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世界の安楽死制度|申請条件・適格要件・審査・実施までの手続き【8か国比較】

執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
リップディー(RiP:D)
2025年9月28日
読了時間: 25分

更新日:9月9日

現在8か国、掲載。今後も追加・改訂

最終更新日:2026年8月26日(随時更新)

※更新履歴:参考サイトの追加|図表の追加|FAQ修正|参考文献の追加


👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓


👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓



世界の安楽死法案を解説する縦長インフォグラフィック。申請・評価・協議・実施報告の4段階と、各国の制度比較表を掲載。


安楽死制度を理解するうえで重要なのは、

「認められているかどうか」ではありません。


実際に、どのような手続きを経て実施されるのか。

誰が申請し、誰が判断し、どのような確認を経て実行されるのか。

そのプロセスこそが、制度の本質を決定します。


世界の安楽死・医師幇助自殺制度は、国や地域によって対象者、適格要件、医師の役割、第三者審査、待機期間、実施方法、事後報告の仕組みが大きく異なります。


一方で、多くの制度では「本人による申請」「医学的な適格性の評価」「本人の意思確認」「実施または事後の報告・審査」といった複数の手続きが組み合わされています。

ただし、


第三者審査の有無や確認回数だけで

制度の安全性を判断することはできません。 


実際には、適格要件、意思決定能力の評価、強制・圧力への対応、記録・報告制度、監督機関、違反時の責任などを総合的に検討する必要があります。




本稿でまとめてあること

・世界における安楽死法制度の全体像

・主要国における安楽死の申請条件

(適格の条件、年齢・疾患・判断能力)

・世界 安楽死法:申請から実施までのプロセス(フローチャート)


世界の安楽死・医師幇助自殺制度には、共通する部分がある一方、適格条件、医師の役割、第三者審査、待機期間、実施方法、事後監督などには大きな違いがあります。


特に重要なのは、「何回チェックするか」だけではなく、誰が判断するのか、本人の意思をどのように確認するのか、外部からの圧力をどう防ぐのか、実施後に誰が監督するのかという制度設計です。


本記事では、オレゴン州、英国、オーストラリア、オランダ、カナダ、スペイン、台湾、フランスを取り上げ、申請条件から適格性評価、独立した医師による確認、第三者審査、実施・報告までを比較します。


なお、英国・フランス・台湾など、現在も法案・制度化の過程にある地域については、成立済みの制度と混同しないよう区別して掲載しています。



🎧音声による動画解説



要約図(自由使用可)


安楽死法の標準プロセスを示す図。3段階のフェーズで、医師や審査委員会が関与する。テキストとイラストが配置されている。



世界 安楽死法|申請から承認までの標準的なプロセス


世界の安楽死法の手順を示す図。申請・評価、協議、実施と報告の3段階を、医師や審査委員会、中央データベースで説明している。


① 申請段階

 患者の意思を初めて明確にする段階

 安楽死を扱う医師が適格基準を評価 (第1チェック)


※👉 誰が最終的に承認するのか(医師判断型・第三者審査型)については、こちらで詳しく解説しています


 ⇩

② 評価段階

 患者の意思を再度明確にする段階

 安楽死を扱う全く別の医師が適格基準を再度評価 (第2チェック)


※👉 審査の厳しさ(厳格型・寛容型)の違いについては、こちらで整理しています


 ⇩

③ 協議段階

 複数の専門家による『審査委員会』(国によって様々)が

 上記2名の医師評価書を総合的にチェック & 審査 (第3チェック)


 ⇩

④ 実施・報告段階

 安楽死の実行と、法的な記録提出の段階

 主に最初の医師が実施。全ての記録はデーターベース化される。


👉 実際の方法(医師投与・自己投与)の違いについては、こちらで詳しく解説しています



※超シンプル説明

申請

医師診断

第二医師の審査

熟慮期間

最終確認(第3者審査

実施


※③がない国:アメリカ、カナダ、ベルギー、フランス。

この一連の流れを起点にしていけば、他国の法案も何となく理解できてきます。




👉 安楽死が合法な国の一覧はこちらで確認できます(年代順)↓


👉 地図で確認する安楽死が合法の国 一覧と各国制度は、こちらで詳しく解説しています↓




アメリカ(オレゴン州の例)】


オレゴン州「尊厳死法」ガイドの図解。申請から実施までのプロセスと資格要件を説明。医師や患者のイラストとプロセスのステップ表示。


【適格の条件】アメリカ安楽死法の適用対象と要件|

誰が申請できるのか

(※アメリカの安楽死制度は、正確にはMAID『医師幇助自殺制度』)


・成人である:

 18歳以上であること。


・判断能力がある:

 健康に関する決定を下す能力があること。


・末期疾患に罹患していること:

 医学的に確認された、治療不能で不可逆的な疾患であり、合理的な医学的判断により

 6か月以内に死に至ると予想されること。


・自発的な意思表示:

 自らの意思で死を望む旨を表明していること。

 外部からの圧力によるものであってはならないこと。


・年齢や障害のみを理由としないこと:

 年齢や障害のみを理由として資格を得ることはできない。


※アメリカの場合、致死薬の自己服用(Self-administration)が前提。致死注射はNG。




アメリカの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①患者が主治医に申請(第1チェック)

 ⇩

②患者が別の医師と面談(第2チェック)

 ⇩

③主治医が最終確認

 ⇩

④実施




👉 オレゴン州保健局:尊厳死法年次報告書:尊厳死法 - オレゴン州


👉 アメリカの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




イギリス(イングランド&ウェールズ)】


イギリス「末期成人」法案のプロセスを解説。豚六色で適格条件、審査プロセス、実施段階、セーフティガードを図解。


【適格の条件】イギリス安楽死法の適用対象と要件|

誰が申請できるのか


1.末期疾患の成人(18歳以上)で、回復不能な進行性の疾患があり、その疾患により6ヶ月以内に死亡すると予測される場合。


神経変性疾患の場合は『12ヶ月以内に死亡すると予測』される場合も含まれるという『案』がありましたが、現在の審議段階では『全ての疾患において6か月以内』とされています。アメリカ同様、厳しい余命要件となってます。

※神経変性疾患:ALS、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症、ハンチントン病…etc.


2.自身の生命を終わらせる決定をする能力があること。

 (※精神的に安定していて判断能力があること)


3.申請時にイングランドまたはウェールズに12ヶ月以上通常居住しており、イングランドまたはウェールズの一般医療機関に患者として登録されていること。


4.明確で、確固たる、十分な情報を得た上で自身の生命を終わらせる意思があること。


5.強制や圧力がない、自発的な決定であること。


備考

※『非末期の疾患』や『精神疾患』は、対象外


どんなに『壮絶な苦痛』を抱えていても、耐え難い『不快感』を持っていても

『寿命がまだまだ残っている』なら、安楽死の対象に該当しません




イギリスの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①コーディネーター医師(安楽死に対処できる医師)に要請(第1チェック)

②独立した医師(まったく別の医師)による安楽死の要請(第2チェック)

③パネルによる審査(高等裁判官と多方面の専門家による審査)(第3チェック)

④コーディネーター医師が安楽死を実施後、行政機関に報告




※追記(2026年8月26日):

イギリス:2024–26年法案は会期終了により成立せず、2026–27年法案が再提出されています。

2024–26年のTerminally Ill Adults (End of Life) Billは、2026年4月に貴族院での審議を終えられないまま会期終了となり、法律として成立しませんでした。


2026–27年会期では新たな法案が再提出され、2026年9月11日に第二読会が予定されています。したがって、イギリスについては「合法化された制度」ではなく、「現在審議中の法案」となります。

👉イギリス安楽死法案とは?2026年【復活】の経緯・制度内容・今後の見通しをわかりやすく解説↓




👉末期成人(終末期)法案 - 議会法案 - 英国議会


👉 イギリスの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




オーストラリア


オーストラリアの自発的補助死(VAD)法に関するプロセスガイド。イラストやテキストで各ステップの詳細を説明。


【適格の条件】

オーストラリア安楽死法の適用対象と要件|

誰が申請できるのか


18歳以上であること


オーストラリア市民または永住者であること、およびビクトリア州に通常居住しており、最初の申請時に少なくとも12ヶ月間そうであったこと。


・VADに関する意思決定能力があること。


治癒不能であり、進行性で、死をもたらす疾患、疾病、または医療状態と診断されていること。


・その疾患により、数週間から数ヶ月以内、最長6ヶ月以内、

 または神経変性疾患の場合は最長12ヶ月以内に死に至ると予想されること。

 (※非末期の状態では対象外


・その疾患が、本人が耐えられないと判断する苦痛を引き起こしており、許容できる方法で軽減できないこと。


精神疾患や障害のみを理由としてVADの資格は得られない


※神経変性疾患

ALS、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症、ハンチントン病など。




オーストラリアの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①『調整』医師:患者が適格基準を満たしているか評価(第1チェック)

②『相談』医師:別の登録医師が①と同様の評価(第2チェック)

③『書面』による宣言:2名の証人と調整医師の前で署名(第3-1チェック)

④調整医師が最終チェック:連絡担当者を指名(第3-2チェック)

⑤安楽死許可証を申請:審査委員会と担当省庁が審査して発行(第3-3チェック) 

⑥実施


※もう少し簡略化。


①『調整』医師:患者が適格基準を満たしているか評価(第1チェック)

②『相談』医師:別の登録医師が①と同様の評価(第2チェック)

③『書面』による宣言後、最初の調整医師が最終チェックして、安楽死許可証を委員会および省庁(≒国、行政機関)に申請(第3チェック) 

オランダで言うところの『SCEN』に該当。

 イギリスで言うところの『パネル審査』に該当。

⑥実施




👉 オーストラリアの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




オランダ


オランダの安楽死制度の手順と保護を図解。患者や医師のイラストと共に、各ステップの説明がテキストで記載。カラフルなデザイン。


【適格の条件】

オランダ安楽死法の適用対象と要件|誰が申請できるのか


安楽死の適法性は、「要請による生命の終結および自殺幇助に関する法律」

第2条第1項で明文化されている。


その基本原則は、2001年制定当時から現在(2024年)まで大きな改訂はない。

主要な6つの基準は以下の通り:


・患者の要請が自発的かつ慎重に考え抜かれたものであること

・患者の苦痛が絶望的で耐え難いものであること

・医師が患者に対し、病状・予後について十分な説明を行っていること

・医師と患者の双方が、他に合理的な解決策が存在しないと結論したこと

・少なくとも1名の独立した医師が診察・書面による意見を提出していること

・医療的行為によって安楽死が実施されること


さらに、以下の補足事項も重要です:



・末期・非末期の区分は存在しない。

余命が長くても、苦痛が耐え難いと判断されれば申請が可能。

よって(病態により時間が掛かりますが)精神疾患や四肢麻痺で重度寝たきり状態も、要件を満たせば可能。


大部分が基礎疾患を有した方が安楽死を申請するが、疾患の有無は原則的に関係ない

希望者が「耐え難い苦痛、壮絶な不快感」を抱え、精神的な限界を突破せんばかりの苦悩があるなら、全てが対象となり得る。


つまりオランダでは、一定の条件を満たせば、必ずしも「余命6か月」などの一律の終末期要件だけを基準とする制度ではありません。

ただし、耐え難く改善の見込みがない苦痛、十分な情報提供、合理的な代替策の検討、独立した医師による確認など、法定の注意義務を満たす必要があります。


・年齢要件:

2023年の改正により、1〜11歳の安楽死も特定条件下で認可(保護者同意が必要)。


・カップル安楽死(Duo-euthanasia):

2016年、既存の安楽死法の枠組みで個別に適用され始め、2024年には54件が確認されている。




オランダの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①かかりつけ医へ申請(第1チェック)

 ⇩

②精神科医を含む独立した医師、他ケアスタッフによる評価(第2チェック)

 ⇩

③SCEN(安楽死のプロ医師)による協議(第3チェック)

 ⇩

④実施後にRTEが審査(※ある意味、第4チェック)




👉 オランダの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




カナダ


カナダの安楽死制度ガイドのインフォグラフィック。申請から実施までのステップを図解。人物イラストや色別の枠で区分。


【適格の条件】

カナダ安楽死法の適用対象と要件|誰が申請できるのか


  • 公的医療の受給資格(居住や待機期間の条件を満たす等)

  • 18歳以上で、医療判断の能力がある

  • 自発的な申請(外部からの不当な圧力がない)

  • インフォームド・コンセント(緩和ケアを含む代替手段の説明を受けた上での同意)


  • 重大かつ治る見込みのない状態

 ‣ 重篤で治らない病気・疾患・障害

 ‣ 能力の不可逆的低下

(身体・社会・職業など、本人にとって重要な機能の重度の低下)

その状態が、『本人にとって耐え難く、本人の許容条件では緩和できない持続的な苦痛』を引き起こしている


 苦痛評価の注意点

  • 身体・心理・社会・実存の各側面を幅広く把握

  • 本人の語りと臨床像・既往の意思表明との一貫性

  • 苦痛の原因が病状や低下に起因しているか

  • 苦痛が持続的であるか

  • 主観性の尊重(苦痛は本人の主観に属する)



備考

・オランダの安楽死モデルに、やや近い(非末期疾患も許容)。

つまり認知症、頚髄損傷(首から下が動かない)などで実存的な苦痛を持つ患者も許容範囲内。

カナダ政府は、精神疾患のみを基礎疾患とするMAIDの適格性について、

2027年3月17日まで適用開始を延期しています。




カナダの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


【本人の希望】

 ⇩

初期説明(選択肢・支援・撤回自由)

 ⇩

書面リクエスト(独立証人))

 ⇩

2名評価(独立)+必要な専門家コンサル


Track1の場合(末期):一般セーフガード

 (条件付き)最終同意免除の合意可



Track2の場合(非末期):追加セーフガード

 90日最短(短縮の可否は要件次第)

 支援手段の情報提供·紹介

 「真剣な検討」の確認


 ⇩

→実施直前の撤回機会 &最終同意→提供(自己投与 or 提供者投与)

→記録·死亡診断·報告




👉カナダにおける医療死の支援に関する第6回年次報告書 - Canada.ca


👉カナダの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




スペイン


スペイン安楽死法のプロセスを図解した画像。4つのステップと保護措置を紹介。医療関係者や医療器具のイラストあり。テキスト多数。


【適格の条件】

スペイン安楽死法の適用対象と要件|誰が申請できるのか


• 年齢・居住地:

 18歳以上で、スペイン国籍またはスペインに法的な居住権を持つか、12ヶ月以上の居住を証明する住民登録証明書を持つ者。


• 意思決定能力:

 申請時に判断能力があり、意識があること。


• 情報提供の理解:

 自身の病状、利用可能な治療法、緩和ケアを含む選択肢、および依存症者への支援に関する情報(もしあれば)を全て書面で受け取り、理解していること。



• 医学的状態:

 担当医師によって、


重度で慢性的な身体機能不全を伴い、

耐えがたい肉体的または精神的苦痛を伴う状態


または


重篤で回復不能な病気で、耐えがたい肉体的または

精神的苦痛を伴い、生命予後が限られている状態


であると認定されていること。



• 自由意思と非強要:

 外部からの圧力の結果ではなく、自発的に、書面または記録可能な他の方法で2回申請していること。

2回の申請の間隔は最低15日間空ける必要がありますが、担当医師が患者の同意能力喪失が差し迫っていると判断した場合は、状況に応じてより短い期間でも認められる。


• インフォームドコンセント:

 安楽死の援助を受ける前に、インフォームドコンセントを提供すること。これは患者の診療記録に記録されます。


※特例

 患者が上記の要件を満たす意思能力を完全に失っている場合でも、以前に事前の指示書(living will)同等の法的文書を作成しており、それが安楽死の援助を望む内容であれば、その文書に基づいて援助が提供されることがある。



※留意点

スペイン安楽死法案、法律第3条(定義)と第5条(要件)によると、対象となる疾患は

2つのカテゴリーに分類されます。


①「重篤で治癒不能な病気」

身体的または精神的苦痛が「耐えがたい」ほど続き、改善の見込みがない。

生命予後は「限定的」(数か月以内に限られない)。



②「重度・慢性かつ能力を奪う状態」

自立生活ができない、他者や機器に依存して生活するような重い障害や機能不全。

長期にわたり改善の見込みがない。

身体的または精神的に「持続的かつ耐え難い苦痛」を伴う。



つまり末期疾患でなくても許容範囲になります。

「末期(terminal)」であることは条件に含まれていません。オランダやベルギーと同じく、

慢性疾患や進行性障害で耐え難い苦痛があれば、適格基準の範囲内です。

(例:神経難病、完全麻痺、ALSなど)。

つまり、条件の幅は広いのが特徴です。


また精神疾患のみの申請も許容されます。

スペイン安楽死法案の法文上に「padecimiento físico o psíquico(身体的または精神的苦痛)」と明記。

ただし当然「慢性かつ改善見込みがない」「耐え難い苦痛」という厳しい条件を満たす必要があります。

実際の運用では、精神疾患を理由にするケースはきわめて慎重に審査されています(オランダ・ベルギーと同様)。


まとめると…

・スペインの安楽死は 『末期に限らない』

 → ALSや進行性難病、重度の慢性障害も対象。


精神疾患も法的には排除されていない。

 → ただし、厳格な審査と保証・評価委員会による多重チェックが必須。




スペインの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①担当医師(多くは主治医)に申請(第1チェック)

②顧問医師(最初とは全く別の独立した医師)の評価(第2チェック)

③安楽死『審査委員会(保障・評価委員会:第3者外部機関)』から指名された

新たな医師1名&法務担当者1名による評価(第3チェック)

④実施




👉 スペインの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




台湾


台湾における「安楽死(尊厳善終)」審査プロセスを示す図。申請、医師・多職種審査、国家委員会、10日待機、48時間前最終確認を説明。


【適格の条件】台湾安楽死法案の適用対象と要件|

誰が申請できるのか



① 完全な判断能力を有すること

本人が自ら意思決定できる状態であることが求められます。



② 不治の病を有すること

現段階では「非末期疾患」も含まれます。



③ 耐え難い苦痛があること

身体的苦痛だけでなく、

精神的苦痛をどこまで含むのかは今後の大きな論点です。



④ 他に合理的な治療手段がないこと

緩和ケアや代替的治療法が十分に検討されていることが前提となります。




台湾の安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


本人希望

   ↓

主治医相談 → 適性検査 → 多職種での評価(第一チェック)

   ↓

独立医師が同じように確認(第二チェック)

   ↓

安楽死 審査委員会(第三チェック)

   ↓

許可

   ↓

10日熟慮期間

   ↓

サービス提供機関との契約締結

   ↓

48時間待機

   ↓

最終確認 → 安楽死実施 → 自然死認定

   ↓

監督委員会(第四チェック)




👉 台湾の詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています↓




フランス


フランス「死のほう助」法案プロセスを示す図。申請条件、評価、実施、監査が段階的に説明され、イラスト付き。


【適格の条件】

フランス安楽死法の適用対象と要件|誰が申請できるのか


1.18歳以上であること

2.フランス国籍を有するか、フランスに安定して定期的に居住していること

3.進行期または末期で、生命を脅かす重篤かつ治癒不可能な病状に罹患していること。

4.症状に関連した現在の身体的または心理的苦痛が耐え難い状況で、患者が治療を受けることに中止の選択をした場合

5.自由かつ充分な情報に基づいて自分の意志を表明




フランスの安楽死プロセス:申請から終了までの流れ


①かかりつけ医へ申請(第1チェック)

 ⇩

②別の医師も含み、他職種と連携で評価(第2チェック)

 ⇩

③実施後に国家データベースに記録、監査(※ある意味、第3チェック)




👉 フランスの詳細な申請プロセスについては、こちらで詳しく解説しています




FAQ(よくある質問)


Q1.安楽死制度では、申請してから実施までどのような流れになりますか?

A. 国・地域によって異なりますが、一般的には、本人の申請・意思確認、適格性の評価、医師等による確認、実施、事後報告・審査という流れになります。第三者による事前審査を行う制度もあれば、実施後の審査を重視する制度もあります。


👉 各国がどのように制度を導入したのかについては、こちらも参考になります



Q2.安楽死制度を利用するための適格条件には、どのようなものがありますか?

A. 年齢、居住資格、疾患、苦痛、予後、意思決定能力、自発的な意思などが条件となります。ただし、具体的な条件は国・地域によって大きく異なります。


👉 安楽死をめぐる賛否の論点を体系的に整理したい方は、こちらをご覧ください↓



Q3.なぜ複数の医師による確認が必要なのですか?

A. 本人が法定条件を満たしているか、意思決定能力や自発的意思があるかを客観的に確認するためです。ただし、複数医師による確認の方法や必要性は制度によって異なります。


Q4.国によって安楽死制度の内容はどのくらい違いますか?

A. 大きく異なります。対象疾患、年齢、予後、意思決定能力、待機期間、医師による確認、第三者審査、事後監督など、それぞれの制度に違いがあります。


Q5.申請してから実施までに待機期間はありますか?

A. 制度によって異なります。本人が意思を再確認する期間として待機期間を設ける制度がありますが、病状などによって扱いが異なる場合もあります。


Q6.「安楽死」と「医師幇助自殺」は同じですか?

A. 同じではありません。一般に、安楽死は医師などが薬剤を投与するのに対し、医師幇助自殺では医師が薬剤を提供し、本人が自ら使用します。法的な定義は国・地域によって異なります。


Q7.オレゴン州の「Death with Dignity」は安楽死ですか?

A. 一般的な意味での安楽死とは区別されます。オレゴン州では、医師が薬剤を処方し、最終的には本人が自ら使用する制度です。


Q8.安楽死と尊厳死は同じものですか?

A. 同じものではありません。一般に安楽死は医療者が患者の生命を意図的に終わらせる行為を指し、尊厳死は延命治療の開始・継続を控えることなどを指して使われます。ただし、「尊厳死」の定義は一様ではありません。


Q9.安楽死制度は「自殺」と同じものですか?

A. 必ずしも同じものとして扱われているわけではありません。制度化された安楽死・医師幇助自殺には、本人の意思や医学的条件などについて法律上の要件が設けられています。


Q10.安楽死制度は、緩和ケアを否定するものですか?

A. いいえ。緩和ケアは重要な医療であり、安楽死とは目的が異なります。本サイトでは両者を対立させるのではなく、それぞれの役割と限界を検討しています。


Q11.安楽死制度には、どのようなリスクがありますか?

A. 意思決定能力の評価、家族や社会からの圧力、対象範囲の拡大、障害者・高齢者への影響、制度違反の監視などが主な論点です。これらは制度設計の際に検討すべき重要な課題です。


Q12.反対派・慎重派は、どのような問題を指摘していますか?

A. 本人の意思が本当に自由なのか、社会的圧力がないか、対象範囲が拡大する可能性はないか、といった点が指摘されています。本サイトでも、こうした反対・慎重論を扱う研究を確認しています。


Q13.すべての国で第三者による審査が行われていますか?

A. いいえ。事前審査を行う制度、複数の医師による確認を重視する制度、実施後の審査を行う制度などがあります。各国の制度を個別に確認する必要があります。


Q14.第三者審査があれば、安楽死制度は安全だと言えますか?

A. 第三者審査は重要な安全策の一つですが、それだけで安全性が保証されるわけではありません。適格基準、意思確認、監督、報告、違反への対応などを総合的に見る必要があります。


Q15.安楽死制度を支持する研究だけを紹介しているのではありませんか?

A. いいえ。制度を支持する研究だけでなく、セーフティガード、対象範囲の拡大、社会的圧力、障害者への影響などを問題視する研究も確認しています。


Q16.日本でも海外と同じ手続きが採用されていますか?

A. いいえ。現在、日本には海外のような安楽死・医師幇助自殺の制度はありません。日本で制度化を検討する場合には、日本の法律・医療制度等を踏まえた制度設計が必要です。


👉 日本における安楽死の法律的な扱いについては、こちらで詳しく解説しています↓



Q17.海外の安楽死制度は、すべて終末期の患者を対象にしていますか?

A. いいえ。一定の余命を条件とする制度もあれば、終末期であることを一律の条件としない制度もあります。対象疾患や苦痛の条件も国・地域によって異なります。


Q18.精神疾患だけを理由とする安楽死・医師幇助自殺を認めている国はありますか?

A. 国・地域によって扱いが異なります。一定の条件下で認める制度がある一方、対象外としている制度もあります。意思決定能力などをめぐって大きな議論が続いています。


Q19.本人の意思が途中で変わった場合はどうなりますか?

A. 制度によって具体的な手続きは異なりますが、本人が意思を撤回した場合に実施しないことは重要な原則です。実施時点まで本人の意思を確認する仕組みを設ける制度もあります。


Q20.世界の安楽死制度を比較する場合、何を基準に見るべきですか?

A. 対象者、疾患・予後、苦痛、意思決定能力、医師による確認、第三者審査、待機期間、実施方法、事後監督、統計公開などを比較することが重要です。「合法か違法か」だけでは制度の違いを十分に把握できません。


Q21.このページで紹介している国・地域の情報は、すべて現在の法律ですか?

A. いいえ。施行済みの制度だけでなく、法案や審議中の制度も含まれています。本文では、可能な限り「成立」「施行」「審議中」などを区別しています。


Q22.この記事の情報源は何ですか?

A. 各国政府・議会・裁判所などの一次資料、公的統計、年次報告書、査読付き学術論文などを優先しています。医学・倫理分野では、PubMed収載論文等も参照しています。


Q23.このサイトは匿名で運営されていますが、情報の信頼性をどう確保していますか?

A. 運営者の個人情報を公開するのではなく、調査方法と出典を可能な限り明示することを重視しています。法律・統計は公的資料、医学・倫理については査読付き論文などを優先しています。


Q24.この記事の情報は、医療や法律上の個別的な助言ですか?

A. いいえ。本記事は各国の制度を比較・整理するための情報提供です。個別の医療・法律上の判断については、医療専門職や法律専門家にご相談ください。



「世界の安楽死制度の全体像」については、こちらをご覧ください↓


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各国比較

国・地域

制度

主な対象

医師による投与

独立した確認

第三者審査

事後審査

オランダ

安楽死・幇助自殺

非末期を含む

制度により関与

カナダ

MAID

Track 1 / Track 2

一律ではない

オレゴン州

医師幇助自殺

末期疾患

×

×

スペイン

安楽死・幇助自殺

法定要件

オーストラリア

VAD

州法による

州により異なる

州により異なる

英国

法案

末期成人

法案上の制度

法案上あり

法案上あり

フランス

法案・審議状況

法案による

法案による

法案による

法案による

法案による

台湾

法案

法案による

法案による

法案による

法案による

法案による




嘆願書送付アクション

本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。



書類 一覧


嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』

補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白

補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル

補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策

補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題

補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態

カバーレター:ご挨拶(1ページ)

要約文(2ページ)







参考文献・主要資料


本記事では、各国政府・議会・公的機関の一次資料を優先し、制度の実態や倫理的論点についてはPubMed収載の査読付き論文等を参照しています。


世界の制度比較

Grove GL, et al. “Voluntary-assisted dying, euthanasia and physician-assisted suicide: global perspectives-systematic review.” BMJ Supportive & Palliative Care. 2025. DOI: 10.1136/spcare-2024-005116. PMID: 40175060.

世界各国における安楽死・医師幇助自殺等への態度を体系的にレビューした研究です。PubMed


オランダ

van der Heide A, et al. “End-of-life practices in the Netherlands under the Euthanasia Act.” New England Journal of Medicine. 2007;356(19):1957–1965. DOI: 10.1056/NEJMsa071143. PMID: 17494928.

オランダの安楽死法の下で行われた終末期医療について全国的に調査した重要研究です。PubMed


制度上の安全策・批判的研究

・Pereira J. “Legalizing euthanasia or assisted suicide: the illusion of safeguards and controls.” Current Oncology. 2011;18(2):e38–e45. DOI: 10.3747/co.v18i2.883. PMID: 21505588.

安楽死・医師幇助自殺におけるセーフティガードの有効性について批判的に検討した論文です。PubMed


・Downie J, Chambaere K, Bernheim JL. “Pereira's attack on legalizing euthanasia or assisted suicide: smoke and mirrors.” Current Oncology. 2012;19(3):133–138. DOI: 10.3747/co.19.1063. PMID: 22670091.Pereira

論文の実証的主張を検討し、反論を提示した研究です。PubMed


・Shariff MJ. “Assisted death and the slippery slope—finding clarity amid advocacy, convergence, and complexity.” Current Oncology. 2012;19(3):143–154. DOI: 10.3747/co.19.1095. PMID: 22670093.

安楽死制度における対象範囲の拡大やセーフティガードについて、複数国を比較して論じています。PubMed


緩和ケアとの関係

Georges JJ, et al. “Differences between terminally ill cancer patients who died after euthanasia had been performed and terminally ill cancer patients who did not request euthanasia.” Palliative Medicine. 2005;19(8):578–586. DOI: 10.1191/0269216305pm1069oa. PMID: 16450874.

安楽死を選択した終末期がん患者と、申請しなかった患者の症状・苦痛等を比較した研究です。PubMed


日本

Takimoto T, et al. “Disparity in attitudes regarding assisted dying among physicians and the general public in Japan.” 2025. PMID: 39833823. PMCID: PMC11748524.

日本の医師と一般市民の安楽死・医師幇助自殺への態度を比較した研究です。PubMed


医療者の態度

McCormack R, Clifford M, Conroy M. “Attitudes of UK doctors towards euthanasia and physician-assisted suicide: a systematic literature review.” Palliative Medicine. 2012;26(1):23–33. DOI: 10.1177/0269216311397688. PMID: 22190615.

英国医師を対象とした過去の研究を体系的にレビューし、医療者側の懸念を整理しています。PubMed




本記事の調査方法・情報源について


本記事では、世界各国の安楽死・医師幇助自殺・VAD・MAID等の制度について、各国政府・議会・公的機関が公開している法律、制度説明、年次報告書等を優先して確認しています。


また、制度の実態や制度上の論点については、PubMed収載の査読付き学術論文、医学・生命倫理・法学分野の研究論文を参照しています。


本記事では、制度を支持する研究だけでなく、制度の安全性、セーフティガード、意思決定能力、強制・圧力、障害者への影響、医療者の負担などを問題視する研究・批判的研究も可能な限り併記しています。


法制度や法案は改正・審議状況によって内容が変わるため、各国の最新情報については原則として公式資料を優先しています。


最終確認日:2026年8月26日

※本記事は医療・法律上の個別助言を行うものではなく、各国の制度を比較・整理するための情報提供を目的としています。



訂正・更新について


本記事では、法改正・法案審議・制度運用の変更等を確認した場合、内容を更新します。

法案については「成立」「可決」「審議中」「廃案」「施行」を区別して記載します。

また、各国制度の説明について重要な誤りが確認された場合には、該当箇所を修正するとともに、必要に応じて更新日を明記します。

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