日本で安楽死は合法?違法?|法律・裁判・終末期医療から結論をわかりやすく解説

更新日:8月23日
最終更新日:2026年8月22日(随時更新)
※確認した情報
刑法|厚生労働省ガイドライン|名古屋高裁判決|横浜地裁判決|PubMed収載論文
👉 安楽死の基本的な仕組みや全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
結論:日本では安楽死は原則「違法」
日本では、積極的安楽死を一般的に
合法化する法律は現在存在しません。
一方、過去の刑事裁判では、
「仮に安楽死が違法とならないとすれば、
どのような条件が必要か」
という観点から、厳格な要件が示された例があります。
重要なのは、これらの判例が安楽死制度を合法化したものではないという点です。
実際、名古屋高裁判決(1962年)および東海大学安楽死事件の横浜地裁判決(1995年)では、いずれも被告人に有罪判決が言い渡されています。
この記事では、
・なぜ安楽死が違法とされるのか
・判例ではどのように判断されているのか
・尊厳死との違い
・世論調査の紹介
をわかりやすく解説します。
日本における安楽死の現状
(安楽死 日本 法律 裁判)

日本で安楽死は合法か(日本の法律と裁判例)
日本には、いわゆる(積極的)安楽死を直接認める法律は存在しません。
そのため、安楽死は以下の犯罪に該当する可能性があります。
刑法199条:殺人罪
刑法202条:嘱託殺人罪・同意殺人罪
日本では過去の安楽死事件はすべて有罪とされています。
ただし一部判例では
苦痛の存在
死期の切迫
他の手段がない
本人の明確な意思
などの条件が示されています。
判例 | 年 | 裁判所 | 示された論点 | 判決 |
名古屋安楽死事件 | 1962年 | 名古屋高裁 | 安楽死の6要件 | 有罪 |
東海大学安楽死事件 | 1995年 | 横浜地裁 | 医師による積極的安楽死の許容要件 | 殺人罪・有罪 |
その他の関連事件 | ― | 各地裁等 | 安楽死・嘱託殺人等 | 個別判断 |
これらの判例は「安楽死を合法化したものではなく、あくまで違法性判断の基準を示したにすぎない」という点が重要です。
※ただし、日本では積極的安楽死が制度化されていない一方で、
終末期医療の現場では延命治療の中止や緩和ケアによって、結果的に死期が早まるケース(消極的安楽死・間接的安楽死)が存在します。
👉 安楽死の定義と分類(積極的・消極的・間接的)の違いは、こちらで整理しています↓
👉詳細な法律と判例を見ながら、さらに深掘りした詳しい解説は、こちらをご覧ください📝
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👉 世界各国の申請プロセスをまとめて確認する場合はこちら(ハイライト)↓
👉 世界の安楽死法│法律の紹介↓
安楽死と尊厳死との違い(混同注意)
※👉 安楽死と尊厳死の違いについて
深掘りしている記事はこちらになります
↓

安楽死
医師が積極的に死に至らせる行為
日本では違法
尊厳死(消極的安楽死、平穏死、尊厳死)
延命治療を中止・差し控える
一定条件下で認められる場合あり
この違いは非常に重要で、日本では実質的に「尊厳死」が現実的な選択肢となっています。
※「尊厳死」「平穏死」「消極的安楽死」などの用語は、文献や時代によって意味が異なるため注意が必要です。本ページでは、混乱を避けるため、延命治療の差し控え・中止と、医師が薬物などによって意図的に死を早める積極的安楽死を区別して説明します。
日本の終末期医療の現状
日本では、積極的安楽死を制度として認めていません。
一方、人生の最終段階における医療・ケアについては、厚生労働省のガイドラインに基づき、本人の意思決定を基本として、医療・ケアチームによる合意形成、疼痛やその他の苦痛の緩和、ACP(人生会議)などが重視されています。
なお、厚生労働省のガイドラインは、生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死を対象としていません。
緩和ケア(痛みの軽減)
延命治療の中止
ACP(人生会議)による意思確認
しかし、これらでは苦痛を完全に取り除けないケースもあり、
安楽死を巡る議論が続いています。
👉 日本の安楽死の歴史と、現在の終末期医療については、
こちらで詳しく解説しています
↓
👉「延命治療の現場シーン」をご覧になりたい方は↓
消極的安楽死とは?尊厳死・延命治療との違いをわかりやすく解説【図解・画像あり】
👉 安楽死と関係が深い「緩和ケアと安楽死の違い」については、こちらで整理しています↓
世論調査(日本)
👉世論調査の詳しい解説はこちらをご覧ください
↓

日本の安楽死に対する世論は、質問方法、対象となる患者像、安楽死と医師幇助自殺の区別などによって結果が大きく異なります。
そのため、「日本人の○割が安楽死を支持している」と単純化することには注意が必要です。
2025年に公表された日本の医師・一般市民を対象とした調査では、具体的な症例を提示した場合、医師と一般市民の間で支持率に大きな差が確認されています。
👉日本における医師と一般市民の間で安楽死に対する態度の格差 - PubMed
日本の安楽死(事件と歴史)
👉 日本の、安楽死の【歴史的背景】は、こちらで詳しく解説しています↓
👉 世界の、安楽死の歴史的背景はこちら 、こちらで詳しく解説しています↓
👉 世界の安楽死制度の成立経緯を年代順で知りたい方は、こちら↓
👉 地図で確認する安楽死が合法の国 一覧と各国制度は、こちらで詳しく解説しています↓
FAQ(よくある質問)
Q1.安楽死と尊厳死は同じものですか?
A. いいえ、一般には区別されます。安楽死は、患者の死を直接的に早める行為を指し、尊厳死は延命治療の差し控え・中止などによって自然な経過で最期を迎えることを指して使われる場合があります。ただし、用語の定義は文献や国によって異なります。
Q2.緩和ケアを否定しているのですか?
A. いいえ。緩和ケアは終末期医療において重要な医療・ケアです。本サイトでは緩和ケアを否定するのではなく、適切な緩和ケアを受けてもなお残る苦痛に対して、どのような選択肢を認めるべきかを議論しています。
Q3.緩和的鎮静は安楽死ですか?
A. 原則として同じものではありません。緩和的鎮静は苦痛の緩和を目的とする医療行為であり、患者の死を直接の目的とする積極的安楽死とは区別されます。
Q4.延命治療を中止することは安楽死ですか?
A. 一般に、積極的安楽死と延命治療の差し控え・中止は区別されます。前者は死を直接的に早める行為であり、後者は生命維持治療を開始・継続しないという判断です。
Q5.日本では安楽死は合法ですか?
A. 現在、日本には積極的安楽死を一般的に合法化する法律はありません。刑法上、患者本人の依頼や承諾に基づいて生命を奪った場合でも、嘱託殺人・同意殺人などが問題となる可能性があります。
Q6.判例の「4要件」や「6要件」を満たせば、安楽死を実施できますか?
A. いいえ。これらは安楽死を合法化した法律ではなく、刑事責任や違法性について裁判所が示した判断です。したがって、「要件を満たせば合法的に安楽死を実施できる」という意味ではありません。
Q7.安楽死制度にはどのようなリスクがありますか?
A. 本人の意思が本当に自由なものか、家族や社会からの圧力がないか、診断・予後の判断に誤りがないかなどが主な論点です。高齢者や障害者など、脆弱な立場にある人への影響や制度の監督体制も重要な課題です。
Q8.安楽死制度に反対する研究や慎重論も検討していますか?
A. はい。本サイトは法制化を求める立場ですが、反対・慎重論も重要な検討対象としています。本人の意思、脆弱な患者への影響、滑り坂論、制度の安全性などについて、賛成・反対双方の研究を確認しています。
※👉 安楽死をめぐる賛成・反対の議論はこちら
Q9.「周囲に迷惑をかけたくない」という理由で安楽死を選ぶことになりませんか?
A. これは重要な制度上のリスクの一つです。家族への負担感や経済的不安などが意思決定に影響していないかを確認する仕組みが必要です。
※👉 安楽死と自殺の違い・関係を整理したい方は、こちらをご覧ください↓
Q10.安楽死を法制化すると、緩和ケアや障害者福祉が軽視されませんか?
A. その懸念は制度設計上、重要な論点です。安楽死制度を検討する場合でも、緩和ケア、障害福祉、介護などの支援を十分に保障することが必要です。
Q11.海外ではどのような安全対策が取られていますか?
A. 国によって異なりますが、本人の意思確認、複数の医師による評価、適格性の審査、記録・報告、事後審査などが設けられています。制度を比較する際には、対象者の要件だけでなく、審査・監督の仕組みまで確認する必要があります。
※👉 海外の安楽死制度の詳細は、こちらをご覧ください↓
Q12.日本で安楽死を法制化する必要があると考えているのですか?
A. はい。本サイトは、本人の明確で自由な意思に基づく終末期の選択肢について、法制度として検討する必要があると考えています。ただし、濫用を防ぐため、厳格な適格要件や意思確認、第三者審査、監督制度などが必要です。
👉安楽死の定義・種類・尊厳死との違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓
嘆願書送付アクション
本サイトでは、各国制度、安全性・濫用防止、緩和ケア、身体疾患による苦痛と自殺などについて、国会提出用の補足資料も公開しています。
書類 一覧
・嘆願書 本文『人道的終末選択の法制化に関する提言書』
・補足資料① 日本における安楽死制度の法的現状と制度的空白
・補足資料② 各国制度比較と日本への制度モデル
・補足資料③ 制度設計・安全性確保・濫用防止策
・補足資料④ 緩和ケアの限界と終末期医療の課題
・補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
・カバーレター:ご挨拶(1ページ)
・要約文(2ページ)
図①「日本の安楽死法制」
日本の安楽死制度
現在
↓
安楽死を直接認める法律
│
└── なし
↓
刑法による規律
├─ 刑法199条
└─ 刑法202条
↓
過去の判例
├─ 名古屋高裁 1962
│ └─ 6要件
│
└─ 横浜地裁 1995
└─ 4要件
↓
※いずれも合法化ではない
図②「安楽死・尊厳死・緩和ケア」
項目 | 安楽死 | 延命治療の中止・差し控え | 緩和ケア |
主目的 | 死を早める | 治療方針の選択 | 苦痛の緩和 |
死への意図 | ある | 原則として死そのものを目的としない | 死を目的としない |
日本 | 制度化されていない | ガイドライン等で判断 | 医療として実施 |
厚労省ガイドライン | 対象外 | 対象 | 重視 |
図③「安楽死をめぐる論点マップ」
安楽死制度
│
┌───────────┴───────────┐
↓ ↓
賛成論 反対・慎重論
│ │
自己決定権 生命の保護
苦痛からの解放 社会的圧力
尊厳 障害者への影響
選択肢の拡大 誤診・予後予測
制度による透明化 滑り坂論
│ │
└─────────┬─────────┘
↓
制度設計の問題
│
┌───────┼───────┐
↓ ↓ ↓
適格性 審査 監視
参考文献・主要資料
日本の法律・判例
名古屋高等裁判所判決・昭和37年12月22日。安楽死に関するいわゆる「6要件」を示した判例。実際の事件では要件の一部を満たさないとして有罪判決が言い渡されています。
名古屋高等裁判所 昭和37年(う)496号 判決 - 大判例
横浜地方裁判所判決・平成7年3月28日(平成4年(わ)第1172号)。東海大学安楽死事件。医師による積極的安楽死について4つの要件を示した重要判例で、被告人には殺人罪の有罪判決が言い渡されました。
日本の学術研究
Akabayashi A. Euthanasia, assisted suicide, and cessation of life support: Japan's policy, law, and an analysis of whistle blowing in two recent mercy killing cases. Soc Sci Med. 2002;55(4):517-527. doi:10.1016/S0277-9536(01)00184-8. PMID:12188460. 日本の安楽死・自殺幇助・生命維持治療中止の法的・倫理的問題を整理しています。
安楽死、自殺幇助、生命維持装置の停止:日本の政策、法律、そして最近の2件の慈悲殺人事件における内部告発の分析 - PubMed
Asai A, Ohnishi M, Nagata SK, Tanida N, Yamazaki Y. Doctors' and nurses' attitudes towards and experiences of voluntary euthanasia: survey of members of the Japanese Association of Palliative Medicine. J Med Ethics. 2001;27(5):324-330. doi:10.1136/jme.27.5.324. PMID:11579190. 日本の緩和医療関係者を対象に、安楽死への態度と経験を調査した研究です。
医師と看護師の自発的安楽死に対する態度と経験:日本緩和医療協会会員調査 - PubMed
Okishiro N, Miyashita M, Tsuneto S, Sato K, Shima Y. The Japan HOspice and Palliative Care Evaluation Study (J-HOPE Study): views about legalization of death with dignity and euthanasia among the bereaved whose family member died at palliative care units. J Palliat Med. 2009;26(2):98-104. doi:10.1177/1049909108327027. PMID:19349457. 緩和ケア病棟で家族を看取った遺族の意識を調査しています。
日本ホスピス・緩和ケア評価研究(J-HOPE研究):緩和ケアユニットで家族が亡くなった遺族における尊厳を伴う死の合法化と安楽死に関する見解 - PubMed
Takimoto et al. Disparity in attitudes regarding assisted dying among physicians and the general public in Japan. 2025. PMID:39833823; PMCID:PMC11748524. 日本の医師と一般市民の安楽死・自殺幇助への態度を比較した比較的新しい研究です。
海外の制度・安全性に関する研究
van der Maas PJ, van der Wal G, Haverkate I, et al. Euthanasia, physician-assisted suicide, and other medical practices involving the end of life in the Netherlands, 1990-1995. N Engl J Med. 1996;335(22):1699-1705. doi:10.1056/NEJM199611283352227. PMID:8929370. オランダにおける終末期医療・安楽死の全国調査です。
安楽死、医師による自殺幇助、その他の医療行為 オランダにおける1990-1995年 - PubMed
Lewis P, Black I. Adherence to the request criterion in jurisdictions where assisted dying is lawful? A review of the criteria and evidence in the Netherlands, Belgium, Oregon, and Switzerland. J Law Med Ethics. 2014. doi:10.1111/jlme.12098. PMID:24446946. 合法制度における本人の有効な意思と制度上の基準について検討しています。
幇助死が合法な管轄区域で、要求基準の遵守は?オランダ、ベルギー、オレゴン、スイスにおける基準と証拠のレビュー - PubMed
Euthanasia and physician-assisted suicide not meeting due care criteria in the Netherlands: a qualitative review of review committee judgements. BMJ Open. 2017;7:e017628. doi:10.1136/bmjopen-2017-017628. PMID:29074515. オランダの審査委員会で「適切なケア基準を満たさない」とされた事例を分析しています。
オランダにおける安楽死および医師による自殺が適正なケア基準を満たさない:審査委員会の判断の質的レビュー - PubMed
Rietjens JAC, Deschepper R, Pasman R, Deliens L. Medical end-of-life decisions: does its use differ in vulnerable patient groups? A systematic review and meta-analysis. Soc Sci Med. 2012;74(8):1282-1287. doi:10.1016/j.socscimed.2011.12.046. PMID:22401644. 社会的に脆弱とされる患者群と終末期医療の意思決定について検討しています。
医療終末期の意思決定:脆弱な患者層で使用は異なるのか?システマティックレビューとメタアナリシス - PubMed
Battin MP, van der Heide A, Ganzini L, van der Wal G, Onwuteaka-Philipsen BD. Legal physician-assisted dying in Oregon and the Netherlands: evidence concerning the impact on patients in "vulnerable" groups. J Med Ethics. 2007. PMID:17906058. 合法化による脆弱な患者群への影響について、既存データを検討しています。
オレゴン州とオランダにおける合法的な医師幇助死:「脆弱」なグループの患者への影響に関する証拠 - PubMed
Tuffrey-Wijne I, et al. Euthanasia and physician-assisted suicide in people with intellectual disabilities and/or autism spectrum disorders: investigation of 39 Dutch case reports (2012-2021). BJPsych Open. 2023;9(3):e87. doi:10.1192/bjo.2023.69. PMID:37218567. 知的障害・自閉症スペクトラムと安楽死をめぐる具体的事例を検討しています。
知的障害および/または自閉症スペクトラム障害を持つ人々における安楽死および医師による自殺幇助:オランダの39件の症例報告調査(2012-2021年) - PubMed
情報源・調査方針
本ページでは、法令、裁判例、政府・公的機関資料、査読付き学術論文を優先して参照しています。海外制度については各国政府・公的機関の資料を優先し、学術研究についてはPubMed等で論文情報を確認しています。
また、本サイトは安楽死制度の法制化を求める立場から情報発信しています。そのため、制度化に賛成する研究だけでなく、反対・慎重論、制度上のリスクを指摘する研究も可能な限り併記しています。
法律・制度は変更される可能性があるため、各資料の確認時点も明記します。
編集・調査方針
本ページはRiP:D編集部が、公開されている法令、裁判例、公的機関資料、査読付き学術論文等を調査して作成しています。
法制度については日本の法令・裁判資料を、医療・終末期医療については厚生労働省等の公的資料および査読付き研究を優先して参照しています。
海外制度については、可能な限り各国政府・公的機関の一次資料を確認しています。
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最終確認日:2026年8月23日

















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