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イギリス安楽死は合法化される?法案の審議状況と成立の可能性

  • 執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
    リップディー(RiP:D)
  • 2025年11月14日
  • 読了時間: 8分

更新日:4月9日


👉安楽死とは何かについては、まずこちらの記事で全体像を確認してください↓


👉 安楽死制度の全体像については「世界の安楽死制度」を先にご覧ください。



イギリスでは現在、安楽死(Assisted Dying)の合法化をめぐる法案が国会で審議されています。


2025年6月、下院(House of Commons)は末期患者に医師の支援による死を認める法案を可決しました。

現在は上院(House of Lords)で審議が進んでおり、成立するかどうかが大きな注目を集めています。


この記事では、イギリス安楽死法案の内容と現在の審議状況、そして今後の見通しをわかりやすく解説します。


🎧音声による動画解説



要約図(自由使用可)


イギリス安楽死法案の展望を示すインフォグラフィック。上下院での法案審議過程や主要議論が図示。テキストと色付き矢印が目立つ。


1.イギリス安楽死法案の進捗状況と現在の審議動向


今年2025年6月20日

イギリスで歴史的な瞬間が訪れました。


ピンクの服を着た人々がプラカードを持ってデモ。プラカードには「YES TO CHOICE」などのテキスト。背景に木々が見える。
国会の外で結果を待つ支持者

イギリス下院議会で『安楽死法案』の承認


実は2014年にも、法案が一度提出されましたが、その時は、下院審議(第2審議)で否決された苦々しい過去があります。

しかし今回は、委員会や第3審議をクリアし、最終的に無事に下院議会で承認され、長年、安楽死を支持してきた人々にとっては歓喜の瞬間でした。

一年前の2024年7月29日に法案が国会に提出されてから、約1年間の審議を経ての承認となりました。かなりの時間を費やしましたが、その過程については別回で紹介します。


どれだけ待ち望んだ瞬間だったか…大変な喜びようです。



※👉 安楽死をめぐる賛否の論点については、こちらで体系的に整理しています。


※👉 「積極的安楽死」「医師による自殺幇助」などの違いは、こちらで詳しく解説しています。



2.下院通過後、即、貴族院にて審議を開始


下院議会を通過した4日後の、2025年6月24日には貴族院(上院、日本でいう参議院)に法案が送られ、第1回目の法案審議がスタートしています。


貴族院で黒い上着の女性が法案について話しています。周りには青色の服の人々。背景に赤い椅子。画面下に字幕。


ビッグベン横に立法過程図。上院、下院、皇室承認の段階を示す。コミッティ段階は強調。赤字で文字あり。
イギリスの法案成立プロセス

そして現在(2025年11月14日時点)は、第2審議が終了し、上院の委員会(各党の代表者が集まった少数精鋭での討議)で精査されている状況です(黄色の四角)。


法案の進行状況を示す図。下院と上院での各ステージの完了状況がチェックマークで表示され、上院の委員会段階が進行中。

イギリスの国会ホームページURL


委員会レベルでは、国会議員はもちろんのこと、国内外の専門家(医師、緩和ケア医、看護師、弁護士など)、また海外の安楽死合法国の医師などが、証人喚問として招かれ、オープンな形式で討議されます(TVとネットで中継できますしアーカイブでも視聴可能)。


下院の委員会レベルでは、一般の人々の代表者や、安楽死協会も呼ばれていました(別回で紹介)。



👉 日本では安楽死はどのように扱われているのか、法的な位置づけはこちらで解説しています。



3.動画で観るイギリス上院議会での審議 |

緩和ケアについて議論


以下に、直近で審議された上院・委員会の模様を掲載しておきます。

日本の医療関係者と、イギリス(豪州、ニュージーランドを含む)の医療関係者との『人生の最終段階』に対する圧倒的な『差』を感じることができるでしょう。



👉「緩和ケアの限界」その詳細については↓


法案責任者、キム・リードビーター議員

法律が死にゆく人々に関わる場合、私たちは彼らとその家族の声を聞かなければなりません。

彼らは変化が必要な理由を誰よりもよく知っています -

愛する人が悲しみと起訴の恐怖に直面することは決してあってはならず、死にゆく人が自分の望みに反して苦しむことを強いられるべきではありません



👉積極的安楽死の意味についての解説は、こちら↓

上院の委員会では、緩和ケアの問題から集中的に討議


世界中で、援助死(安楽死)と緩和ケアは手を取り合って機能しています。

援助死が合法であるすべての国で、緩和ケアへのアクセスは低下するどころか向上しています。

慈悲と選択は共存できます。


イギリス緩和ケア協会の会長


カイト博士、緩和医療協会会長:

「それが可能だと知ることは大きな慰になります。オーストラリアの親戚がそう教えてくれました。」

#AssistedDying を国際的に求める多くの人々は、実際にはそれを利用しません。

選択肢があるだけで大きな慰めになります。


ニュージーランドの緩和ケア医

下院ではオーストラリアの緩和ケア医が招聘


「患者とその家族からの圧倒的なフィードバックは感謝でした。」

ジーン・スネリング博士は、貴族院特別委員会に対し、ニュージーランドの尊厳死の経験が、慈悲、安全、選択が実践の中で共存し得るし、実際に共存することを示していると語りました。


イギリスの緩和医療の名誉コンサルタント医師


サム・アフマドザイ教授:

安楽死は緩和ケアと並行して機能し得る。

他国では、コミュニティや専門サービスの支援を受けて、在宅でしばしば行われている。

彼は、両者が同時進行で進むべきだと強調している——患者に適切なタイミングで質の高い終末期の選択肢を提供するためだ。


司法大臣の発言

サラ・サックマン司法大臣(KC、MP)

「現状は…一部の人が慈悲深いと表現するかもしれない行動が、実質的に犯罪化されてしまい、一部の人々が自らの命を絶つことを余儀なく感じるという害悪を生み出しています。」

この法案は、現在の法律の害悪に対処し、慈悲を犯罪化しないことを目指しています。


王立看護大学の教授

「医療で間違ったことをするとき、それは通常、私たちが父権的であるため(※パターナリズム)です。」ニコラ・レンジャー、王立看護大学。

死にゆく人々にとって安全な選択肢は、末期疾患の患者に力を取り戻し、現状の残酷な害を防ぐことです。

骨無形成症を患っており、車椅子を使用


障害者の大多数が、援助付き死を支持している。」

トム・シェイクスピア卿は、この法案は現状の法律よりも思いやりがあり、安全であると述べました。

末期疾患の成人を対象とした援助付き死(※ The assisted dying, 自殺ほう助)が合法である国々からの証拠は、これらの法律が安全に機能していることを示しています。



4.今後の見通し|イギリス安楽死法案は成立するのか


上院・委員会が終了すると、上院本会議での第3審議へと向かいます。

おそらく年内には決着が着くと想定しておいて良いでしょう。

現首相であるキール・スターマー氏も「クリスマスまでには法案を成立させたい」と明言していました。


日本のメディアは、安楽死を反対する人々や集団忖度する傾向があるので、大々的に報じることはないでしょう。

しかし、法案が成立したら世界中メディアが大きく取り扱うビッグニュースとなります。


今のところ順調に進行していると思いますので、欧州ヨーロッパを歴史的に牽引してきた大国イギリスの安楽死の特報を、皆様、“首を長くして”お待ちください。


イギリスの安楽死協会(Dignity in Dying: DID)


歴史的な変革が手の届くところにあります。

安楽死法案は下院で重要な投票を通過し、現在上院で審議されています。

貴族院議員の皆さんが国民の意思を尊重し、慈悲を届ける時です。



👉 安楽死の全体像を知りたい方はこちら


👉 各国の安楽死制度や最新動向については、世界の安楽死動向をまとめたこちらの記事もご覧ください


FAQ


Q. イギリスの安楽死法案は現在どうなっていますか?

A. イギリスでは2025年に下院で安楽死法案が可決されましたが、2026年現在は上院(貴族院)で審議が停滞しています。多数の修正案や反対意見により、成立は不透明な状況です。


Q. なぜイギリスの安楽死法案は進んでいないのですか?

A. 主な理由は、弱者保護や制度の安全性に対する懸念です。特に「高齢者や障害者への圧力になる可能性」が指摘され、多数の修正案が提出されて審議が長期化しています。


Q. 法案が成立するとどのような内容になりますか?

A. 提案されている法案では、余命6か月以内の終末期患者が対象となり、複数の医師や専門家の審査を経て安楽死が認められる仕組みです。


Q. 今後イギリスで安楽死は合法化される見込みですか?

A. 現時点では不透明です。上院での強い抵抗により、法案がこのまま成立しない可能性も指摘されています。一方で世論の支持は高く、将来的に再提出される可能性もあります。


Q. イギリス以外の国では安楽死は認められていますか?

A. はい。オランダやベルギー、カナダなど複数の国や地域で合法化されています。イギリスの議論もこれらの国の制度を参考に進められています。


「世界の安楽死制度の全体像」については、こちらをご覧ください↓


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