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嘆願書 安楽死合法化の要望書 第一稿 補足資料 ② 国際的制度モデルと安全性の確保

【嘆願書 安楽死合法化の要望書 第一稿 補足資料 ② 国際的制度モデルと安全性の確保】



Ⅰ. 安楽死・医師幇助死を認める国々 — 法制度の概要


近年、欧州・北米を中心に、末期あるいは回復の見込みのない重篤な病状などに苦しむ患者に対して、積極的安楽死(Active Euthanasia)または自殺幇助(AD/AS: Assisted Dying / Assisted Suicide)の制度を整備する国が複数存在している。また政治レベルで検討する動きが活発化している。

これらの国々は、法的な明文化および手続きの厳格な枠組みを通じて、制度の透明性と安全性を担保している。

以下に、代表的な国とその制度の特徴を示す。

 

国/地域

容認形態

主な適用条件・手続きおよび安全策

オランダ

積極的安楽死/自殺幇助の双方を合法化

「耐え難い苦痛」「改善の見込みなし」「患者の自発的かつ熟慮された意思」「複数医師による診断と同意」「独立の審査機関による報告義務」などの厳格条件がある。

ベルギー

積極的安楽死を合法化

適用には「医学的に改善不可能な病状」「耐え難い苦痛」「患者自身の明確な要請」など。未成年者への適用条件についても明文化がなされている国のひとつ。

スイス

自殺幇助を容認(ただし積極的安楽死は不可)

患者が自ら致死薬を服用する形をとる。営利目的や利己的動機がないことが条件。団体を通じて支援が提供される場合もある。

スペイン

合法化(安楽死・自殺幇助)

法整備が比較的最近(2021年成立)であり。要請は患者自身が文書で行い、再確認や手続き、審査制度を設けている。

その他(例:北米・ラテンアメリカ地域など)

自殺幇助または限定的な医療死支援を認める例あり

条件は国・地域によって異なるが、「余命予測」「患者の意思」「医師・複数医師または審査」の要件が一般的。

手続きの流れ、適格の条件など、各国の詳細は、当会ホームページに集約してあるのでご参照。


(注:上表は代表的事例を示すものであり、各国の制度・適用条件は随時見直されているため、最新情報の確認が必要がある。)




Ⅱ. 安全性と濫用防止のための標準的手続きと制度設計 — 国際的共通要素


各国の制度を比較した学術研究報告および制度報告によれば、以下のような 基本的な要素・手続き が安全性確保と濫用防止のために不可欠である。


  • 自発的かつ熟慮された患者の意思表示: 患者自身が、自らの意思で、十分な情報と理解のもとに、安楽死または自殺幇助を要請すること。


  • 複数医師の診断および同意: 主治医に加え、別の医師または複数医師による診断・意見を求め、要件を満たすか慎重に確認する。


  • 医学的条件の明確化: 改善の見込みがない末期疾患、不治の病、または耐え難い身体的または精神的苦痛など、厳格な適用条件を設定。


  • 第三者機関または審査委員会の導入: 独立した倫理審査委員会や監査機関によるチェック・報告義務を設け、制度の透明性および公平性を確保。


  • 文書による同意と手続きの記録保存: 書面での意思表示、複数回の確認、法的書類の整備などにより、後日の争議や濫用の余地を減らす。


  • 年次報告および統計の公表: 実施件数、対象疾患、年齢・性別、審査過程などを含むデータを公開し、社会的な監視と透明性を維持。


これらはいずれも、制度化による “リスク管理” と “安心・安全保障” を両立させるための国際的なベストプラクティスである。




Ⅲ. 国際制度モデルの成果と課題 — 実績および留意点


  • 国際的な報告によれば、制度化された国々では、安楽死・自殺幇助が医療の例外ではなく、「選択肢のひとつ」として社会に定着しつつある。

    特に、患者の尊厳、自己決定、終末期の苦痛対処に貢献してきた。


  • 一方で、制度運用にあたっては、倫理的な議論、社会的合意、医療者の教育、実施基準の明確化と厳守、そして透明性ある管理が不可欠である。制度設計が曖昧なままでは、濫用や倫理的問題につながるリスクがあると指摘されている。


  • また、制度を導入した国においても、医療現場・社会での慎重な運用、定期的な見直し、報告制度の継続が行われており、単なる制度設立だけでなく、「実施後の管理と検証」が重要であることが明らかになっている。




Ⅳ. 日本における制度設計の参考点 — 国際モデルからの教訓


本資料が示す国際的な制度モデルと安全策を参照するなら、以下の点を日本の法制化検討における指針とすべきである:


  1. 厳格な適用条件と手続き基準の明文化

    患者の意思確認、複数の医師診断、独立審査機関の設置などを義務化


  2. 透明性ある報告・統計制度の整備

    実施件数、対象疾患、審査過程などを公表し、社会の信頼を維持


  3. 医療者・社会への教育と倫理ガイドラインの整備

    医療従事者の適切な研修、公的なガイドライン策定、議論の場の確保


  4. 安楽死制度と緩和ケア制度の併存

    安楽死を唯一の選択肢とせず、緩和ケア・ホスピス等との選択肢の共存を明記


  5. 段階的かつ慎重な制度導入

    まずは末期疾患・明確な病状のケースに限定、試行制度や報告義務付きで実施


これにより、倫理性・安全性・社会的受容性を確保しつつ、日本の医療制度・社会福祉制度への適応を図ることが可能である。



Ⅴ. 結語

国際的に安楽死・自殺幇助を合法化・制度化している国々は、厳格な手続きと安全策を整備することで、患者の尊厳と自己決定権を守りつつ、濫用を防ぐ制度を維持している。

日本においても、こうした国際モデルと安全策を十分に参照しながら、慎重かつ透明性の高い制度設計を行うことが可能であり、また必要である。


本補足資料2が、嘆願書および法制化をめぐる検討における重要な参考となることを期待する。




付録 (嘆願書 安楽死合法化の要望書 第一稿 補足資料 ② 国際的制度モデルと安全性の確保)

(安楽死制度を合法化している国:世界地図を掲載)

(欧州の例)

欧州にて安楽死を合法化している国、また政治レベルで議論している国の、世界地図

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