【イギリス安楽死の動向 #1】 安楽死法案の進捗状況
- リップディー(RiP:D)

- 11月14日
- 読了時間: 5分
更新日:6 時間前
【イギリス安楽死の動向】
今年2025年6月20日
イギリスで歴史的な瞬間が訪れました。

イギリス下院議会で『安楽死法案』の承認。
実は2014年にも、法案が一度提出されましたが、その時は、下院審議(第2審議)で否決された苦々しい過去があります。
しかし今回は、委員会や第3審議をクリアし、最終的に無事に下院議会で承認され、長年、安楽死を支持してきた人々にとっては歓喜の瞬間でした。
一年前の2024年7月29日に法案が国会に提出されてから、約1年間の審議を経ての承認となりました。かなりの時間を費やしましたが、その過程については別回で紹介します。
どれだけ待ち望んだ瞬間だったか…大変な喜びようです。
下院議会を通過した4日後の、2025年6月24日には貴族院(上院、日本でいう参議院)に法案が送られ、第1回目の法案審議がスタートしています。


そして現在(2025年11月14日時点)は、第2審議が終了し、上院の委員会(各党の代表者が集まった少数精鋭での討議)で精査されている状況です(黄色の四角)。

イギリスの国会ホームページURL
委員会レベルでは、国会議員はもちろんのこと、国内外の専門家(医師、緩和ケア医、看護師、弁護士など)、また海外の安楽死合法国の医師などが、証人喚問として招かれ、オープンな形式で討議されます(TVとネットで中継できますしアーカイブでも視聴可能)。
下院の委員会レベルでは、一般の人々の代表者や、安楽死協会も呼ばれていました(別回で紹介)。
以下に、直近で審議された上院・委員会の模様を掲載しておきます。
日本の医療関係者と、イギリス(豪州、ニュージーランドを含む)の医療関係者との『人生の最終段階』に対する圧倒的な『差』を感じることができるでしょう。
法案責任者、キム・リードビーター議員
法律が死にゆく人々に関わる場合、私たちは彼らとその家族の声を聞かなければなりません。
彼らは変化が必要な理由を誰よりもよく知っています -
愛する人が悲しみと起訴の恐怖に直面することは決してあってはならず、死にゆく人が自分の望みに反して苦しむことを強いられるべきではありません。
上院の委員会では、緩和ケアの問題から集中的に討議
世界中で、援助死(安楽死)と緩和ケアは手を取り合って機能しています。
援助死が合法であるすべての国で、緩和ケアへのアクセスは低下するどころか向上しています。
慈悲と選択は共存できます。
イギリス緩和ケア協会の会長
カイト博士、緩和医療協会会長:
「それが可能だと知ることは大きな慰になります。オーストラリアの親戚がそう教えてくれました。」
#AssistedDying を国際的に求める多くの人々は、実際にはそれを利用しません。
選択肢があるだけで大きな慰めになります。
ニュージーランドの緩和ケア医
下院ではオーストラリアの緩和ケア医が招聘
「患者とその家族からの圧倒的なフィードバックは感謝でした。」
ジーン・スネリング博士は、貴族院特別委員会に対し、ニュージーランドの尊厳死の経験が、慈悲、安全、選択が実践の中で共存し得るし、実際に共存することを示していると語りました。
イギリスの緩和医療の名誉コンサルタント医師
サム・アフマドザイ教授:
安楽死は緩和ケアと並行して機能し得る。
他国では、コミュニティや専門サービスの支援を受けて、在宅でしばしば行われている。
彼は、両者が同時進行で進むべきだと強調している——患者に適切なタイミングで質の高い終末期の選択肢を提供するためだ。
司法大臣の発言
サラ・サックマン司法大臣(KC、MP):
「現状は…一部の人が慈悲深いと表現するかもしれない行動が、実質的に犯罪化されてしまい、一部の人々が自らの命を絶つことを余儀なく感じるという害悪を生み出しています。」
この法案は、現在の法律の害悪に対処し、慈悲を犯罪化しないことを目指しています。
王立看護大学の教授
「医療で間違ったことをするとき、それは通常、私たちが父権的であるため(※パターナリズム)です。」ニコラ・レンジャー、王立看護大学。
死にゆく人々にとって安全な選択肢は、末期疾患の患者に力を取り戻し、現状の残酷な害を防ぐことです。
「障害者の大多数が、援助付き死を支持している。」
トム・シェイクスピア卿は、この法案は現状の法律よりも思いやりがあり、安全であると述べました。
末期疾患の成人を対象とした援助付き死(※ The assisted dying, 自殺ほう助)が合法である国々からの証拠は、これらの法律が安全に機能していることを示しています。
上院・委員会は間もなく終了し、上院本会議での第3審議へと向かいます。
おそらく年内には決着が着くと想定しておいて良いでしょう。
現首相であるキール・スターマー氏も「クリスマスまでには法案を成立させたい」と明言していました。
日本のメディアは、安楽死を反対する人々や集団に忖度する傾向があるので、大々的に報じることはないでしょう。
しかし、法案が成立したら世界中メディアが大きく取り扱うビッグニュースとなります。
今のところ順調に進行していると思いますので、欧州ヨーロッパを歴史的に牽引してきた大国イギリスの安楽死の特報を、皆様、“首を長くして”お待ちください。
イギリスの安楽死協会(Dignity in Dying : DID)
歴史的な変革が手の届くところにあります。
安楽死法案は下院で重要な投票を通過し、現在上院で審議されています。
貴族院議員の皆さんが国民の意思を尊重し、慈悲を届ける時です。



