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日本の安楽死制度導入に関する提言書【補足資料 ⑤】身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態|年間約4,000人と健康問題の自殺統計

  • 執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
    リップディー(RiP:D)
  • 1 日前
  • 読了時間: 13分

※最終更新日:2026年8月9日(随時更新)


👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓


👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓



日本にも安楽死制度の導入を要望する嘆願書|【補足資料⑤】身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態


当会 Rest in Peace with Dignity(RiP:D) が作成し、国会議員ならびに関係各所へ提出するために取りまとめた嘆願書(提言書)を公開しました。




本ページでは、嘆願書の

補足資料 ⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態 を掲載します。


本嘆願書は、日本における終末期医療の現状や制度上の課題を整理するとともに、海外制度の実例や公的統計、緩和ケアの限界、安全性を担保する制度設計など、多角的な観点から法制度化の必要性を提言するものです。


提出用の資料一式は、以下の構成となっています。



嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』

補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白

補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル

補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策

補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題

補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態

・カバーレター:ご挨拶(1ページ)

・要約文(2ページ)



なお、本ページでは安楽死制度について初めて知る方にも理解しやすいよう、関連する解説記事へのリンクを随所に掲載しています。制度の背景や各論点について詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。


また、実際に国会議員および関係機関へ提出する正式版については、ページ下部に掲載している PDF版 をご参照ください。



🎧音声による動画解説




要約図(自由使用可)


身体疾患・障害による自殺の現状を示す日本語インフォグラフィック。健康問題が最多、約4,000〜5,000人、立法検討の必要性を訴える。


 

 嘆願書|補足資料 ⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態

(日本 安楽死制度)


※安楽死制度について初めて学ぶ方にも分かりやすいよう、本ページでは関連する解説記事へのリンクを適宜掲載しています。

※実際に提出する正式な文書は、ページ下部に掲載しているPDF版をご覧ください。



 

1.本資料の位置づけ


本補足資料は、嘆願書本文および補足資料①~④を補完し、

制度上の選択肢が存在しない現状が、身体疾患や身体障害による苦痛を抱える人々にどのような影響を及ぼしているのかを、公的統計に基づいて整理するものである。


本資料は、


  • 自殺を肯定・推奨するものではない

  • 自殺と人道的終末選択制度を同一視するものでもない


その前提に立ち、

制度的課題を検討するための基礎資料として作成したものである。






2.健康問題は、日本の自殺原因として最も多い


警察庁および厚生労働省の統計では、

健康問題は長年にわたり、自殺原因として最も多い項目となっている。



健康問題には、


  • 身体疾患

  • 身体障害

  • 精神疾患

  • その他の健康上の問題


が含まれるが、

その中でも身体疾患および身体障害による悩みは、毎年数千件規模で計上されている。


このことは、身体疾患や身体障害による苦痛が、現在もなお自殺の重要な背景要因の一つとなっていることを示している。



■健康問題は長年にわたり自殺原因の最多項目となっている

健康問題による自殺者数の推移を示す折れ線グラフ。精神疾患とうつ病が多く、身体疾患・障害が続き、がんは少数。R6値も表示。

健康問題を理由とする自殺は、平成19年(2007年)から令和6年(2024年)まで一貫して日本の主要な自殺原因の一つであり、近年も年間約1万人を超える水準で推移している。

その内訳では、精神疾患が最も大きな割合を占めている。



健康問題による自殺を伝える日本語インフォグラフィック。円グラフや折れ線で自殺理由1位51.2%、身体疾患4〜5千人/年などを示す。

一方、身体疾患および身体障害に起因する自殺も、

統計分析では年間約4,000~5,000人規模と推計される。







3.身体疾患・身体障害による自殺は継続して確認されている


厚生労働省自殺対策白書および警察庁統計では、

がん、難病、慢性疾患などの身体疾患

ならびに身体障害に関する悩みを背景とする自殺が、

毎年継続して記録されている。


長期推移をみても、身体疾患による自殺は一時的な現象ではなく、

長年にわたり一定規模で存在していることが確認される。



■ 身体的苦痛による自殺は一時的現象ではなく、長期間継続している

身体疾患による苦痛と自殺の統計分析の日本語インフォグラフィック。2007〜2024年の折れ線グラフと右側に2024年の人数、青赤緑の色分け、説明文付き。


身体疾患では「がん」単独による自殺は長期的に減少傾向を示しているものの、

それ以外の慢性疾患や神経難病、循環器・呼吸器疾患等を含む身体疾患、および身体障害を背景とした自殺は依然として高い水準で推移している。


身体疾患・身体障害による自殺者数は、景気変動や社会情勢による一時的な増減では説明できず、18年間にわたり継続して確認されている。


特に令和4年以降は再び増加傾向がみられ、身体的苦痛や身体機能の喪失を背景とする悩みが、現在もなお社会的課題として存在していることが

示唆される。


このことは、医療の進歩や緩和ケアの普及が進んだ現在においても、

なお十分に救済されていない患者層が存在する可能性を示している。







4.身体的苦痛は精神的苦痛と切り離せない


身体疾患による自殺は、単なる疼痛のみでは説明できない

終末期患者や難病患者では、


  • 呼吸困難

  • 身体機能の喪失

  • 全介助状態

  • 将来への不安

  • 尊厳の喪失


などが重なり、

身体的苦痛と精神的苦痛が複合的に存在することが知られている。


終末期ケアの限界を示す日本語インフォグラフィック。呼吸困難・倦怠感・存在的苦悩を肺や人物、グラフで解説し、65〜70%、70〜80%などの数値を表示】【。





5.制度的観点からの考察


本統計は、自殺と人道的終末選択制度を直接結び付けるものではない。

しかし一方で、

身体疾患や身体障害を背景とした自殺が毎年相当数発生しているという事実は、

身体的苦痛や尊厳の喪失に直面した患者の一部が、現行制度の中で十分な救済を受けられていない可能性を示唆している。


補足資料④で示したように、緩和ケアは終末期医療において極めて重要である一方、

医学的にも一定割合の患者には緩和困難な苦痛が残存することが確認されている。


本資料で示した自殺統計は、そのような苦痛を背景とする患者が、制度上の選択肢を持たないまま自ら命を絶つ事例が一定数存在する可能性について、立法府として検討する必要性を示す参考資料となる。


※👉 補足資料 ④






6.結論


警察庁および厚生労働省の統計からは、身体疾患および身体障害による苦痛を背景とする自殺が、毎年数千人規模で継続して発生していることが確認される。


本資料は、自殺を肯定・推奨するものではなく、また、自殺と人道的終末選択制度(安楽死制度)を同一視するものでもない。


しかし、身体疾患による苦痛を背景とした自殺が継続して発生している現実は、

現行制度のみでは十分に救済されていない患者が存在する可能性を示唆している。


したがって、緩和ケアのさらなる充実を前提としつつ、制度上の空白についても、客観的データと国際的な知見に基づき、人道的終末選択制度(安楽死制度)のあり方について

冷静かつ建設的な立法的検討を進めることが望まれる。


本資料が、身体疾患や身体障害による苦痛に直面する患者への支援のあり方について、

多角的かつ建設的な政策議論を進めるための一助となれば幸いである。





補足データ


■健康問題による自殺者の詳細推移(平成19年~令和6年:過去18年分)

※厚生労働省『自殺対策白書』および、警察庁発表のデータより集計


平成19年〜令和6年の自殺者数の推移を示す統計表。身体疾患・精神疾患などの内訳が色枠で示され、上部に過去18年分の文字がある。

  1. 健康問題は18年間を通じて日本の自殺原因の最大要因(平均51.2%)である。

  2. 健康問題自殺の約6割は精神疾患、約3.5割は身体疾患で構成される。

  3. 身体疾患だけでも年間平均4,349人が亡くなっており、社会的に無視できない規模である。

  4. 身体疾患自殺は18年間で減少したものの、現在も年間約4,000人が亡くなっている。

  5. 精神疾患による自殺は長期的には減少したが、コロナ禍以降は高止まりしている。

    ※👉 精神疾患による自殺の実態|警察庁統計と自殺対策白書から見る18年間


  6. 健康問題自殺全体は減少したものの、近年は12,000人前後で下げ止まりの傾向がある。

  7. 健康問題が自殺全体に占める割合は近年むしろ上昇し、令和6年には59.3%と過去最高水準に達している。

  8. 身体疾患自殺の大部分は「がん」ではなく、その他の身体疾患(慢性疾患・難病・多様な身体疾患)によるものである。

  9. 身体障害による自殺は18年間を通じて比較的安定して推移している。

  10. 自殺対策を精神疾患だけに限定しても限界があり、身体疾患患者への緩和ケア、疼痛管理、意思決定支援、心理社会的支援などを含めた包括的な対策が必要である。



この表から最も強く読み取れる結論は、


「健康問題による自殺=精神疾患だけではない。」

「約3人に1人は身体疾患が背景にあり、その規模は現在も年間約4,000人に上る。」


という点です。

これは、身体疾患患者への支援の重要性を示す客観的なデータとして、大きな意味を持つと言える。




「補足資料①~⑤の関係」

 

① 日本は制度不在

    ↓

② 海外では制度化されている

    ↓

③ リスク管理は可能

    ↓

④ 緩和ケアにも限界がある

    ↓

⑤ 身体疾患・身体障害を背景とする自殺が現在も年間数千人規模

    ↓

だから立法府で制度を検討する必要がある




嘆願書(提言書)

【補足資料⑤】身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態







FAQ


Q1.身体疾患による自殺は年間何人ですか?

A. 警察庁の自殺統計等を基にした本資料の集計では、身体疾患を背景とする自殺は年間約4,000人規模で確認されています。ただし、統計上の「原因・動機」は複数計上される場合があるため、単純な因果関係として解釈することはできません。


Q2.日本の自殺原因で最も多いのは何ですか?

A. 警察庁の自殺統計では、健康問題は長年にわたり主要な原因・動機の一つとなっています。厚生労働省は「自殺統計に基づく自殺者数」などを公表しています。


Q3.健康問題による自殺は精神疾患だけですか?

A. いいえ。健康問題には精神疾患だけでなく、身体疾患なども含まれます。本資料では、身体疾患を背景とする自殺についても長期的な統計を分析しています。


Q4.身体疾患による自殺の多くは、がんによるものですか?

A. いいえ。身体疾患には、がんだけでなく、慢性疾患、神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患などさまざまな疾患が含まれます。本資料では、身体疾患による自殺全体を対象として検討しています。


Q5.身体疾患による自殺と安楽死制度は同じものですか?

A. いいえ。同じものではありません。自殺は自ら生命を絶つ行為であり、安楽死制度は一定の要件・審査・手続の下で医療者が関与する制度として議論されています。本資料でも両者を同一視していません。


Q6.日本では安楽死制度は合法ですか?

A. 日本では、一定の要件を満たした積極的安楽死を制度として合法化する法律は現在存在しません。日本の終末期医療については、生命維持治療の開始・不開始・中止などをめぐるガイドライン等による対応が行われています。


Q7.緩和ケアがあれば身体的苦痛はすべて取り除けますか?

A. いいえ。緩和ケアは重要な医療ですが、すべての患者の苦痛を完全に取り除けるとは限りません。本提言書では、この問題を医学的エビデンスとともに補足資料④で検討しています。


Q8.身体疾患による自殺統計だけで安楽死制度の必要性を証明できますか?

A. いいえ。本資料の自殺統計だけで安楽死制度の必要性を証明するものではありません。身体疾患による苦痛が現実に存在することを示す基礎資料の一つとして位置づけ、緩和ケア、終末期医療、制度上の選択肢などと合わせて検討する必要があります。




安楽死を知るための9記事


⓪ 👉安楽死とは

「安楽死とは何か?日本では違法なのか?」

そんな疑問を、初心者でもわかるように整理して解説します。

この記事を読めば、安楽死の全体像が5分で理解できます。



① 👉種類

安楽死にはどんな種類があるのか知っていますか?

積極的・消極的・間接的の違いを具体例つきでわかりやすく解説します。

混同しやすいポイントも整理しています。



② 👉日本の法律

日本で安楽死は認められているのか?

判例や条件をもとに、どこまで許されるのかをわかりやすく解説します。

医師の責任についても理解できます。



③ 👉尊厳死

安楽死と尊厳死は何が違うのか?

混同されやすい2つの違いを、法律と医療の観点から整理して解説します。

日本での扱いもわかりやすく説明しています。



④ 👉世界

安楽死が認められている国はどこなのか?

各国の制度や条件の違いを整理し、わかりやすく一覧で解説します。

日本との違いも一目で理解できます。



⑤ 👉緩和ケア

安楽死と緩和ケアは何が違うのか?

苦痛の軽減という観点から、それぞれの考え方と役割をわかりやすく解説します。

選択の違いも理解できます。



⑥ 👉賛否

安楽死は本当に許されるべきなのか?

賛成・反対それぞれの理由を整理し、海外の議論も含めて比較します。

考え方の違いがクリアになります。



⑦ 👉自殺

安楽死と自殺は同じものなのか?

法律・倫理・医療の観点から、その違いをわかりやすく解説します。

誤解されやすいポイントも整理しています。



⑧ 👉歴史

日本の安楽死の歴史・事件にはどのようなものがあるのか?

安楽死はどのように変化してきたのか?

ナチス時代から現代までの流れを時系列で整理して解説します。






出典・参考文献


日本の公的統計・行政資料






緩和ケア・終末期医療





自殺対策・身体疾患との関連




海外制度・比較法






学術論文・医学的エビデンス

  • Cassell EJ.

    The Nature of Suffering and the Goals of Medicine.

    New England Journal of Medicine.

    https://www.nejm.org/





人権・生命倫理




この記事内で使用した主な資料

  • 警察庁『自殺統計』(平成19年~令和6年)


  • 厚生労働省『自殺対策白書』(平成19年~令和6年)


  • 厚生労働省『人口動態統計』


  • WHO "Palliative Care"


  • European Association for Palliative Care (EAPC)



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