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【フランス安楽死 #2】フランス安楽死法案の内容から見る 申請から終了までのプロセス 強制リスク回避のための保護措置(セーフティガード)

  • 執筆者の写真: リップディー(RiP:D)
    リップディー(RiP:D)
  • 3 日前
  • 読了時間: 5分

更新日:21 時間前

【フランス安楽死法案の内容から見る 申請から終了までのプロセス 強制リスク回避のための保護措置(セーフティガード)の詳細】



本稿では、オランダにおける安楽死法を対象として、

・「安楽死の申請から終了に至るまでの具体的プロセス」

・「患者に不利益をもたらさないために設けられた保護措置(セーフティガード)」

――以上の二点を注目しながら解説いたします。


審議中のフランス安楽死法案



【法律名】

『安楽死および自殺幇助の審査法』

(Wet toetsing levensbeëindiging op verzoek en hulp bij zelfdoding )略して『Wtl』


フランスでの、安楽死の一般的な呼称は定まっているとは言い難いですが、法案作成の主要メンバー(オリヴィエ・ファルロニ議員)が、


Droit à l'aide à mourir

(直訳:死のほう助権 or 死に際における幇助の権利)


上記の言葉を国会で唱えているので、おそらく、こちらが社会に流通していくと推測します。


フランスの安楽死の一般的呼称はDroit à l'aide à mourir
「安楽死(Euthanasia:ユーサネイジア)という言葉は、ナチスの歴史によって汚されてきた」と主張

※ただし…隣国のオランダでは英語でいうEuthanasia(ユーサネイジア)を何の躊躇いもなく普通に使用しています。(オランダ語ではEuthanasie)。

また南米もEutanasia(エウタナジア)が一般的です。BBCニュースが南米の安楽死を報道する際も(現時点では)、普通にユーサネイジアを連呼しています。


ドイツ語圏や、フランス、スイスでは、ナチスを連想させることから“ユーサネイジア”を使用したがらない傾向がありますが、使用禁止という訳では決してありません。

フランスの“こだわり”と考えてよいでしょう。



【適格の条件】


1.18歳以上であること

2.フランス国籍を有するか、フランスに安定して定期的に居住していること

3.進行期または末期で、生命を脅かす重篤かつ治癒不可能な病状に罹患していること。

4.症状に関連した現在の身体的または心理的苦痛が耐え難い状況で、患者が治療を受けることに中止の選択をした場合

5.自由かつ充分な情報に基づいて自分の意志を表明



【審査プロセス】

フランス安楽死法案の内容から見る 申請から終了までのプロセス)


【申請段階】

申請方法は:


  • 患者本人が 直接 医師に申し出る

  • 家族・介助者・代理人が代わりに申請しては「いけない」

  • 遠隔診療(オンライン診察)では申請不可


最初の医師による説明と支援提供(情報提供義務)

申請を受けた医師は、まず以下を説明する義務がある:


  1. 病状・予後の説明

  2. 利用可能な治療法や支援制度

  3. 緩和ケアを受けられることの説明と提案

  4. 必要なら心理士・精神科医を紹介

  5. 患者はいつでも申請を撤回できることを伝える



【評価段階】

複数専門家による評価


中心となる主治医は、以下のような 複数専門家の意見を集めて評価


  • 同じ病気を専門とする別の医師

  • 看護師・心理士など、患者に関わる他職種


  • 必要に応じて: 

    施設(老人ホームなど)の医師 福祉担当者 など含む

  ※この医師は、患者の医療記録にもアクセスし、本人を診察して評価


主治医は 要請から15日以内 に


  • 申請を認めるまたは

  • 申請を拒否する


のいずれかを判断し、患者へ 口頭+書面で通知する。

※必要性があれば、法的後見人にも通知。



【実施段階】


・熟慮期間(クーリングオフ)

 主治医が「実施可能」と判断した後:


 最低2日間の熟慮期間(患者の尊厳を損なわないと判断すれば短縮可)


この期間を経たのち、患者は 「実施の最終確認」を医師に伝える 必要がある。

※ここでも患者はいつでも撤回可能。



・実施日を患者・医師・看護師で決定

 主治医(または付き添い担当の医師/看護師)と患者が 投与日を協議して決める。

 ただし、通知から 1年以上経った場合は再評価(意思確認のやり直し) が必要。



・致死性物質の処方と薬局の準備


  1. 主治医が法律に基づいた「致死性物質」を処方

  2. 指定された地域薬局または院内薬局が調剤

  3. 投与担当の医師・看護師が受け取る


※投与薬は非常に厳格な管理のもとで扱われる。


・実施場所の決定

 以下から患者が選択:

 自宅

 病院

 老人施設

 その他、患者が希望する場所


必要に応じて:

本人が選んだ人が同席することも可能


・投与当日の流れ

 担当の医師または看護師は、投与時に:

  1. 患者が実施に同意しているか最終確認

  2. 必要なら準備を手助け

  3. 投与を見届け、監督する


・投与方法

 原則は 患者自身が投与

 身体的に不可能な場合 → 医師または看護師が代わりに投与


  投与の途中で患者が「やめたい」と言えば、即座に中断。

  新しい日程を設定できる。



【実施・報告段階】


・終了後の処理

 医師・看護師は以下を行う:

 投与の経過を詳細な報告書にまとめる

 使わなかった薬剤は薬局へ返却(厳格な管理)


・ 死亡証明書の作成

 死亡は通常の規定に従い、正式な死亡証明書が作成される。


・行政への記録と監査

 実施に関するすべての行為は 国家の情報システムへ記録

 監査委員会(医学専門家を含む)が後日チェック


 これにより:

 不適切な手続き

 条件不備での実施

 医師の倫理違反


などがないかを監視する仕組みが整えられている。



【フランス安楽死プロセス】(簡略イメージ)


①かかりつけ医へ申請(第1チェック)

 ⇩

②別の医師も含み、他職種と連携で評価(第2チェック)

 ⇩

③実施後に国家データベースに記録、監査※ある意味、第3チェック)


備考

ザックリではありますが、世界の安楽死プロセスは以下の経過をたどるのが一般的。

ただ、フランスの安楽死制度は『③を抜く』(予定)という事は注目に値します。


ちなみにカナダ、アメリカも同じ仕組みです。つまり二人の医師間で安楽死プロセスは完結し、更なる外部の医師や審査機関を設定していないということです。


世界の安楽死において申請から完了の一般的プロセス

この一般的プロセスより審査ルールが「より厳しいのか、または“緩い”のか…

こちらのプロセスを一つの基準にすると、世界各国の違いが判別しやすいと思います。



フランスの安楽死、対象条件、適格の条件

冒頭の適格条件についてですが、これには例えば…


・精神疾患が含まれるのか?

・頚髄損傷による四肢麻痺は含まれるのか?

・重度の線維筋痛症は含まれるのか?


それについては別記事で考察します。

また、この法案は下院議会にて承認されたもので、上院では大幅な変更もあり得ることは留意しておいてください。

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