化)」のリスクとの間で、社会的懸念があります。
o 特に、高齢者や障害者が周囲からの無言のプレッシャーで不本意に選択を強いられる恐れ、また医師の判断にゆらぎが生じる問題なども指摘されています。
o しかし、これらの懸念とリスクは、透明性・厳格な制度設計・チェック機能・公開議論によって制御可能です(補足資料③※国際的に実際に機能している制度設計をもとに、懸念点ごとの具体的な防止策と、日本導入時の設計チェックリストを整理している)。
4.公的統計から見える制度的課題
o 警察庁および厚生労働省の統計では、身体疾患や身体障害を背景とする自殺が毎年数千人規模で継続して確認されている(補足資料⑤)。
o これは、自殺を制度化すべきであることを意味するものではないが、現行制度のみでは十分に救済されていない患者が存在する可能性を示唆する重要な社会的課題である。
o 緩和ケアのさらなる充実を前提としつつ、制度上の空白についても客観的データに基づいた検討が求められる。
第3 提言内容
以上を踏まえ、以下の点について国会に 法制化 を強く提案いたします。
法制度の制定
o 終末期患者や重篤な苦痛を抱える方々が、自己決定に基づいて安楽死を選択できる 明確な法制度 を設ける。
o 法律には、厳格な適用条件(例:耐え難い身体的・精神的苦痛、複数医師の診断、意思確認など)を定める(補足資料③)。
チェック機能と安全性の確保
o 医師や医療機関だけで決定するのではなく、倫理審査委員会、独立した外部評価機関、法的監視メカニズムを設置する。
o 患者の意思確認プロセスを明文化し、記録および報告制度を義務付ける(補足資料③ ※なお、具体的な申請から実施・報告までの多層的チェック構造については、補足資料③にフロー図として整理している)。
社会的議論と教育の促進
o 議会、公聴会、市民参加型ワークショップなどを通じて、安楽死に関する議論を社会全体で深める。
o 医療従事者、患者・家族、国民に対する リスク・意義・手続き の教育を制度化。
o 必要に応じて地域限定で試行運用を行い、実際の運用状況と課題を検証(補足資料③)。
緩和ケアとの併存・強化
o 安楽死を法的選択肢とする一方で、緩和ケア(終末期医療・疼痛管理など)の充実も同時に推進。
o 緩和ケア体制の強化、医療資源の確保、アクセスの平等性を高める(補足資料④)。
o あわせて、身体疾患や身体障害による苦痛を背景とした自殺の実態について継続的な調査・分析を行い、患者支援および制度設計の基礎資料として活用する。
国際連携と学び
o 制度設計にあたっては、既存制度を持つ国(オランダ、スイス、オーストラリアなど)の制度を参照し、安全性・倫理性の担保策を積極的に学ぶ。
o 定期的なレビュー制度を設け、運用実績を元に制度改善を図る。
第4 要請事項
本嘆願書(提言書)を受けて、国会議員の皆様には、以下の行動を要請いたします。
議員立法の検討
提案された内容をもとに、安楽死を制度化するための議員立法案を早期に立案・提出してください。
超党派での議論推進
本制度の論点は倫理・人権・医療・法制度すべてにまたがります。超党派の議員連盟を形成し、幅広い議論を進めてください。
公聴会/市民対話の実施
国会内での公聴会やタウンホール形式の意見交換会を開催し、患者・家族・医療関係者・市民の声を制度設計に反映してください。
研究・検証のための予算措置
運用評価、緩和ケア強化などに必要な予算を確保してください。
厚生労働省・法務省・内閣府を含む検討会(有識者会議)の設置
本制度に関する論点整理と海外事例の検証を目的とした公式検討会の設置を要請します。
第5 結語
安楽死の合法化は、単なる制度の導入ではなく、 人間の尊厳と自己決定を尊重する社会の在り方を問う重要なテーマ です。
日本が高齢化社会を迎える中で、終末期の苦痛に対して国家が人道的な選択肢を提供する責任があります。また、公的統計では身体疾患や身体障害による苦痛を背景とした自殺が現在も継続して確認されており、現行制度の課題について客観的データに基づく立法的検討を進めることが求められています。
私たち RiP:D は、本提言が国会で真剣に議論され、実現に向けて前進するよう心から願っております。
何卒、ご高配とご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
Rest in Peace with Dignity(RiP:D)~安楽死の合法化をめざす会~
連絡先(X:DM):@RiP__Dignity / 電話番号:
当会ホームページ: 『リップディー 合法化』で検索
嘆願書(提言書)
「人道的終末選択の法制化に関する要望」
FAQ
Q1. 日本で安楽死は合法ですか?
A. 日本では積極的安楽死を認める法律はありません。終末期医療に関する判例や指針はありますが、法制度としては整備されていません。
Q2. この嘆願書は誰に提出されますか?
A. 国会議員および終末期医療や法制度に関係する行政機関・関係各所への提出を目的として作成されています。
Q3. この提言書では何を求めていますか?
A. 自己決定権を尊重し、安全性を確保した日本版・人道的終末選択制度の法制度化と、超党派による国会での議論開始を要望しています。
Q4. 緩和ケアだけでは対応できない患者はいますか?
A. WHOなどの報告では、終末期患者の一部には緩和ケアを受けても十分に軽減できない苦痛が残ることが示されています。本提言では、その課題も踏まえて制度を検討すべきとしています。
Q5. 海外では安楽死制度はどのように運用されていますか?
A. オランダ、ベルギー、カナダ、オーストラリアなどでは、厳格な適用条件や第三者による審査・報告制度を備えた法制度が運用されています。本提言では、それらの制度を参考にした日本版制度の検討を提案しています。
安楽死を知るための9記事
⓪ 👉安楽死とは
「安楽死とは何か?日本では違法なのか?」
そんな疑問を、初心者でもわかるように整理して解説します。
この記事を読めば、安楽死の全体像が5分で理解できます。
① 👉種類
安楽死にはどんな種類があるのか知っていますか?
積極的・消極的・間接的の違いを具体例つきでわかりやすく解説します。
混同しやすいポイントも整理しています。
② 👉日本の法律
日本で安楽死は認められているのか?
判例や条件をもとに、どこまで許されるのかをわかりやすく解説します。
医師の責任についても理解できます。
③ 👉尊厳死
安楽死と尊厳死は何が違うのか?
混同されやすい2つの違いを、法律と医療の観点から整理して解説します。
日本での扱いもわかりやすく説明しています。
④ 👉世界
安楽死が認められている国はどこなのか?
各国の制度や条件の違いを整理し、わかりやすく一覧で解説します。
日本との違いも一目で理解できます。
⑤ 👉緩和ケア
安楽死と緩和ケアは何が違うのか?
苦痛の軽減という観点から、それぞれの考え方と役割をわかりやすく解説します。
選択の違いも理解できます。
⑥ 👉賛否
安楽死は本当に許されるべきなのか?
賛成・反対それぞれの理由を整理し、海外の議論も含めて比較します。
考え方の違いがクリアになります。
⑦ 👉自殺
安楽死と自殺は同じものなのか?
法律・倫理・医療の観点から、その違いをわかりやすく解説します。
誤解されやすいポイントも整理しています。
⑧ 👉歴史
日本の安楽死の歴史・事件にはどのようなものがあるのか?
安楽死はどのように変化してきたのか?
ナチス時代から現代までの流れを時系列で整理して解説します。
出典・参考資料
1.日本の法制度・公的統計
厚生労働省
警察庁「自殺統計」
e-Gov法令検索(刑法)
最高裁判所・各裁判例
日本尊厳死協会
2.国際機関・学術機関
World Health Organization(WHO)
European Association for Palliative Care(EAPC)
International Association for Hospice & Palliative Care(IAHPC)
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)
3.各国政府・制度運営機関(一次資料)
カナダ
Government of Canada
Health Canada「Medical Assistance in Dying(MAID)Annual Report」
オランダ
Regional Euthanasia Review Committees(RTE)
Government of the Netherlands
ベルギー
Federal Public Service Health, Belgium
スペイン
Ministerio de Sanidad(スペイン保健省)
オーストラリア
Government of Victoria
Government of Western Australia
Queensland Health
ニュージーランド
Ministry of Health New Zealand
スイス
EXIT Deutsche Schweiz
EXIT Suisse Romande
DIGNITAS
4.海外議会・司法資料
UK Parliament
House of Commons Library
Sénat(フランス上院)
Assemblée nationale(フランス国民議会)
Conseil constitutionnel(フランス憲法評議会)
Constitutional Court of Colombia
5.医学・学術論文
The Lancet
The Lancet Oncology
The BMJ
JAMA
New England Journal of Medicine(NEJM)
Nature Medicine
Palliative Medicine
Journal of Medical Ethics
6.緩和ケア・終末期医療
日本緩和医療学会
日本ホスピス緩和ケア協会
EAPC(European Association for Palliative Care)
Hospice UK
Canadian Hospice Palliative Care Association
7.人権・生命倫理
United Nations(国際連合)
Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights(OHCHR)
UNESCO Bioethics Programme
Nuffield Council on Bioethics
8.制度推進・制度反対の双方の団体(論点整理のため)
制度推進
Dignity in Dying(英国)
Compassion & Choices(米国)
Exit International
制度に慎重・反対
Not Dead Yet
Care Not Killing
Disability Rights Education & Defense Fund(DREDF)
9.当サイト関連記事
日本に安楽死制度を導入するための基本方針
安楽死が認められている国一覧
緩和ケアの限界とは
身体疾患による苦痛と自殺の統計分析
安楽死制度を支持・推進する団体まとめ
安楽死制度に慎重・反対する団体まとめ
カナダMAID年次報告書まとめ
各国の安楽死制度比較




具体的でわかりやすいです。
ありがとうございます。