安楽死 法制化|補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態│制度的課題を考えるための公的統計分析【国会提出資料】
- リップディー(RiP:D)

- 2 日前
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※最終更新日:2026年7月27日(随時更新)
国会議員に提出した「人道的終末選択の法制度化に関する要望」(安楽死 法制化)
👉以前、改訂を加えた嘆願書の『本文』を全文公開しました。
嘆願書の構成については
+ 要約文(2ページ分)
+カバーレター
+ 嘆願書 本文『人道的終末選択の法制度化に関する要望書』
+ 補足資料 ① ② ③ ④ ⑤
となります。
今回は、その補足資料に当たる⑤を全文公開します。
本文との連携を考慮して、解像度を高めたものに仕上げています。
安楽死の法制化に向けて、ご査収いただければ幸いです。
🎧音声による動画解説
要約図(自由使用可)(安楽死 自殺)

嘆願書
補足資料 ⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態
―制度的課題を考えるための公的統計分析―
1.本資料の位置づけ
本補足資料は、嘆願書本文および補足資料①~④を補完し、
制度上の選択肢が存在しない現状が、身体疾患や身体障害による苦痛を抱える人々にどのような影響を及ぼしているのかを、公的統計に基づいて整理するものである。
本資料は、
自殺を肯定・推奨するものではない
自殺と人道的終末選択制度を同一視するものでもない
その前提に立ち、
制度的課題を検討するための基礎資料として作成したものである。
2.健康問題は、日本の自殺原因として最も多い
警察庁および厚生労働省の統計では、
健康問題は長年にわたり、自殺原因として最も多い項目となっている。
健康問題には、
身体疾患
身体障害
精神疾患
その他の健康上の問題
が含まれるが、
その中でも身体疾患および身体障害による悩みは、毎年数千件規模で計上されている。
このことは、身体疾患や身体障害による苦痛が、現在もなお自殺の重要な背景要因の一つとなっていることを示している。
■健康問題は長年にわたり自殺原因の最多項目となっている

健康問題を理由とする自殺は、平成19年(2007年)から令和6年(2024年)まで一貫して日本の主要な自殺原因の一つであり、近年も年間約1万人を超える水準で推移している。
その内訳では、精神疾患が最も大きな割合を占めている。

一方、身体疾患および身体障害に起因する自殺も、
統計分析では年間約4,000~5,000人規模と推計される。
3.身体疾患・身体障害による自殺は継続して確認されている
厚生労働省自殺対策白書および警察庁統計では、
がん、難病、慢性疾患などの身体疾患、
ならびに身体障害に関する悩みを背景とする自殺が、
毎年継続して記録されている。
長期推移をみても、身体疾患による自殺は一時的な現象ではなく、
長年にわたり一定規模で存在していることが確認される。
■ 身体的苦痛による自殺は一時的現象ではなく、長期間継続している

身体疾患では「がん」単独による自殺は長期的に減少傾向を示しているものの、
それ以外の慢性疾患や神経難病、循環器・呼吸器疾患等を含む身体疾患、および身体障害を背景とした自殺は依然として高い水準で推移している。
身体疾患・身体障害による自殺者数は、景気変動や社会情勢による一時的な増減では説明できず、18年間にわたり継続して確認されている。
特に令和4年以降は再び増加傾向がみられ、身体的苦痛や身体機能の喪失を背景とする悩みが、現在もなお社会的課題として存在していることが
示唆される。
このことは、医療の進歩や緩和ケアの普及が進んだ現在においても、
なお十分に救済されていない患者層が存在する可能性を示している。
4.身体的苦痛は精神的苦痛と切り離せない
身体疾患による自殺は、単なる疼痛のみでは説明できない。
終末期患者や難病患者では、
呼吸困難
身体機能の喪失
全介助状態
将来への不安
尊厳の喪失
などが重なり、
身体的苦痛と精神的苦痛が複合的に存在することが知られている。

5.制度的観点からの考察
本統計は、自殺と人道的終末選択制度を直接結び付けるものではない。
しかし一方で、
身体疾患や身体障害を背景とした自殺が毎年相当数発生しているという事実は、
身体的苦痛や尊厳の喪失に直面した患者の一部が、現行制度の中で十分な救済を受けられていない可能性を示唆している。
補足資料④で示したように、緩和ケアは終末期医療において極めて重要である一方、
医学的にも一定割合の患者には緩和困難な苦痛が残存することが確認されている。
本資料で示した自殺統計は、そのような苦痛を背景とする患者が、制度上の選択肢を持たないまま自ら命を絶つ事例が一定数存在する可能性について、立法府として検討する必要性を示す参考資料となる。
※👉 補足資料 ④
6.結論
警察庁および厚生労働省の統計からは、身体疾患および身体障害による苦痛を背景とする自殺が、毎年数千人規模で継続して発生していることが確認される。
本資料は、自殺を肯定・推奨するものではなく、また、自殺と人道的終末選択制度(安楽死制度)を同一視するものでもない。
しかし、身体疾患による苦痛を背景とした自殺が継続して発生している現実は、
現行制度のみでは十分に救済されていない患者が存在する可能性を示唆している。
したがって、緩和ケアのさらなる充実を前提としつつ、制度上の空白についても、客観的データと国際的な知見に基づき、
人道的終末選択制度(安楽死制度)のあり方について冷静かつ建設的な立法的検討を進めることが望まれる。
本資料が、身体疾患や身体障害による苦痛に直面する患者への支援のあり方について、多角的かつ建設的な政策議論を進めるための一助となれば幸いである。
補足データ
■健康問題による自殺者の詳細推移(平成19年~令和6年:過去18年分)
※厚生労働省『自殺対策白書』および、警察庁発表のデータより集計

健康問題は18年間を通じて日本の自殺原因の最大要因(平均51.2%)である。
健康問題自殺の約6割は精神疾患、約3.5割は身体疾患で構成される。
身体疾患だけでも年間平均4,349人が亡くなっており、社会的に無視できない規模である。
身体疾患自殺は18年間で減少したものの、現在も年間約4,000人が亡くなっている。
精神疾患による自殺は長期的には減少したが、コロナ禍以降は高止まりしている。
健康問題自殺全体は減少したものの、近年は12,000人前後で下げ止まりの傾向がある。
健康問題が自殺全体に占める割合は近年むしろ上昇し、令和6年には59.3%と過去最高水準に達している。
身体疾患自殺の大部分は「がん」ではなく、その他の身体疾患(慢性疾患・難病・多様な身体疾患)によるものである。
身体障害による自殺は18年間を通じて比較的安定して推移している。
自殺対策を精神疾患だけに限定しても限界があり、身体疾患患者への緩和ケア、疼痛管理、意思決定支援、心理社会的支援などを含めた包括的な対策が必要である。
この表から最も強く読み取れる結論は、
「健康問題による自殺=精神疾患だけではない。」
「約3人に1人は身体疾患が背景にあり、その規模は現在も年間約4,000人に上る。」
という点です。
これは、身体疾患患者への支援の重要性を示す客観的なデータとして、大きな意味を持つと言える。
「補足資料①~⑤の関係」
① 日本は制度不在
↓
② 海外では制度化されている
↓
③ リスク管理は可能
↓
④ 緩和ケアにも限界がある
↓
⑤ 身体疾患・身体障害を背景とする自殺が現在も年間数千人規模
↓
だから立法府で制度を検討する必要がある
嘆願書(提言書):補足資料⑤ 身体疾患・身体障害による苦痛と自殺の実態│制度的課題を考えるための公的統計分析
リンク先:嘆願書 本文『人道的終末選択の法制度化に関する要望書』+ 補足資料 ① ② ③ ④
安楽死を知るための9記事
⓪ 👉安楽死とは
「安楽死とは何か?日本では違法なのか?」
そんな疑問を、初心者でもわかるように整理して解説します。
この記事を読めば、安楽死の全体像が5分で理解できます。
① 👉種類
安楽死にはどんな種類があるのか知っていますか?
積極的・消極的・間接的の違いを具体例つきでわかりやすく解説します。
混同しやすいポイントも整理しています。
② 👉日本の法律
日本で安楽死は認められているのか?
判例や条件をもとに、どこまで許されるのかをわかりやすく解説します。
医師の責任についても理解できます。
③ 👉尊厳死
安楽死と尊厳死は何が違うのか?
混同されやすい2つの違いを、法律と医療の観点から整理して解説します。
日本での扱いもわかりやすく説明しています。
④ 👉世界
安楽死が認められている国はどこなのか?
各国の制度や条件の違いを整理し、わかりやすく一覧で解説します。
日本との違いも一目で理解できます。
⑤ 👉緩和ケア
安楽死と緩和ケアは何が違うのか?
苦痛の軽減という観点から、それぞれの考え方と役割をわかりやすく解説します。
選択の違いも理解できます。
⑥ 👉賛否
安楽死は本当に許されるべきなのか?
賛成・反対それぞれの理由を整理し、海外の議論も含めて比較します。
考え方の違いがクリアになります。
⑦ 👉自殺
安楽死と自殺は同じものなのか?
法律・倫理・医療の観点から、その違いをわかりやすく解説します。
誤解されやすいポイントも整理しています。
⑧ 👉歴史
日本の安楽死の歴史・事件にはどのようなものがあるのか?
安楽死はどのように変化してきたのか?
ナチス時代から現代までの流れを時系列で整理して解説します。
出典・参考文献
日本の公的統計・行政資料
厚生労働省『人口動態統計』
厚生労働省『終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078981.html
緩和ケア・終末期医療
世界保健機関(WHO)『Palliative Care』
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/palliative-care
European Association for Palliative Care(EAPC)
日本緩和医療学会
自殺対策・身体疾患との関連
World Health Organization
Suicide
厚生労働省 自殺総合対策推進センター(JSCP)
海外制度・比較法
Government of Canada
Medical Assistance in Dying (MAiD)
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/medical-assistance-dying.html
Government of the Netherlands
Euthanasia and assisted suicide
Belgian Federal Public Service Health
Federal Control and Evaluation Commission for Euthanasia
Australian Government
Voluntary Assisted Dying
学術論文・医学的エビデンス
Cassell EJ.
The Nature of Suffering and the Goals of Medicine.
New England Journal of Medicine.
Saunders C.
Selected Writings
International Association for Hospice and Palliative Care (IAHPC)
人権・生命倫理
United Nations Human Rights Office (OHCHR)
UNESCO
Universal Declaration on Bioethics and Human Rights
この記事内で使用した主な資料
警察庁『自殺統計』(平成19年~令和6年)
厚生労働省『自殺対策白書』(平成19年~令和6年)
厚生労働省『人口動態統計』
WHO "Palliative Care"
European Association for Palliative Care (EAPC)
日本サイコオンコロジー学会(精神腫瘍学)
国立がん研究センター がん情報サービス






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